鈴川怜という人間
「ポケモンたのちー!」「チェンソーマン面白えー!」「ぼざろ神ー!」「ブルーロックえぎー!」とか言ってたら遅れましたすみません!反省はしてません。
「・・・」
「・・どうかしましたか?」
「いや、よくこの状況で食えるなと思って」
食堂についた2人はさっそく席について食事を始めるが、『鈴川怜が誰かと食べている』という異様な光景に周りの生徒の視線が釘付けになる。
「注目されるのには慣れてますから」
「・・まあそりゃそうか」
「さて、ではそろそろ部活について話しましょうか」
そう言って怜は箸を置いて話し始めた。
「基本剣道部は火水木の3日です。ただ大会が近い時は土日も練習があります」
「ふーん。ちなみに大会って次いつあんの?」
「11月の県大会が1番近いですね」
「地区大会は?」
「地区大会は夏休み中に終わりました」
(へぇ〜。鈴川も出場したのかな?)
「ちなみに結果は?鈴川がいたから圧勝とか?」
「予選落ちですね」
「・・え?」
「もちろん私も出場しましたよ。ただ私個人では圧勝だったんですが、団体戦の対勝負だったので2勝3敗でこっちが負けました」
「た、対勝負?」
「そういうルールに関しては部活で教えますよ。とまあそんな感じで、私1人が強くてもチームが強くなければいけないということですね」
「ちなみにその県大会のルールはどうなんだ?」
「顧問が言うには個人戦のトーナメント戦らしいです」
「トーナメントならお前の無双じゃん」
「どうやら顧問もそれに期待してるみたいです」
(そういや先週行った時も、顧問の先生めっちゃ鈴川のこと信頼してたしな)
「さて、私はこれで失礼します」
「・・知らんうちに食べ終わってんじゃん」
「では放課後に」
そう言って怜は食器の乗ったトレイを片付けて食堂を出て行った。
(俺もさっさと食って教室戻るか)
「・・・って、あいつ財布忘れてんじゃん」
残された慎也も手早く昼飯を食べ終わり、食器を片付けて怜の財布を回収すると、食堂を出ようと食堂の出口に歩き出そうとした。
(とりま財布を鈴川に返すか)
「おい待て1年!」
(・・あ?)
赤青黄色と個性溢れる髪色をした3人組の男子生徒が慎也の行手を阻んだ。
「ちょっと俺らについてきてもらおうか」
(・・ここで拒んでも後々面倒なことになりそうだし、仕方ない)
「へいへい、わかりましたよ」
「チッ、余裕ぶりやがって」
慎也は素直に言うことを聞き、3人組の後について行った。
「・・止まれ」
そう言われて慎也は足を止める。慎也が連れてこられたのは先週、怜に連れられて来た体育館裏であった。
(さーて俺はこれからどうなるのやら)
「単刀直入に聞く。お前、鈴川を脅してるだろ?」
(・・あーなるほど。そういう考えになるか)
「いや脅してないぞ」
「てめえしらばっくれてんじゃ・・!」
「まあ落ち着け。じゃあお前は鈴川になんかの勝負で勝ったのか?」
(・・そういや俺、身体能力は勝ってるだろうけど、実際に勝負して勝ったことはねえな)
「いやそりゃ勝って・・」
「お前のような有名でもなんでもねえ奴が鈴川に勝てるわけねえだろ!」
(否定する前に否定されることある?てかさりげなくディスられたな)
「いや勝っては・・」
「おいこいつまだ勝ったと言うつもりだぜ!」
(もう人の話聞く気ないやん!今俺「勝ってはないけど」って言おうとしたんだけど!)
