いつもの日常
今までの普通の話(番外編・設定を除く)で1番短いと思う今回。
『私、かっこいいと思いますよ』
あの一件から半月から経った。その半月の間、街を襲ってきたリオンズの討伐や、剣道部の部活動に追われながらも、慎也は充実した毎日を過ごしていた。そして現在は・・
「はあ!」
「おっと」
剣道部の活動場所である体育館で、怜の猛攻をひたすら捌いていた。
(毎回これやっててよく飽きねえなこいつ)
これは怜曰く、「自身の攻めの能力を上げる練習」らしく、最初はめんどくさがっていた慎也だったが、弱みを握られている以上断ることはできず、渋々了承するしかなかった。そしてその結果、部活動がある度にこれをやるのがお約束になっている。
「おいもう休まねえか?もう20分はこうしてるぞ」
「・・そうですね、やりすぎは体に悪いですし」
(20分の時点でやりすぎなんだけどな)
慎也の提案に乗った怜は攻撃を止め、壁の隅に置いてある自身の飲み物を一口飲んで瞑想を始めた。
(毎回思うけど瞑想が休憩方法ってなんだよ。俺はそんなんじゃ全然休めねえよ)
瞑想している怜を横目に慎也も水分補給をする。するとそこに剣道部の顧問がやって来た。
「いやー今日もすごかったな!」
「どうも」
「それにしても、あの時見学しに来た小僧が、まさかあの鈴川と渡り合えるほどの実力だったとはな!」
「いやこっちは守るので精一杯ですよ」
(まあ嘘だけど)
「よく言うぜ。鈴川が誰かとの戦いで汗をかくのは珍しいことなんだぞ?」
「・・そうですか」
(どんだけ凄いんだよ鈴川)
「しかしこれで11月の県大会も安心だな!」
「あ、それ俺も出るんですか?」
「当たり前だろう!今や鈴川と戦えるのはお前だけなんだから!」
「えぇ・・」
めんどくさそうにため息をつくと、瞑想を終えて怜が2人の元にやってきた。
「村上君、休憩は終わりです。次はあなたが攻めの番ですよ」
「え、もうちょっときゅ・・」
「行きますよ?」
「・・はい」
有無を合わさず怜は慎也を連れて行った。
「・・鈴川が楽しそうでなによりだ」
2人の様子を見ながら顧問はそう呟いた。
その翌日、何事もなく慎也はいつも通り学校に登校していた。
「おはよう慎也!」
「ああおはよ」
「なあ慎也!もうすぐ"あれ"がやるな!」
「あれ?」
「俺はやっぱサッカーにしようと思うんだけど、お前は何にすんだ?」
「え、なにって・・」
「もし決まってないならサッカーにしないか?俺はみっちり教えてやるぜ!」
「お、おう」
(なんの話だ?もしかして体育の話とか?)
亮太の言う"あれ"というのがわからず頭の中が?でいっぱいになる慎也。するとチャイムが鳴ると同時に教室に先生が入って来た。
「よーしお前ら席につけー。日直頼むー」
「起立!礼!」
『おはようございます!』
「はいおはよう。今日はとくにねえな。なんか知らせがある人ー」
「先生!"あれ"の話はしなくていいんですか?」
(また出た。あれってなんだよ)
「あれ?」
「ほら!再来週の!」
「・・あああれか。帰りの学活に決める予定だ・・
"球技大会"の競技決めは」
(・・球技大会?)