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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第二世界 第一章 新たな世界へ
125/211

初登校




(・・一瞬だったな、1週間)


ルキエスから学校に行けと言われて1週間が経ち、とうとう初登校日を迎えた慎也。数日前に届いた大須賀中学校の制服で身を包み、朝食を取りながら朝のニュースを見ていた。


(今日1日はずっと晴れか。雨だったら休もうかなってちょっと思ったぜ。時間はまだ余裕あるけど、早めに行っちゃってもいいかもな)


朝食を食べ終えた慎也は食器を軽く洗剤で洗って片付けると、寝室に戻り事前に買っておいたリュックの中に上履きやらなんやらを入れて行く。


(とりあえずこんなもんか。どうせ夏休み明け初日は授業とかしねえだろ)


入れる物を入れた慎也はリュックを閉めて背負い、1階へと降りて玄関で靴を履く。


「行ってきまーす・・」

(って誰もいねえけど)


少し虚しい気持ちになりながら慎也は玄関を開けて外に出る。するとそれと同時に太陽の日差しとそれによる暑さが慎也を襲った。


(あっつ!やっぱ8月が終わったからってすぐに暑くなくなるわけじゃねえか)

「はぁ、とりあえず途中のコンビニか自販機で飲みもん買ってくか」


そう呟いて慎也は学校へと向かって行った。









(いやぁ事前に下見しに来ててよかった。してなかったら普通に迷ってたわ)


そう思って少し苦笑いを浮かべながら道中の自販機で買った飲み物を飲む慎也。


(大須賀中学校・・・俺今日からここに通うのか)


慎也の目の前にそびえ立つ綺麗な校舎に、それへの入り口である校門。ここ、大須賀中学校は全国の中学校の中で最高峰の敷地の広さを有する中学校で、それだけでなくその中学校の部活は各々の大会で優秀な成績を収めているため、かなりレベルの高い中学校と有名なのだ。そんなところで上手くやっていけるかと少し不安になりながら、慎也は校門を通る。


(とりま職員室行って担任の先生に会うか。場所とか知らんけど、そこら辺の掲示板に地図あるだろ、俺の中学校もそうだったし)


昇降口まで来た慎也は上履きの入った袋を出し、まだ自分のクラスがわからないため、靴をその袋に入れて上履きに履き替える。そしてちょうど近くにあった掲示板で校内の地図を探す。


(地図は・・・あったあった、職員室は1階か。4階建ての校舎で2階から学年ごとのクラスで、1階は職員専用らしき部屋でいっぱいだな。まあ俺には関係ないだろうけど)


職員室へのルートを確認して慎也は寄り道を考えずに真っ直ぐ職員室へ向かった。


(それにしても内装も綺麗だな。この前一応口コミとか調べてかなりの高評価だったけど、今のところ納得だわ。あとは先生とか校則だな)


そんなこんなで慎也は職員室と書かれた看板が付いた扉までやってき、ノックをして扉を開けた。


「失礼します!今日からここに転校した村上慎也です!担任の先生は・・」

「あなた学年は?」

「1年です」

平島ひらしま先生!来ましたよ!」

「ん?おー来たか」


他の先生に呼ばれ、奥からアイマスクを外しながら眠そうに白衣を着た茶髪の男性が慎也のところに来る。


「やあおはようさん、村上」

「お、おはようございます」

(なんかこの激ヤバ学校のイメージに合わないくらいだらしない先生だな。見た目だけか?)

「とりあえず立ち話もなんだし、こっちに来てよ。渡したい物もあるし」

「へーい」


言う通りに慎也は平島という男について行き、その男と机を挟むようにソファに座る。


「まずは、はいこれ」

「学生証ですか」

「そう。無くさないように気をつけてね」

(まあリュックにずっと入れとけば大丈夫だろ)

「校則とかはそれに載ってるから見といてね。それと、少し早いけど入る部活は決めてるのかな?」

「へ?部活?」

「知らないの?この学校は何かしらの部活に入部しないといけないルールだよ?」

「・・・マジですか?」

「マジだよ」

(えーめんどくせえ。帰宅部も一応部活だからって通用しねえかな)

