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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第二世界 第三章 好きな物には正直に
147/211

犯人探し




「起立!気をつけ!礼!」

『さようなら!』


時間は進み放課後。他の生徒がそれぞれ教室を出ていく中、慎也たち3人は集まっていた。


「んじゃ、犯人探しといくか」

「といっても目星がついてないんだけどな」

「それに関してはこれを見てください」


そう言うと怜は1枚の紙を差し出す。その紙には4つの人の名前が書かれている。


「授業中に私が怪しいと思った人をピックアップしたものです」

「ん?このクラスじゃない奴もいるみたいだが」

「私の視点では、篠宮君がサッカーを選択したことを知っているのは昨日の時点でこのクラスと4組だけですから」

「でもそれ女子経由で他のクラスにも知られてたら意味ないんじゃないか?」

「そうなればもうお手上げです」

「てかこれ所属してる部活とかも書いてあるけど、なんで知ってんだよ」

「平島先生に聞きました」

(おい先生!生徒の情報を簡単に渡すんじゃねえよ!)

「それ先生が簡単に教えていいものなのか?」

「それはわかりませんが、今回の件、先生は出来る限り協力してくれるらしいですよ」

(へぇ〜、あの先生がね)


そう思いながらおもむろに教卓で何かの作業をしている平島先生を見る。その視線に気づいた平島は慎也と目が合うとなぜかウィンクを送ってきた。


(なんだあの人)

「とりあえず、今いる人たちのところに行きましょう」


そう言うと怜は紙を持って教室を出て、その後に亮太もついて行った。


(そんじゃ、俺もいくかな)









「ではまずはここです」


そう言って怜が2人を連れてきた場所は図書室である。


「俺図書室に来たの初めてだな」

「森塚君は本とかは読まないんですか?」

「基本はな。たまに友達にラノベ渡されて読むくらいかな」

(俺はラノベすら読まないけどな)

「では行きましょう」


扉を図書室に入る3人。中は高校受験が近いこともあってか、ほとんど席は勉強をしている3年生で埋まっていた。


「みんな勉強してんな」

「そりゃあもう10月だからな」

「そんなことよりお2人とも、いましたよ」


そう言って怜が窓際の席を指差す。その席には、眼鏡をかけた陰の雰囲気を醸し出す女子生徒が座っている。


「誰あれ?」

「彼女は牧本まきもと星子せいこ。普段は教室でもああやって本を読んでますね」

「ちなみにあいつは篠宮に?」

「落とされてますね」

(陰も陽も関係無しかあいつ)

「で、その牧本が怪しい理由は?」

「教室のゴミ箱から"彼女の名前が書かれた彫刻刀"が出てきました」

「え、待ってそれ俺ら聞かされてないんだけど?」

「見つけたのは他の人ですから。私も帰りのホームルームに先生から言われて初めて知りました」

(いやそこは情報共有してくれよ)

「でも犯人がわざわざ見つかりやすい場所に道具を隠すか?しかも自分の名前が書かれてるやつを」

「それは私も思いましたが、ありえないとも言えないので」


そう言って怜は牧本星子のところへ歩いて行き、それに2人もついて行く。


「・・隣、いいですか?」

「・・どうぞ」


星子の了承を得て怜は星子の隣へ。2人もそれに続いて怜の隣に座る。それを見て状況を察した星子だがすぐに手元の本に視線を戻す。


「・・私を疑ってるんですか?」

「ええ。あなたの彫刻刀がゴミ箱から見つかったので、一応は疑ってますよ」

「そう」

(結構落ち着いてるなこいつ)

「私に罪を着せるためにわざと捨てたとかは考えなかったんですか?」

「考えてますよ。先程も言ったように、一応なので、あなたが犯人とは断定してません」

「それならいいわ・・・それで、何か聞きたいことがあるんでしょ?」

「・・今朝、あなたが登校してきた時間はいつくらいですか?」

「8時くらいね。部活のことで顧問に用があったから職員室に行ってたの」

「用というのは?」

「美術部をやめて茶道部に入ろうと思って、書類を貰いに行ったんですよ」

「なるほど」

(別に変なところはないな)

「なあ鈴川?こいつアリバイはあるみたいだし犯人じゃないんじゃないか?」

(まだ決めんのは早いと思うが、まあアリバイあるのはでかいな)

