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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第二世界 第三章 好きな物には正直に
146/211

件の原因




「・・で、どうするんですか」

「え、何が?」


平島に言われて物置に向かう2人。


「森塚君の『犯人を見つけて注意する』という意思を尊重するのはいいんですが、その肝心の犯人が分からないじゃないですか」

「まあそうだよな。うーん・・・学校での亮太ってなんか嫌われるようなことしてんの?」

「私の記憶ではとくにそのようなことは。むしろ周りには好印象ですね」

「そうか・・」

(となると日頃の行いが悪いってわけではねえのか)

「となると亮太が気に触るようなことをしたってことだな」

「それも昨日のうちにですね」

「え、なんで?」

「昨日まではいつも通りだったじゃないですか。そうなると昨日何かをしてしまったとしか思えません」

「まあそうか。しかし昨日か・・」


昨日の亮太の様子を思い出そうとする2人。すると怜がハッ!と何かを思い出したのと同時に深くため息をついた。


「はぁ・・まさかあれですか」

「なんかあったのか?」

「昨日の体育の授業、覚えてますか?」

「たしか球技大会の練習だったよな」

「そこで森塚は何をしましたか?」

「最初の数分は知らんが、その後試合で篠宮と一緒にゴールを決めて勝ったよな。それの何が問題なんだ?」

「普通は何も問題ありませんよ。ですがこの学校が普通ではないのは知ってますよね?」

「まあ、お前や篠宮みたいな良い意味でおかしい奴がいるしな」

「ええ。そして、今回の件の問題になるのが篠宮君という存在です」

「あいつが?というあいつが犯人ってことか?」

「いえ、彼は直接的にはこの件には関わっていません。ようは・・」


話を続けようとした怜だったが、気づけば2人は物置についており話を中断する。


「話の続きは昼休みに、森塚君も交えて食堂でしましょうか」

「いやそこまで話したんなら話せよ。気になるじゃん」

「お楽しみは後にとっておく方がいいでしょう」

(何がお楽しみだよ)

「それにこれは森塚君とも共有しておいた方がいいと思いますしね」

「共有には賛成だが・・」

「ならさっさと運びましょう。授業に遅れたら困りますし」

「へいへい」


話を中断して2人は亮太の机を物置に置いて新しい机を持って教室へと戻って行った。









時間は進み昼休み。いつも通り誘ってきた篠宮賢斗を払って怜は言った通り慎也と亮太を連れて食堂に来た。


「んじゃ、あれの続きを聞いていいか?」

「そうですね。でもその前に森塚君」

「な、なんだ?」

「あなたにも村上君と話したことを伝えておきます」


そう言って怜は、『篠宮賢斗が今回の件に直接ではないが関わっている』ということを伝える。


「まさか篠宮が・・」

「でも直接ではないんだろ?」

「ええ。結論から言うと、森塚君は昨日体育の授業で篠宮より"目立ってしまった"というのがこの件が起こった原因ですね」

「「・・・は?」」


怜の放った言葉に2人は唖然としていた。


「・・いやいや、何言ってんだ鈴川?」

「それぐらいで俺がいじめられるわけねえだろ」

「私も信じたくありませんよ。ですが、今やこの学校の女子ほぼ全員を虜にしている彼ですよ?1人や2人、頭のおかしい人がいないとは断言できません」

「・・おいまて、その言い方だと今回の犯人はその篠宮に落とされた奴らってことか?」

「私の考えが正しければ、ですけど。ただそれ以外に思いつきませんよ」

「サッカーが上手い亮太に嫉妬した男の仕業とかじゃないのか?例えば昨日の足の速かった神・・神・・」

「神早な」

「そうそいつ!」

「ありえませんね」

(まさかの即答!?しかも否定されたし)

「なんでだよ。ありえない話じゃないだろ」

「いいえありえません。今この学校の男子生徒のヘイトは全て篠宮君に向いています。そんな環境でサッカーが上手い程度でいじめられるわけないですよ」

「え、そうなの?」

「まあ、うん、そうだな。そんなことでいじめるくらいなら鈴川に勝つために努力した方がいいし」

(マジか。やっぱイケメンすげえな。ある意味尊敬するぞ)


篠宮を心の中で褒める慎也をよそに、亮太は怜に質問する。


「でも俺が篠宮より目立ったってどういうことだよ?そういう要素なかっただろ?」

「あなたと篠宮君は試合でどちらともゴール決めた。やったことは同じですが、状況が違ったんですよ」

「状況?」

「彼が決めた1点はあくまで先制点。その後に神早君が点を取って同点になりました」

「ああ。そんで俺がさらに1点決めて勝ったんだよな」

「ではお2人に聞きますが、試合において普通のゴールと勝利の決め手となったゴール。どちらが見ている人の印象により残るでしょう?」

「そりゃあ」

「勝った方だろ・・・ああなるほどな」


ここにきて理解を示す慎也。一方まだ理解出来ていなかった亮太に慎也は説明する。


「どゆこと慎也?」

「鈴川の言った通り、昨日はお前のゴールで勝利した。そんでまあ、さっきの質問通りにいくとお前のゴールが篠宮のゴールより目立ってしまって今回の件が起こったんだよ」

「それならあの『出しゃばるな』って言葉にも納得がいきますしね」

「・・ああなるほど!理解した!」

「ご理解いただき感謝する。てこと肝心な犯人だけど、たぶん過激な篠宮の女か誰かだろ」

「それかゲイのどちらかですね」

「・・え、この学校ゲイいるの?」

「まあこの学校いろいろすごいからな。ゲイの1人や2人いるだろ」

(・・一応後ろには気をつけよ)

「それじゃあ私はこれで失礼します。犯人探しは明日にでもしましょう」


そう言う怜は自身の昼のトレイを持ってその場を立ち去った。


「俺らもさっさと食って戻るか」

「そうだな」


その後は雑談をしながら2人も飯を済ませて教室に戻って行った。




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