「あ、ちなみに帰宅部も一応部活だからOKっていう屁理屈は通用しないからね」

「・・はい」

(先読みされてたわ)

「一応1週間は待つから、別に今部活は決めなくていいよ。それじゃあそろそろホームルームだし行こうか。ふぁ〜あ・・」

「眠そうですね」

「まあね。はぁ、家帰って寝たいな」

(よく先生になれたなこの人)


「担任がこの人で大丈夫か?」と少し思いつつ、慎也は平島の後について行き職員室を出て行く。


「そういえば先生?」

「ん?」

「昨日までここ夏休みだったんですよね?その、宿題とか俺はどうするんですか?」

「いややんなくていいよ全然。てかむしろ数日で終わらないでしょ」

「まあたしかに」

「転校生の君は他の人とは違って0からのスタートだ。夏休みの宿題で加点減点はないよ」

「そうですか」

「あ、それと1つ言っとかなきゃことあるんだよね」

「なんですか?」

「君の入る1年5組。結構レベル高いから頑張ってねと」

「レベル高いって、具体的に言うと?」

「そうだねぇ、例をあげるなら、プロレベルの上手さのサッカー少年とか、世界が認めるイケメンの御曹司とか、その他もろもろだね」

「ふーん」

「でも1番やばいのは彼女かなぁ・・」

「彼女とは?」

「・・それはお楽しみということで」

(なんじゃそりゃ)

「ほい、もう着いたよ」


1年5組と書かれた看板が付いた教室まで来た2人。平島は「ここで待ってて」と慎也を廊下において、自身は教室をへと入って行った。慎也は何もせず待っているのもあれだったため、聞き耳を立てて中の様子を伺う。


『はーいみんな席着いてねー、ホームルームやるよー。ふぁ〜あ・・』

『先生眠そうですね!』

『そりゃあこちとら深夜までゲームしてたからなぁ』

『仕事じゃねえのかよ!』

(一応不人気ではなさそうだなあの先生。というかちょっと人気め?)

『それじゃあ日直・・・って思ったけど、誰か覚えてないからリセットして出席番号順にいこうか。てことで青山』

『はい。起立!気をつけ!礼!』

『『『おはようございます!』』』

『はいおはようさん。それじゃあ今日の予定を・・・と言いたいところだけど、今日はみんなに伝えとかないといけないことがあるんだ』

『なんですかー?』

『村上ー!入ってこーい!』

(やっと呼ばれたか)


平島に言われるがまま、慎也は扉を開けて中へと入る。その瞬間クラスメイトの皆の視線が一斉に慎也へと向けられる。


「それじゃ自己紹介」

「へーい。今日からこの学校に転校してきた村上慎也です。これからよろしくお願いします」

「はいあんがと。今日からこいつもこのクラスの一員だから、みんなよろしくやれよー。村上の席だけど、1番後ろの右から2番目が空いてるからそこで」

「わかりましたー」


平島に指定された席に向かいリュックを置いて着席する慎也。それを確認した平島は今日の予定を話し始めた。


「このあとは全員で体育館に・・」

(あれか、始業式か。校長の話とか寝過ごそうかな)

「なあなあ?」

「ん?」


気だるそうに平島の話を聞いていると、慎也の1つ前の席に座っている黒髪ショートの男子が小声で慎也に話しかけてくる。


「俺は森塚亮太もりつかりょうただ。よろしくな慎也」

「あ、ああ」

(うわぁ陽キャオーラガンガンに出とるわ。こういうやつがモテるんよな)

「休み時間にでもこの学校案内してやるよ。まあ明日になるだろうけど」

「いや案内してくれるだけでもありがたい。この学校見た感じかなり広そうだし」

「だよな。俺も入学当初は結構驚いたぜ。でも構造はわかりやすいからすぐ覚えれると思うぜ」

「そうか」

「それじゃあお前ら廊下に並べー。遅れたら怒られんの俺なんだからー」

「行こうぜ慎也」

「へいへい」


平島の指示通りに皆次々と廊下に出て整列して行き、体育館へと向かって行った。




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