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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第二世界 第三章 好きな物には正直に
148/211

亮太の変化

コロナワクチンの副作用で死んでたぜ!




「・・つまりあんたたちは、鈴川の主観で決めた怪しい人に話を聞き回っていたのね」

「そういうことだ」


花乃に事情を話す慎也。するとそれを聞いた花乃は買ったジュースに口をつけて呆れたようにため息を吐いた。


「はぁ・・」

「なんだよ?」

「あんたたち馬鹿じゃないの?そんなので犯人が見つかるわけないじゃない」

「っ!」

(ど直球!俺もちょっと思ってたけど鈴川に気ぃ使って言わないでいたのに言いやがった!)

「し、しかし、手がかり無しに探すよりかはマシでしょう」

「たしかにそうだけど、もしあんたのその目が節穴とかどうすんのよ?」

「どゆこと?」

「心に秘めてるだけで、周りに見せないように賢斗を思ってる人もいるかもじゃん?まあ1番は私だけど」 

(なんだこいつ・・・でも言ってることは正しいしな。さてどうしたものか)

「ならどうやって犯人を・・」

「・・てかさ、そもそも犯人見つける必要なくない?」

「「「は?」」」


花乃の言葉に3人揃って頭に?を浮かべる。


「それってどういう・・」

「そのまんまの意味。犯人が見つからないなら、その犯人が動いた原因である森塚が変わればいいのよ」

「俺が?」

「そそ」

「でも変わるったってどう変わるんだよ」

「そんなの簡単よ。今日あんたがやられたのは、あんたが点取って目立ったのがいけないんでしょ?なら・・









   あんたが賢斗のためだけに動けばいいのよ」

「っ!?」

「お前、何言ってんだ・・?」


花乃からのまさかの提案に3人は困惑する。


「だって点取っちゃったのがいけないんでしょ?なら森塚はゴール前までボールを持って行って、シュートは賢斗任せる。これなら別にいじめられる心配はないでしょう?」

「・・た、たしかにそうだな」

「おい納得してんじゃねえ亮太!」

「伊村さん?あなた何のつもりですか?」

「私はただ解決案を出しただけ。とくに他意はないよ」


そう言うと花乃はジュースを飲み干してゴミ箱に捨てると、3人に背を向ける。


「じゃ私はこれで」

「待ちなさい。聞き忘れてましたが、あなたは今朝どのくらいの時間に学校に?」

「そういやあんたら教室いなかったね。私は寝坊して遅刻したから犯行は不可能。これでいい?」

「・・ええ」

「それじゃあ今度こそさよなら〜」


そう言って花乃はこの場から去った。


「「「・・・」」」

(気まずー!どうすんのこの状況)

「・・とりあえず今日は帰りましょうか」

「え、あと2人いんだろ?怪しい奴」

「もうすぐ5時になるので明日出直しましょう」

「・・それもそうだな」

「・・・」

「おい亮太。伊村の言ってたことは気にしなくていいからな?」

「・・ああ」

(大丈夫かこいつ?)

「では帰りましょうか」


怜は2人と共に学校を出た。その間亮太は暗い表情で何かを考え込んでいて、その様子を慎也はただ心配そうに見ることしか出来なかった。









そして翌日の朝。この日は球技大会の練習があり、慎也は早めに教室に来ていたのだが・・


(・・またかよ)


昨日同じように、亮太の机に今度は"次はないぞ"と綺麗に彫られていた。


「おい亮太気にすんなって」

「そうだぜ」

「犯人見つけたら俺らがぶっ飛ばしてやるよ!」

「・・みんな、ありがとう」


そのそばでは亮太がクラスメイトの男子たちに慰められている。


「・・とりあえず!この机片付けようぜ!」

「そ、そうだな!着替えてねえ奴は早く着替えろよ!」


そう言って体操着姿の男子2人が亮太の机を持って行き、皆解散したが教室内はなんとも言えない雰囲気になっていた。


(こりゃチンタラしてる暇はないな。さっさと犯人見つけねえと)

「おい亮太、大丈夫か?」

「慎也か、おはよう」

「おはよう。てかまたやられたんだろ?」

「ああ。でも大丈夫だ。よし!切り替えていこう!」

(・・無理してんなぁ。このままだといつ病むかわかんねえ。どうしたもんか・・)


何か打開策がないかと考える慎也だが、結局何も思いつかないまま時間だけが流れていった。


↓↓↓↓体育の時間↓↓↓↓


そして時間は進み、他クラスとの練習試合の時間になった。


(今のままでまともにプレイ出来んのかよ亮太)


ポジションは変わらず、慎也はDFのためゴール前で亮太の背中を心配そうに見ていた。


(でもまあ、今回の相手は前回と違って、あの神早みたいな奴はいなさそうだし大丈夫か)


そう思って慎也は試合に集中することにした。









・・・亮太視点・・・



『ピー!』


ホイッスルが鳴ると、亮太のクラスのキックオフで試合が始まった。


「篠宮!」

「任せて!」


亮太は篠宮にボールを渡すと、2人で敵陣に向かって行く。


「行かせねえぞ篠宮!」

「ここでかっこ悪い姿を女子に見せてやる!」

(めっちゃ私情入れるじゃん)

「くっ!森塚君!」

「あいよ!」


数人に行手を阻まれた篠宮は亮太へとパスし、それを受け取る亮太。すると2人の敵が立ちはだかる。


「行かせねえ!」

「今こそ鈴川さんに良いところを!」

(これぐらいなら・・!)


亮太はボールを弧を描くように2人の後ろへと上げて、自身は横から2人の後ろを取ってボールをキープする。


「くっそ!」

「マジか!」

(余裕だ余裕!このまま行くぜ!)


その後も亮太は華麗なドリブルで敵を躱していき、GKと一騎打ちになる。


「止めてやる!」

(よし、ここは右上に・・)


そう思って亮太は足を上げてシュートを打とうとした。しかしその瞬間・・


「っ!」


亮太の脳にあの机の惨状がフラッシュバックする。それによって一瞬シュートを躊躇ってしまう。


(もしここで打ったらどうなる?またあんなことをされんのか?でもここで打たなきゃ・・)


「打たなきゃいけない」という考えと、「打ったらまたやられる」という考えが亮太の脳内に飛び交う。すると亮太の横から"一筋の光"が現れた。


「森塚君!こっちだ!」

(!篠宮・・・そうか、あいつが決めれば)


言われるがまま亮太は篠宮にパスをした。そして篠宮はボール受け取り・・


「うおお!」


シュートを打ち、ボールはゴールへと入って行った。


『キャー!篠宮くーん!』

「森塚君!ナイスパスだ!」

「あ、ああ。篠宮もナイスシュート」

「よし!このままもう1点いこう!」


そう言って篠宮は自陣へと戻って行く。その後ろを姿を見ながら亮太は・・


「・・これで、いいのか?」


と呟いた。




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