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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
番外編
159/211

救出作戦(前編)

一応この作品ファンタジーなんだけど、長いことバトルの描写なかったから、番外編として出すわ。




(よーし終わったー!)


波乱の球技大会が終わって間もない日。慎也はルキエスに言われ、攻めて来たリオンズを処理していた。


(それにしても久しぶりに結構動いたな。最近は球技大会のことでいっぱいいっぱいだったし、たまにはこうやって剣と魔法で敵ぶっ飛ばすのも悪くないな)


倒したリオンズたちの死体が灰となって消えていくのを確認しながら、そう心の中で思う慎也。


(それじゃあ今日この辺で・・)


剣を鞘に収めて帰ろう慎也は歩き出そうした。しかしそこでルキエスに呼び止められる。


『あー悪いんだけど、実はその近くでもう1体リオンズの気配があるんだよね』

(えー。たまにはこういうのもいいと思いましたが、さすがにもうお腹いっぱいですよー)

『まあそいつで最後だから、頑張れー』

(はぁ・・それで、どこにいるんですかそいつ?)

『案内はするから、言われた通りに進んでね』

(へーい)


ルキエスに言われるがまま、慎也はそのリオンズがいる場所へと向かった。



↓↓↓↓移動中↓↓↓↓



(ここですか)

『ああここだ』


ルキエスに案内されて慎也がやってきたのは、ボロボロな小さめの廃ビルであった。


(こんなところにほんとにいるんですか?)

『気配はするから間違いなく』

(ふーん。こんなところを根城にする物好きもいるんだな)

『それじゃああとは頑張ってねー』


そう言うとルキエスの声はそれ以降聞こえなくなった。


(神だからって人使い荒すぎだろ。まあ平和のために頑張りますけどねぇ)

「あのー」

「ん?」


慎也が歩き出そうとすると、少し年のいった女性が恐る恐るといった感じで慎也に話しかけた。


「あ、あなたって化け物を倒す人、ですよね?」

「一応そうですね」

「な、なら私の娘を助けてくれませんか!?」


そう言って女性は事情を話し出した。


「先程近くで化け物が出たと聞いて、娘と2人で逃げてたんですよ」

(近くでって、さっきの奴らか)

「そしたら突然化け物が娘をこの廃ビルに連れて行ってしまって・・」


そこまで言うと女性は次第に体が震えだし、目に涙を浮かべていた。


「わ、私、助けようとビルに入ろうとしたんですけど、なんか、変な壁に邪魔されて入れなくて、どうしようもできなくて・・!」

「・・・」

「お願いです!どうか娘を助けてください!」


そう言って女性は慎也に頭を下げた。


「・・まあ俺は元々このビルに用事がありましたから、ついでに助けてきますよ」

「!ありがとうございます!ありがとうございます!」

「あーはいはい、頭上げてください」


女性を宥めると、慎也は廃ビルへと近づく。


(それじゃあちゃっちゃっと倒して帰りま・・)

「っ!?」


廃ビルの扉を開けて中に入ろうとした慎也だったが、透明な壁のようなものに弾かれてしまった。


(これがこの人の言ってた変な壁か。仕方ない!)

「おっら!」


慎也は拳に魔力の込めると、その拳で透明の壁をぶん殴る。その衝撃で透明の壁は見事に砕け散った。


「す、すごい・・」

「そういえば娘さんのお名前は?」

「あ、由梨ゆりっていいます」

「それじゃあ由梨さんは俺にお任せを」


そう言って慎也は廃ビルへと足を踏み入れた。









(うわ〜さすが廃ビルだな)


中は薄暗く、壁などはかなり汚れていたり、床にはボロボロになった備品やゴミが落ちていた。


(臭いとかは特にしないが、あんまり壁とかには触れたくないな)


慎也は床に気をつけ、女性の言っていた由梨という少女を探しながら廃ビルを進んでいく。


「おーい由梨ちゃーん!どこにいるんだー?」

(見た感じ1階にはいない感じか?そんじゃ2階行くか)


階段を登り次の階に行く慎也。すると・・


『・・〜!』

(あ?)


