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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 第二章 一時的な平穏
15/211

再戦、新たな仲間




(あそこか!)


慎也は悲鳴が聞こえた方角へ走っているうちに、前方に青髪のミディアムヘアーで赤色のローブを着ていて先端に赤い水晶がはめてある杖を持った少女が1人と、赤髪のショートヘアーで黒いコートを着た、剣を持っている少年がいることに気付く。


(あれは・・・見た感じ2人組パーティーか?ここにいるってことはゴブリン討伐に来たんだろうけど。ゴブリンって俺1人でも苦戦はしなかったから、悲鳴をあげるってことは何かあったのか?とにかく急ごう)


慎也は草木を避けながら2人のいる方へ急ぐ。そしてあと数mというところで、慎也の視界に見覚えのある巨体が入る。


(おい嘘だろ!?なんであいつがいるんだよ・・・・ゴブリンウォーリアー!)


そこには、やっとの思いで慎也が倒したゴブリンの上位種族、ゴブリンウォーリアーがいた。


(上位っていうぐらいだからあんまりいないって思ってたけど、そうでもないのか?いや、まずはあいつらを逃すことだけを考えよう)

「なんでこんなところにこんな奴がいるの!?」

「安心しろリア!どうせこいつ身体がでかい分、動きは遅い!全力で走れば逃げれる・・・・たぶん!」

「いやこの状況でたぶんなんて言われたらすごく不安になるんだけど!」

「そこの2人大丈夫か!」

「「なんか来た!?」」

「助けに来た人に対してなんかなんて失礼すぎないか!?って今はそんなことどうでもいい!早くその大きいゴブリンから逃げろ!」

「グオオオオ!!」

「うあっ!?」

「まずい!」


慎也が2人に指示した瞬間、ゴブリンウォーリアーが少年に向かって大剣を振り下げる。そこを慎也が少年に当たる寸前で剣で防ぐ。


「おお凄い!」

「関心してる場合か!早くそこどけ!こいつの力くそ強いから今以外と辛いんだよ!」

「すみません!」

「よし。力で負けてるなら技術で勝負だ!」


慎也は少年が離れるのを確認すると持っている剣を傾けて、大剣を横へ流す。そして慎也は剣で斬りかかるが、慎也の前を何かが横ぎり、慌てて慎也は後ろへ飛び、距離を取る。


「あっぶな!なんだ今の?」

「剣士さん!今のはあいつが撃った矢です!」

「あいつ?」


少女が指を指したところには弓を持ったゴブリンがいた。そのゴブリンはまた矢を撃とうと、再び矢を引く。


「なるほど。『ファイヤーボール』!」

「グギャアア!」


慎也は弓持ちゴブリンに魔法を放つ。しかしそれと同時にゴブリンが矢を慎也に向かって放つ。慎也は咄嗟に躱そうと体を傾ける。そしてその矢は慎也の頬掠めて、通り過ぎる。一方慎也の放った魔法は見事にゴブリンに当たり、ゴブリンはその場に倒れる。


(あぶねー、あともうちょっと反応遅れてたら普通に死んでたわ・・・だが)

「邪魔者はいなくなったし、これでこいつとの戦いに集中できる」

「このままいけば、きっとあのでかいゴブリンも倒せますよ!」

「・・・」

「ん?どうしたんですか?」

「なあ、お前らいつ逃げるの?」

「「え?」」

「いや、え?じゃなくて」

「逃げるって言われてもなぁ・・」

「てっきり私たちも一緒に戦うのかと」

「いや正直言ってお前ら俺より弱いだろ?だから足手まといなんだよ」

「ちょっ、そんな言い方ないだろ!」

「でも事実なのが辛い」

「うっ」

「わかりました。私たちが逃げることで、あなたと私たちが無事に帰れるならそうします」

「おう、サンキュー」

「ほら行くよライル!」

「え?本当に行っていいのか?あの人やられない?」

「あの人に生きていてほしいなら逃げるの!ほら早く!」

「わかった。助けてくれてありがとな!」

「礼なら街にに帰った後で聞いてやる。だからさっさと行け!」

「わかった。行こうリア!」

「どうかご無事で」

「おう!」


2人は慎也に一礼し、その場走って去って行った。


(行ったか・・・・さて、俺もやることやって逃げるか)


