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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第二世界 第三章 好きな物には正直に
151/211

面倒ごとのバーゲンセール




そしてとうとうやってきた球技大会当・・


(いやいやふざけんなよ!?)


・・日なのだが、そんな中慎也は内心かなり焦っていた。


(急な予定変更とか聞いてねえよくそー!まだいじめの犯人も牧本だっていう確証は持ててないし!亮太の方も何も出来てねえよ!)

「おーい村上ー!次俺らだぞ試合!」

「今行くー」


クラスメイトに呼ばれて慎也は渋々自陣に向かう。


(仕方ねえ、今は試合集中するか。最低限試合に負けなきゃ亮太の支えにもなるだろ)


そう思って慎也は自身のポジションについた。そしてそれから数分すると、審判が試合開始のホイッスルを鳴らした。


『ピー!』

『篠宮くーん!頑張ってー!』

(うるさ女子)


初手ボールを持ったのは慎也のチーム。そのため篠宮と亮太のツートップが敵陣へと攻めて行く。


「やっぱ森塚がすげえな!」

「前のあれで一時はどうなるかと思ったが、あの様子なら大丈夫そうだな!」

「・・ああ」


近くの2人との話を適当に流して慎也は華麗なドリブルで敵陣を颯爽と走り抜けて行く亮太を見ながら考え事をしていた。


(亮太をなんとかしようにも、まずは牧本が犯人と断定できるもんがないとどうしようもねえ。でも今まで調べた情報でどうやって断定すんだよ。今から調べようにもみんな気持ちが球技大会にいってるから、まともな情報が手に入るかわかんねえし・・)


無意識に下唇を噛む慎也。その最中も試合は進んでいて亮太がとうとうゴール前へと辿り着いた。


「・・っ!篠宮!」

「え?あ、ああ!」


そしてやはりと言うべきか、亮太は明らかに自分が決められる状況だったがボールを篠宮にパスし、そのまま篠宮のシュートで点が入った。そしてその亮太と篠宮の行動を賞賛するように歓声(主に女子の)が上がる。


「それにしても、あの2人いつの間にあんな連携取れるようになったんだ?」

「さあ?まあ俺が森塚だったら絶対篠宮にパスなんて出さないけどな!」

「ははは!それは俺も!」

(今の亮太のこと知らん奴は楽でいいな。こっちは試合どころじゃねえってのに)

「うっし!そんじゃ今度はDFの俺らの番だ!」

「ぼーっとすんじゃねえぞ村上!」

「へいへい」


その後は何事もなく慎也たちのクラスの勝ちで試合は終わった。









「マジでどうしようか鈴川?」

「私が聞きたいくらいです」


他のクラスが試合をしている中、慎也と怜は休憩のついでに今後のことについて話し合っていた。


「あー!なーんで他の世界来てまでこんな頭使わないといけねえんだよー!」

「声が大きいですよ。みなさんが試合に集中してなかったら聞こえてますよ」

「んなことこの際どうでもいいわ!あーマジでストレス溜まる!」

「はぁ・・まあ気持ちはわかりますよ。それに、今回の球技大会の対戦形式で考えること1つ増えましたしね」


この球技大会はトーナメント形式で試合が進んでいき、対戦の組み合わせは全部で8クラスあるのを、2つにしてAブロック、Bブロックと4クラスごとに分ける。そしてブロック内で順位を決めて、最後にブロック内の1位同士でぶつかり合い優勝クラスを決めるというものだ。今回慎也たちのクラスはAブロック。問題なのはBブロックにいるあるクラスだ。


「最悪な形で彼、神早君にぶつかりますね」

「そうなんだよなー!」


この学校でサッカーの上手さは(怜を除いて)随一の亮太。そんな亮太と互角の実力の神早颯がいるクラスがBブロックにいるのだ。


「森塚君は校内でサッカーの上手さは私も認めるほど。彼がいる以上Aブロックで1位になるのは確実」

「そんでその亮太と互角の神早もBブロックで1位になるのも確実だな」

「そうなると最後の決勝戦でぶつかるのは必然ですね。そうなると・・」

「亮太の状態だよなぁ」


慎也も第一世界で強くなっているため、単純な速さなら神早颯相手に楽勝だが、サッカーとなると技術も必要になってくるため、慎也1人では神早颯を相手にすることは出来ない。そうなると互角と言われている亮太が希望だが・・


「鈴川から見て、今の亮太のプレイってどうだ?」

「正直言うと、質が落ちてますね。彼は相手よりも篠宮君の動きを見てますから、危なかった場面が多々ありました。先程の試合は相手がそこまで上手くなかったので今のプレイでも通用しましたが、神早君が相手となるとそうもいかないでしょうし」

「ですよねー」

「もし今の状態で神早君のクラスとぶつかったら、村上君が魔法とかで暴れない限りは確実に負けますね」

「んなことするわけねえだろ。そんなことした日には家どころか学校にまで記者とかが押し寄せてくるわ」

「わかってますよ。そしてまあ、森塚君自身も自分の実力が神早君と互角ということは自覚してますから、試合に負けたとなると、森塚君のことですしきっと自分を責めるでしょうね」

「そうなるとただでさえボロボロな今の亮太のメンタルが壊れるのを超えて消滅するな」


そこまで言って慎也は深いため息をつく。


(めんどくせ。ただでさえいじめの犯人特定の時点でめんどくさいのに、さらにそこに亮太のケアか。面倒ごとのアンハッピーセットかよ)

「・・はぁ、仕方ありません。こんなったら強引にでも牧本さんに自白させますか」

「いやまだ牧本と決まったわけじゃねえからな?」

「ですがこのままだと時間が・・」

「鈴川さーん!私たち試合だよー!」

「!・・すみません、失礼します」


クラスの女子に呼ばれて怜は渋々そっちへと向かった。


(・・まあ鈴川の焦る気持ちもわかるわ。俺もそれでいけたらいくんだが、さすがにそうもいかないだろうし、やっぱこっちで断定するしかねえか)

「・・喉乾いたし自販機行こ」


そう呟いて慎也はその場から去った。









「ん・・ん・・ぷふぁ!」

(カルピス最高!)


自販機までやってきた慎也は購入した飲み物を飲んで癒されていた。


(やっぱこういう時こそ一旦落ち着いて現実逃避が1番だな)


そう呑気なことを考えていると・・


「ちょっとそこ邪魔」

「ん、ああ悪い」

(・・ん?今のって)


覚えのあるやりとりと声に、もしやと思い慎也は声のした方を見た。


「・・やっぱ伊村か」

「やっぱって何よ」


やはり声の主は伊村花乃であった。




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