「・・まあ断定は出来ませんが、よしとしましょう」


そう言って怜は立ち上がる。


「お時間をとってすみません。私たちはこれで失礼します」


一礼して怜は2人を連れて図書室をあとにした。









そして次は活動中のテニス部がいる体育館へやったきた3人。


『篠宮くーん!』

「みんな応援ありがとう!」

「「「・・・」」」


そんな3人は、数人の女子マネージャーから声援を送られる篠宮賢斗、という光景見て心のから「帰りたい」と感じていた。


(え、なにあれ?俺くそ帰りたいんだけど。今からあのマネージャーの誰かに話しかけんの?無理なんだけど)

「慎也、ここは鈴川に任せよう」

「そうだな。俺らには荷が重すぎる」

「いや先程牧本さんに話しかけたのは私なんですから、今度は2人のどちらかが行ってくださいよ」

「えぇ・・」

「・・仕方ない。慎也!ここは命を賭けたジャンケンといこうか!」

「・・恨みっこ無しだぞ!」

「「最初はグー!ジャンケン・・」」

「何やってるんだい3人で?」


3人がすみで話していると、それを見つけて篠宮が3人の元にやってきた。


「もしかして僕に何か用かい?」

「いえ、別にあなたには・・」

「・・おい鈴川」(小声)

「なんですか?」

「ここは篠宮にその怪しい奴を呼んできてもらおうぜ?どうせ俺らが呼んでもそいつ絶対来ねえだろ」

「・・たしかにそうですね。不本意ではありますが」

「ん?どうかしたかい?」

「いえ何も。それよりも篠宮君、桐原きりはらさんを呼んできてもらえますか?」

「彼女を?まあわかったよ」


それから少しして、篠宮が1人の金髪の女子を連れて3人の元に戻ってきた。


「げっ、鈴川じゃ〜ん!」

「篠宮君ありがとうございます。ではあなたは戻ってもらって構いません」

「いや僕も聞くよ。今朝のことなんだろ?そのメンツを見る限り」

「・・まあいいでしょう」


さっそく鈴川は話を切り出す。


「桐原さん。あなたが呼ばれた理由はなんとなくわかりますよね?」

「森塚がいるってことは〜、もしかしなくても私疑われてる〜?」

「ええそうです」

「ちなみに怜さん。それって何を基準に怪しいと決めてるんだい?」

「私から見たあなたへの好感度で決めています」

「見てわかるもんなのそれ?」

「案外わかりやすいですよ。でまあ、桐原さんは私から見たら森塚君に手を出してもおかしくないほど篠宮君が好きみたいですから」

「ちょ!そんな褒めないでよ〜!」

(いや褒め・・・てはいるのか?)

「それで、あなたは今朝何時に学校に来たんですか?」

「たしか〜、森塚が机がやられてることに気づいて怒鳴った辺りかな〜?何時だっけ〜?」

「俺が気づいたのは8時半くらいだな」

「なるほど。それを証明してくれる人はいますか?」

「それは僕が証明出来るよ」

「というと?」

「実は昇降口のところで彼女とばったり会ってね。そこからそのまま一緒に教室に行ったんだ」

「なるほど。そうなるとアリバイは一応あるんですね」

「そだよ〜!だから私は犯人じゃないって〜!」

「・・わかりました。一応聞きたいことはもう無いので戻ってもらっていいですよ。お時間を取ってしまってすみません」

「あいよ〜!それじゃあ篠宮君行こ〜!」

「ああ。それじゃあ3人とも頑張ってね」


そう言い残して篠宮と桐原は部活に戻って行った。









「ん・・ん・・ぷふぁ!」

(やっぱカルピス最高だわ)

「よく呑気に飲み物なんて飲めますね」

「仕方ねえだろ喉乾いたんだから」


あれから3人は1度休憩しよう近くの自動販売機のところで水分補給(慎也のみ)をしていた。


「んで?犯人の目星はついたのか?」

「いえまだまだですよ。2人の話を聞く限りおかしな点はないので、いるとしたら残りの2人、もしくはそれ以外の誰かですね」

(まあ俺もわかんねえだけどな)

「これほんとに大丈夫なのか?見つかる気がしないんだけど」

「そうですね・・」

(正直今のままじゃキツイなぁ。"昔"は相手があからさまだったからすぐわかったが、今回の相手は中学生、しかもワンチャン俺より頭がいいかもしれんから、どうしたもんかね・・・)


慎也はため息を吐きながら再度カルピスを口へ運ぶ。


「ちょっとそこ邪魔」

「ん、ああ悪い」


そう後ろから声をかけられ、慎也は慌ててその場からどく。


「・・って伊村か」

「ん?村上じゃん。何やってんのここで?」


その声の主は伊村花乃であった。




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