2階に来た瞬間、先程まで聞こえなかった声が上から慎也の耳に入った。


(あーこれ結構上か。ちょっと急ご)


慎也は駆け足で階段を登って行く。すると声は段々はっきりと聞こえていき、慎也は5階でその声が泣き声だとわかった。


(このビルは5階が最上階か。屋上もないみたいだし、声はこの階で間違いなさそうだな)

『うえええええん!!』

「はいはい今行くから」


慎也は声のする方に向かう。そして声のする部屋に着くと・・


「・・マジか」

「うえええええん!!」


慎也はその中を見て目を見開いて驚いた。部屋の隅には泣き声の主である少女が座り込んでいる。そしてその少女の側には、なんと頭に風穴が空いた"化け物の死体"があったのだ。


(この子がやった・・・わけないよな)

「うえええええん!!」

「あのーちょっといいか?」

「っ!?お兄ちゃん、誰?」

「俺はヒーローみたいなもんだ。それよりお前が由梨か?」

「なんで私の名前知ってるの?」

(はいビンゴー。そんじゃこの子連れてさっさとこんなところ出よう・・・まあ俺はリオンズ倒さないいけないんだけどね)

「お前のお母さんに助けてくれって頼まれたんだよ」

「お母さんが?」

「そそ。お外で待ってるから行こ」

「うん」


由梨を立たせ、慎也は由梨の手を引きながらその部屋を出た。


『・・・』


その後、化け物の死体は突然地面から現れた口に飲み込まれた。









「そういや由梨ちゃん」

「ん?」


階段を降りながら慎也は気になったことを由梨に聞く。


「さっきの怪物さんって、なんで倒れていたの?」

「えーっとね、怪物さんが私を食べようとした時にね、怪物さんの壁から急に長いのが出て来て、怪物さんの頭を突いちゃったの!」

「長いの?」

「うん。なんかうねうねしてたよ」

「そうか」

(聞いた感じ触手か?となると戦う時めんどくせえな)

「どうかしたのお兄ちゃん?」

「いいや何でもないぞ」


その後は軽く談笑をしながら階段を降りていき、2階までやってきた。


「そろそろお母さんに会えるぞー」

「うん!」


慎也と一緒にいたおかげか、由梨の顔からは不安などはすでに無く、それを見て慎也も安心しきっていた。しかしその瞬間・・・


「っ!由梨ちゃん!」

「きゃっ!」


慎也は階段を降りようとしていた由梨を慌てて引っ張り2階に入れる。するとそれと同時に、1階に続く階段から数本の"触手"が飛び出してきた。


(あっぶな!)

「あ!これ!さっき見た長いうねうねのやつ!」

(明らかに由梨ちゃんを殺そうとする軌道だったな。てことはどっからか見てるのか?)


慎也は周囲を見渡すが、2人の状況を確認できるようなものは特に見当たらなかった。


(カメラとかではないのか。となるとなんだ?)

「っ!お兄ちゃんあれ!」

「あ?っ!?」


由梨が指した方向を見た慎也は。守るように由梨を抱き寄せる。そこには壁や天井、床に出来た無数の目であった。その目はしっかり2人を捉えている。


(リオンズの魔法かなんかか?にしてはかなり気持ち悪い・・・リアルだな)

『今の攻撃を躱すとは、さすがはヒーローさんだ』

「っ!?」


急にした2人に語りかける声。その声がしたのと同時に2人の周りに無数の口と目が現れた。


「いっぱい出て来たよ!?」

「おいお前!こそこそ隠れてないで出てこいや!」

『ふっふっふ・・』

「あ?何がおかしい?」

『おかしいもなにも、私はお前たちがこのビルに入った時から常に傍らにいるぞ』

「は?・・・まさか、嘘だろ?」

『そのまさかだ・・・









      私の体は、このビルそのものだ』




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