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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第二世界 第四章 正義の憎しみ
161/211

借りたもの




「ふぁ〜あ」

(くそねみぃ・・)


波乱の球技大会も終えて月日は経ち、現在は11月中旬。慎也は気だるそうにいつも通りの登校ルートを歩いていた。


(それにしても寒くなってきたな。そろそろ俺も衣替えした方がいいかな)


腕をさすりながらそんなことを考えているうちに、慎也は校門に着いた。


(・・・あいつ何やってんの?)


校門に着いたところで、慎也は昇降口前で顔馴染みが仁王立ちをしてる姿を見つける。


「あ!やっと来たわね!」

「・・何の用だ伊村」


慎也の前に立ったのは、球技大会の一件で知り合った伊村花乃であった。


「何の用って、大体察しつくでしょ」

(なんかあったっけ?球技大会以来こいつとあんま話してないから、ないと思うんだけど・・)

「全くわからんのだが」

「・・はぁ」


慎也の発言にため息をつくと、花乃は呆れたように言った。


「あんたまさか忘れたの?」

「マジでわからんわ。なんかあったっけ?」

「はぁ・・・恩知らずにもほどがあるでしょ」

「恩?俺お前になんか助けられたっけ?」

「はぁ!?もういい教えてあげるわ!」


そう言って花乃は怒気の込もった声で言い放った。


「球技大会での借り返しなさいよ!」

「・・・あー!」









そんなことがあった日の週末。


(なーんでこんなことになったかな)


私服を身に纏った慎也は、最寄りの駅の前でスマホをいじりながら突っ立っていた。


(貴重な休日をまさかこんなことに費やすとはな。もう今後はあいつに借り作らんとこ・・・お、こいつかなり金落とすじゃん。こいつで金貯めよ)


心の中でそう誓い、ゲームをしながら待つこと数分後。この状況の原因である人物が来た。


「あれ早くないあんた?」

「気配りの出来る人なんで」



「恩知らずのあんたが何言ってんだか」

「うぐっ」

「それじゃあ今日は頼むわよ」

「へいへい」

「あれ、2人とも早いね」


2人で話してると、2人の元に学校1の人気者(女子のみ)の篠宮賢斗がやってきた。


「もしかして待たせちゃったかな?」

「ううん、今来たところだよ!」

(篠宮来てから露骨にテンション上がったな)

「まあ"あいつ"がまだ来てないからセーフだな」

「そういえば彼女の姿がないね」

(まあわざと遅めに来てんだろうな)


本来篠宮賢斗は女子以外に興味はない。そんでもって落とした女子には適当にあしらう。そのことから学校中の男子から嫌われていた。そんな篠宮が慎也と花乃と共に出かけるはずがない。ある人がいれば話は別だが・・


「・・私を置いてってもよかったんですがね」

「出来るわけねえだろそんなこと」


3人の元にめんどくさそうに現れたのは、篠宮に唯一落とされていない女、怜であった。


「それじゃあ行きましょ!」

「そうだね」


花乃の声で4人は出発した。するとすぐさま篠宮は怜の横に並び、怜に話しかけ始めた。


(こいつもこいつで鈴川来た瞬間露骨すぎんだろ)

「ねえ村上」

「なんだよ」

「どうやって鈴川を連れてきたのよ」

「ああそれな。実は・・」


話は花乃の借り返せ発言の直後まで遡る。









『で、お前はどう借り返して欲しいわけ?』

『そんなの、私と賢斗をくっつけるのを手伝ってもらうに決まってるじゃない』

『具体的には?』

『私と賢斗の2人っきりの状況を作るのよ!』

『無理』

『なんでよ!?』

『いや学校は篠宮を狙ってる女子がわんさかいるだろ。そんな中でどうやって2人っきりにするんだよ』

『簡単よ。あんたと私と賢斗で出かけて、途中であんたが帰れば自然と2人になるじゃない』

『それこそ無理だな』

『だからなんでよ!?』

『あの篠宮が俺とお前と一緒に出かけるわけねえだろ。逆にお前は今まで篠宮とデートの1回でもしたことあんのか?』

『・・・ない』

『だろ?』

『じゃああんたはどうすればいいのよ!』

『そうだな・・』

(無理とは言ったが、借りを返せないとこれからもいろいろと言われそうだしな。どうにか篠宮と出かける方法は・・)


そこで慎也の頭に怜の顔が浮かび上がった。


『・・いや1つだけ方法があるぞ』

『ほんと!?』

『鈴川を使う』

『・・マジ?』

『マジだ。これ以外の方法が思いつかない』

『でもあの鈴川よ!?誘いに乗るわけ・・』

『まあなんとかするから!』


そう言って慎也は怜の元に向かった。


『鈴川!』

『なんですか?』

『お前に頼みがある!』

『・・聞くだけ聞きましょう』

『俺と花乃と篠宮と一緒に出かけてくれねえか?』

『いやです』

『だよな!そうだよな!でも俺もここで引くわけにはいかねえんだ!』

『・・なんかあったんですか?』

『実は・・』


慎也は先程までのことを怜に話した。


『・・なるほど。つまり伊村さんへの借りを返すため、篠宮君と2人っきりの状況を作りたい。そのために私に協力してほしいと』

『そうです!』

『・・報酬は?』

『え、報酬?』

『まさか見返り無しで協力してもらえるとでも?』

『マジか・・』

『マジです。それで報酬は?』

『・・仕方ねえ!









     1週間お前の言うことを何でも聞く!』




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