今後の対応
(・・まあ来るとは思ってたよ)
ショッピングモールでの一件から、慎也は無事に帰宅することに成功し、そのまま夜を迎えて就寝した。そして今慎也は3度目の白い空間へと来ていた。そして案の定慎也の前にはルキエスがいる。
「呼び出した理由、わかるよね?」
「はいまあ、現場にいたし何なら退治しましたから」
「今回君の前に現れたあの狼たち、あれは間違いなく"リオンズ"だ」
「やっぱりですか。死に方がバルシムと同じでしたし。でもあの狼たちさすがに弱すぎましたよ」
「まああれはいわゆる雑魚兵だからね。君が戦ったバルシムとは比べ物にもならないよ」
「ですよね」
(あれ、でもさ・・)
「たしか世界ってルキエスさんたちが結界?で守ってるんですよね?なのになんで今回狼たちがあの場に?」
「ああ、まずはそれについて謝らないといけないね」
そう言ってルキエスは慎也に向けて頭を軽く下げて謝罪を述べた。
「リオンズの侵入を許してしまって申し訳なかった!今回は完全な僕のミスだ」
「というと?」
「言い訳にしか聞こえないかもしれないが、僕の意識は完全に結界を攻撃している大きな力の方に向いていた。それゆえにそれ以外の小さな力に気づかなかったんだ」
(なるほど。まあたしかに大きいものを見てれば小さなものを見落とすこともあるか)
「大丈夫ですよルキエスさん。俺もよく元いた世界でそういうミスしてきましたから。許しますよ」
「本当かい?君は優しいね」
「そうですか?」
「そうだよ。それで、謝罪した後に言うのもなんだけど、もし今回みたいなことがまた起こったら、退治頼めるかい?」
「まあルキエスさんが見落とすレベルの雑魚ならいくらでもぶっ飛ばしますよ」
「そうか、それはよかった」
慎也の言葉に安心してルキエスは椅子を生み出してそこに腰掛ける。
「さて、ここまで話したけど、今君が最も警戒しないといけないこと、わかるかい?」
「え?そりゃあ今後来るリオンズの兵とか?」
「それもそうだけど、君が逃したあの"白色の狼"だよ」
(あーあいつか)
「今は大人しくしているようだけど、あれが暴れたらおそらくそこら一帯はただ済まないだろうね」
(まあなんかあいつ、強者感かなりあったしな。出来れば戦いたくねえな)
「それと、話変わるけど君にプレゼントがあるよ」
「プレゼント?」
「はいこれ」
そう言ってルキエスが差し出してきたのは、1つの黒いサングラスであった。
「サングラス?」
「ああ。君がこれからリオンズと戦っていく上で、この世界の住民に君の力がバレたらいろいろと面倒になると思うからね。身バレを防ぐための変装道具さ」
「でもこんなサングラス1つで大丈夫なんですか?」
「そこは安心したまえ。このサングラスはただのサングラスではなくてね、特別な能力があるんだ」
「能力?」
「まあ実際に見てもらったほうが早いかな」
そう言ってルキエスは慎也の前でサングラスをかけて1つの質問をする。
「さあ村上慎也、僕の"名前"を言ってごらん?」
「・・・は?なんですか急に。"初対面の人"の名前なんてわかるわけないじゃないですか。それよりルキエスさんが急に消えて・・」
「ここだよー」
慎也の解答に満足してルキエスはサングラスを外す。
「え!?ルキエスさんいつからそこに!?」
「今ここに僕と同じ格好のサングラスをかけた男がいたよね?それが僕だよ」
「え?さっきの変な人が?」
「それがこのサングラスの能力!このサングラスをかけた者は他の者に自分だと認識されなくなるんだ!」
(え、マジで?めっちゃ便利やん)
「ただ1つ注意点があるんだ」
「注意点?」
「これ、かけるところを見られても相手は自分だと認識出来ないんだけど、逆に外すところを見られると、その人に今後一切サングラスの能力が効かなくなるんだ」
「え?じゃあ今ルキエスさんがつけても?」
「君は僕だと認識出来るよ。だから外す時は注意してね」
そう言ってルキエスはサングラスを慎也の手に握らせる。
「さて、これで話は終わりだよ」
「それじゃあ俺を帰してください」
「あいよー、今後のリオンズの対処お願いね。あ、あと学校の方も頑張ってね」
「へーい・・」
その言葉を最後に慎也の意識は闇へと落ちていった。
(さーて今日の天気予報は〜・・)
朝食を机の上に置いて天気予報を見るために、慎也はテレビをつけた。
『続いてのニュースです。昨日起こったショッピングモールでの狼による騒ぎ、そしてそこにいた謎の少年について・・』
「・・・うそん」