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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第二世界 第三章 好きな物には正直に
158/211

戻って来た平穏




「遅いですね村上君」

「まあもうそろ帰ってくるでしょ・・・お、噂をすれば戻って来たよ」

「悪い!ちょっとトイレ混んでて遅くなったわ!」


そう言って慎也は怜と平島の元に戻って来た。


「?」

「ん?どうかしたか鈴川?」

「村上君、何かいいことでもありましたか?」

「いや?トイレ行って来ただけだしな」

「そうですか」

「おーい2人とも。そろそろ閉会式だから行くよ」

「へーい」


↓↓↓↓移動and数時間後↓↓↓↓


「取ったどー!」

『うおーー!!』


早々に閉会式を終えて教室に帰って来た慎也とそのクラスメイトたち。そんな教室の前の方でクラスの男子たちが群がり、それに囲まれながら亮太は優勝のトロフィーを上に掲げていた。


「何やってんのあれ?」

「最大限の喜び表現でしょう」

「トロフィー1つであんな喜ぶもんかねぇ」

「まあチームで力を合わせて手に入れたものだからでしょう」

「そういうもんか」

「そういうものです」

「そういえばお前のチームも優勝したんだろ?トロフィーは?」

「あっちです」


そう言って怜が指した方では、怜のチームメイトだった女子たちがトロフィーを我が物顔で見せびらかしながら篠宮と話していた。


「あー・・」

「まあ最後の試合は、篠宮君のためとか言って頑張ってたので文句はありませんよ・・・最後の試合"は"」

「そ、そうか」

(こいつもこいつで苦労してんなぁ)


そんな話を2人でしていると、前の方にいる亮太に慎也が呼ばれる。


「おーい慎也!お前も来いよ!」

「えーめんど」

「めんどじゃねえよ!」

「てか村上!お前ちゃっかりみんなの鈴川と2人っきりで話してんじゃねえ!」

『そうだそうだ!』

「なんだよみんなのって。鈴川もなんか言ってやれ」

「・・行ってきたらどうですか?」

「はぁ?」

「あなたは今日まで森塚君のために動いていたんですから、最後くらい騒いでもバチは当たりませんよ」

「・・そうか」

「それに、彼らもそれを望んでいるそうですし」

「・・はぁ、仕方ねえな!」


そう言って慎也は気だるそうに、しかし少し口を綻ばせながら亮太たちの元へ向かって行った。


「・・とりあえず、これで一件落着ですね」


そう呟きながら怜は、前で嬉しそうに騒いでいる慎也たちを微笑ましく見ていた。


「あ、鈴川!」


そんな怜に慌てた様子で平島が駆け寄って行った。


「また何か手伝いですか先生?」

「いやそれどころじゃなくて!お前"牧本"見なかったか?」

「牧本さん?いえ見てませんが」

「そうか・・」

「あのー牧本さんがどうかしたんですか?」

「いや、閉会式から姿が見当たらなくてね。早退したって連絡もきてないから、今教師何人かで探してるんだよね」

「そうなんですか・・」

「じゃあ俺はもう少し探してくるよ。HRは代わりの先生が来てくれるから待っててね」


そう言って平島は教室を出て行った。


「・・・」


その会話を、慎也は遠目に無表情で聞いていた。









数十分前、体育館裏にて。


(仕方ない・・・やるか)


そう心の中で呟くと、慎也は無表情になり牧本に歩み寄って行く。


「な、なによ!」


その様子に恐怖を抱いたのか、慎也に合わせて牧本も一歩ずつ後ずさって行く。


「こ、来ないで!来るなら叫ぶわよ!」

「叫んでどうすんだ?」

「そ、そりゃあ!あんたに襲われそうなったって・・」

「証拠もない嘘と、証拠のある事実。どっちを信じるなんて明白だろ」

「うっ・・!」


一歩、また一歩と慎也は無表情のまま牧本に近づいて行く。その目には光はなく、しかしたしかな怒りは込もっていた。それを理解してか牧本の目には恐怖があった。


「あ・・」


そして牧本はついに背中が壁に当たる。


「こ、来ないでよ!」


必死声を絞り出して言葉で慎也を止めようとするが、慎也は構わず牧本に近づいて行く。そして・・


ドン!

「ひっ!」


牧本の目の前に来た慎也は、牧本の顔の横の壁に勢いよく手を突く。その際に壁に少しヒビが入り、それを見た牧本は体を震わせていた。


「なあ牧本」

「は、はい!」

「俺ももう中学生だからな、少し大人になって今回は、俺と俺の友達に今後一切関わらないのと、先生に言うってので今回は許してやる」

「ほ、ほんと!?」

「ああ。でもな・・」


そこまで言って慎也は壁に突いた手に魔力を込めると。勢いよくその魔力を壁に放った。


「ひぃぃぃ!!な、なにこれ!?」


大きな音が鳴り、牧本は恐る恐る後ろを振り返る。そこには、慎也のついた手を中心に広範囲にヒビが入った壁があり、牧本は驚き恐怖して尻もちをついて後ろに下がった


「な、何を・・!」

「また同じことをすれば、今度は今のをお前の顔面にぶつけるぞ」

「い、いや!こんなのされたら・・」

「ああ、骨折とか、そんな優しいもんじゃすまねえぞ」

「い、いやそんなの・・」

「だったら、わかってるよな?」


目に涙を浮かべながら、慎也の問いに牧本は何度も頭を縦に振る。


「ならいい。それと、もちろんこのことも誰にも言うなよ」


そう言って慎也は最後まで怒りの眼差しを牧本に向けながら、その場を去って行った。




その後、体育館裏にて数人の教師が放心状態の牧本を見つけたという・・




やっと今章最終回だー!!

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