「・・ふ、そこまで言うならよぉ」
そう言うと3人の男たちは手で拳を作って構える。
「俺らと戦って勝ってみろや!もし勝ったら脅してないって信じてやるよ!」
(・・全く、お前は罪な女だぜ鈴川)
「1つ聞いていいか?」
「あ?なんだ?」
「お前らって鈴川のこと好きなの?」
「当たり前だろ!この学校に鈴川が嫌いな男はいねえよ!」
「・・そうか。わかった」
「おら行くぞ!」
そう言い放ち、赤髪の男が慎也に殴りかかった。
↓↓↓↓数分後↓↓↓↓
「どうした、もう終わりか?」
そう言って慎也は地面に脚を押さえて倒れている男たちのうちの1人を足でつつく。
「て、てめえ卑怯だぞ!」
「いや、蹴りやすい立ち回りをしたお前らが悪い」
「それでもだろ!」
「すねを蹴るなんて!」
「逆に俺それ以外やってないんだからいいだろ」
慎也はめちゃくちゃに殴りかかってきた男たちと反して、男たちのすねを蹴って行動不能にしたのだ。(すねの痛みは結構わかる by作者)
「さて、それじゃ俺はお前らに勝ったし俺はこれで」
「ま、待て・・!」
「・・あ、そうだ。お前らに1つ言っといてやる」
立ち去ろうとした足を止め、慎也は男たちに言う。
「出会って間もない俺が言うのもなんだけど、少なくとも鈴川は数人で1人を襲うような奴には振り向かねえぞ」
そう言い残し、慎也はその場から離れた。
(さて、教室戻って授業の準備したら寝ようか・・)
「あなたは私の彼氏なにかですか?」
「うっおいたのか!?」
慎也が曲がり角を曲がったところで怜が待ち構えていた。
「気配消すのうますぎだろ。全く気づかなかったわ」
「一応この学校で"元"最強の人間ですから」
「今もだろ?俺をいれるな」
「そんなことより、先程のセリフですが」
「ああ。あいつらお前のこと好きっつってたからな、俺からのアドバイスだ」
「それでも私と出会ってまだ1週間も経っていないのに、よくもまああんなに偉そうに言えましたね」
「そりゃあ一応、その1週間にも満たない時間で、お前が彼氏に求める条件はわかったからな」
「そうですか」
「そういえばなんでお前ここにいんの?お前俺より先に食堂出たから俺が連れて行かれるところなんて見てないだろ?」
「実は食堂に財布を忘れてしまって、引き返した時にちょうどそこで、村上君があの人たちについて行くところを見たんです」
「財布・・・ああそうだった」
怜の言葉で思い出した慎也は慌ててポケットから財布を取り出すと、怜に差し出す。
「ほれ、お前の財布」
「あなたが持ってましたか。ありがとうございます」
「おう」
『ピーンポーンパーンポーン』
礼を述べて怜が慎也から財布を受け取ると、それと同時に昼休みを知らせるチャイムが鳴った。
「・・たしかチャイムって授業の5分前に鳴るんだよな」
「そうですね」
「・・ここって教室から結構離れてるよな」
「まあ階段とかも合わせるとざっと300mですね」
「すぅー・・・急ぐぞ鈴川!」
「はぁ・・」
そうして2人は足早に教室へと向かった。
時間は進み、午後の授業が終わって放課後になった。慎也と怜は昨日の一件でいつものショッピングモールが閉鎖されていたため、今日は電車でまた別のショッピングモールにある剣道専門の店へと来ていた。
「会計終わったか?」
「はい。これ竹刀です。無くさないでくださいね」
「あれ?防具は?」
「防具は私の家に配達してもらうことにしました」
「マジで?何から何まですまんな」
「大丈夫です、その分働いてもらいますから」
(何をやらされんだ)
「では帰りましょうか」
「だな。俺らが駅についたタイミングで電車来ねえかな」
「そんな都合よくいかないでしょう」
その後もたわいもない話をしながら目的の駅へと向かう。
「・・ほんとにちょうど電車が来ましたね」
「ふ、やっぱ日頃の行いのおかげだな」
そう言って慎也が改札を通ろうとした瞬間だった。
『ドゴーーーン!!!』
「「っ!?」」
遠くから大きな爆発が起こり、2人は足を止めて音のした方に振り向く。その方向から慎也は微かに魔力を感じ取っていた。
「・・ほんと日頃の行いがいいですね」
「うるせ、俺は行くが鈴川は?」
「私も行きますよ」
「了解」
2人は駅を出て爆発のした方に走り出した。
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「たしかここら辺で・・」
「村上君、上です!」
「!」
怜の指した方向には、体が上半身だけの杖を持った大きなガイコツが浮いていた。