慎也は周り見渡す。周りには、対峙しているゴブリンウォーリアー。その後ろにゴブリンウォーリアーの取り巻きであろうゴブリンが10体ほど慎也を睨んでいる。


(ウォーリアーの後ろにいるゴブリンを2体倒して、素早く耳を回収、あとは全力疾走。これで行こう)


慎也はウォーリアーを中心に、回り込むようにゴブリンたちに近づこうと走り出す。するとウォーリアーが慎也の動きを先読みしたのか、慎也少し前に大剣を振り下げる。慎也は間一髪後ろへ飛び、大剣を躱す。


(これだとむやみにゴブリンに近づけねーな・・・仕方ない。まずはウォーリアーをなんとかするか)

「グオオオオ!」

(まずは足を狙う!)


慎也は方向転換して、ウォーリアーに向かって走り出す。ウォーリアーは慎也が近づいて来ることを察し、大剣を横に大きく振る。慎也はその攻撃をしゃがみ躱し、そのまま体勢を低くした状態でウォーリアーの足に近づき、剣で足を斬りつける。するとウォーリアーが突然の痛みに、体勢を崩す。


「グオオッ!?」

(よし、隙ができた!今のうちにあいつらを仕留めよう!)


慎也はウォーリアーを通り過ぎ、再びゴブリンたちに向かって走り出す。ゴブリンたちも慎也に対抗すべく、慎也に向かって走り出す。


(その度胸はすごいと思う・・・・だが!)

「グギャアア!」

「お前らじゃ勝てねえよ!」


慎也は近づいてきたゴブリンのうち1体の首を斬り飛ばす。他のゴブリンたちも次々と慎也に襲いかかるが慎也は、いとも簡単に倒していく。


(これで雑魚は全滅か・・・あとはウォーリアーだけどあいつはいいや!この前は『ブーストアイ』のお陰で倒せたけど、今の俺は普通の状態だから戦うとやられるかもしれないし、てか面倒だし。さっさと耳回収して帰ろ)


慎也はウォーリアーを無視し、転がっているゴブリンの死体から右耳を2つ素早く回収してその場をあとにした。








(あの2人大丈夫かな?せっかく逃したのにまだ森にいたらどうしよう・・)


森から逃げることに成功し、街に戻って来た慎也は森で逃した男女の2人組のことを考えながら、クエストの達成報告をするためにギルドへ向かって歩いていた。


(まあ大丈夫だろ!俺と違ってあいつら2人だし。片方はなんか魔法使いの格好してたし・・・・お!ギルド見えてきたし少し走るか。今日は疲れたしさっさと宿に行って休みたい)


少し先にギルドを見つけた慎也は、疲れた身体を早く休めるため、足を速める。そしてギルドの前へ着き、扉を開けて、クエストの達成を報告すべく受付に向かう。


「クエストの報告に来ました」

「ではお名前とクエスト内容を教えて下さい」

「名前は慎也で、クエストはゴブリン討伐です」

「慎也さんですね・・・・ありました。ではゴブリン

5体を討伐した証明になる物をお見せ下さい」

「わかりました」


慎也はリュックから小さい袋を取り出し、中からゴブリンの右耳を5個取り出す。


「これは・・・耳、ですか?」

「はい。全部右耳なので5体ちゃんと倒した証拠になるかと」

「わかりました。ではこちらが報酬の銅貨10枚です」

「ありがとうございます」

「あ!やっと見つけました!」

(なんだ?)


慎也が報酬を受け取り、ギルドの出入り口へ向かおうとすると、慎也に声がかかる。慎也が声の方へ振り向くと、そこには森で助けた2人組がいた。


「生きていてよかったです!」

「俺はモンスターにやられる気は無いから安心しろ」

「剣士さんそれフラグだ」

「そのフラグを俺は壊す。あと俺の名前は慎也だ、剣士じゃない」

「慎也な。おーけ覚えた!」

「いきなり呼び捨てかよ・・・まぁいいや。それで?お前ら俺に何の用だ?」

「あっ、そうでした!私達お礼を言いに来たんです」

「そんなことためにわざわざ俺を探してたのか?」

「助けてもらったのにお礼もなしにさようならは気が引けるからな」

「では早速・・」

「「危ないところ助けていただきありがとうございました」」

「おう」

「ふぅ・・・さて、お礼も言えたし、次へいきましょう」

「次?」

「ほらラルク、言いたいことがあるんでしょ!」

「お、おう・・・・慎也、いや慎也さん!」

「なんだいきなり?」

「俺を・・・・弟子にしてくれ!」




「・・・・・・・・・・・は?」

「ほら慎也さん!早くお返事を!」

「いやちょっと待て!弟子!?おまえが俺の!?」

「おう!」

「おう!じゃねーよ!お前は弟子がどういうものかわかって言ってんのか!?」

「ちゃんとわかってるよ。わかってなきゃこんな話を持ちかけねえよ!」

「・・・・・一応聞くが、お前らは俺を何ランクだと思ってる?」

「さっき見せた動き的に確実に俺たちより強そうだったから・・」

「Bランクくらいじゃないですか?」

「高すぎだ!言っておくが俺はまだ新米中の新米、Eランクだ!」

「いやいやそんな嘘つかなくてもいいですよ・・・・嘘ですよね?」

「嘘じゃねえよ。なんなら俺の冒険者カード見るか?」


慎也はズボンのポケットからカード取り出し、2人に見せる。2人は記載されている内容を見た瞬間、目を見開いた。


「本当だ・・」

「だろ?だから俺を師匠にするのはやめとけ。他にも強い奴はいっぱいいるんだから」

「うーん・・・・あっ!なら俺たちとパーティーを組んでくれねえか?」

「なぜそうなる」

「だってあんなでかいゴブリンと戦って帰ってこれるほどの実力者なんだろ?そんな奴と一緒に戦ったら今までより楽になると思うんだ」

「それはわからなくもない。だが、その誘いにはのらない」

「なんでだよ!?」

「理由は二つある。まず一つ目だが・・・・お前ら、冒険者のランクは何だ?」

「どっちともDです」

「それだと、俺とお前たちは受けれるクエストの量が違うだろ?だからもし俺がお前らとパーティーを組んでクエストを受ける時、自分のランクより上のクエストに挑んだら力不足でやられる可能性があるから。これが一つ目の理由だ」

「でもそれって私たちがあなたより上のランクだからこその理由なんでしょう?もし同じランクだったらどうしてたんですか?」

「その場合は二つ目の理由で断る」

「二つ目って?」

「二つ目の理由は・・・・仲間を気遣うとかそういうのがめんどくさい、以上!」

「それだけ?」

「それだけだが?」

「・・・・慎也さんってめんどくさがり屋ですか?」

「友達によく言われた」

「慎也ーどうしてもパーティー組んでくれねえか?」

「ああ」

「じゃあパーティーは諦めます。だから時間がある時でいいんで、私たちと一緒にクエストをやってくれませんか?」

「うーん・・・まぁそれくらいならいいけど」

「ありがとうございます!」

「じゃあこのあと早速・・」

「いや今日はもう休む」

「早くない?まだ外めっちゃ明るいけど?」

「いや、あのでかいゴブリンを相手にしたせいでこちとら結構疲れてんだよ」

「そういうことなら今日はいっぱい休んでください」

「おう。それじゃあな」

「あっ!ちょっと待ってください!」

「なんだ?」

「いや、私たちの名前って教えないなと思って」

「そういえばそうだったな。俺の名前はライル、よろしくな慎也!」

「私はリアといいます。よろしくお願いします、慎也さん」

「よろしくな、ライルにリア・・・・さて、じゃあ俺は今度こそこれで」

「今日はゆっくり休んでくださいね」

「わかってる」


そう言い、慎也は2人に軽く手を振り、ギルドを出て行った。





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