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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
物語は次世界へ
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3日目 ライル編

頭の中ではすでに物語が出来てるんだけどね、いざ書こうと思うといまいちやる気が出ないんよ。俺の悪い癖だわ。




「・・なんかやっとお前かって感じだわ」

「どした急に?」


アクシデントはあったものの、無事ハーツと共にストーンゴーレムを討伐した慎也。その後街に帰還した慎也は次の番であるライルと合流していた。


「それより俺ら今どこに向かってんだ?」

「ん?俺の親父の知り合いが今日の祭りで屋台をやるみたいだから、それの手伝いをしに」

「ほーん。てかハーツさんも言ってたが、祭りって何の祭りやんだよ?」

「そういえば慎也には言ってなかったな。今日はこの国の建国記念日でな、それで祭りを催すんだよ」

(国?・・・あーそういえばここって一応城とかあったな。この世界来てから街しか興味なかったから忘れてたぜ)

「それにしても今年もみんな気合い入ってんなぁ」


街中は市民による屋台がすでに何個か出ており、すっかり皆その気になって準備をしている。


(そういえば元いた世界ではめんどくて祭りとか行ってなかったな。全部の世界救ったら夏菜と秀斗誘って行ってみるか)

「お、見えてきたぜ。おーいおじさーん!」


そう呼びかけながら手を振ると、その先にいた中年の男性が手を振り返してきた。


「よーライル!悪いな来てもらって!」

「いや、ちょうど暇だったから気にしなくて大丈夫だぜ」

「それでライル、そっちの奴は・・」

「こいつは慎也だ。前に話しただろ?」

「ど、どうも」

「慎也って・・・まさかあの紅青の救世主のか!?」

「ああ!その慎也だ!」

(俺も随分と有名になったもんだなぁ)

「本当にライルの知り合いだったとはな。それじゃああの話も本当なのか?」

「あの話?」

「ほらバルシム倒した後、街の兵士やら冒険者たちに事情聴取されただろ?そんで俺たちがこの街を救ったって話が広がってな」

(あーなるほどね。だから妙に最近視線感じるのか)

「それでおじさん。頼み事ってなんだ?」

「ああ実はな、今日の祭りで俺と弟で肉料理の屋台を出そうと思ったんだが、その肉を昨日の夜飯に間違って使っちまって量が足りなくなったんだ」

「なるほど、それで俺たちにはその肉の調達をしてきてほしいと」

「そういうことだ」

(自分で行けよと心底思う)

「自分で行こうとも思ったんだが、今日中に調達しないといけないものがまだいろいろあってな。悪いけどお礼はするから頼めるか?」

「俺はいいが、慎也は?」

「何の肉を使うかによります」

「使うのはスウィフトボアーの肉だ。2人とも1回は戦ったことはあるだろ?」

(・・あの脳筋野郎か。あの時は少し苦戦したが、今なら楽勝だろ)

「わかりました。とりあえず何体くらい狩ってくればいいですか?」

「3体くらい狩ってきてくれれば足りると思うよ」

「了解です。そんじゃライルさっさと行って終わらせようぜ」

「お、おう!そんじゃおじさん行ってくるぜ!」


そう言って2人は、スウィフトボアーを求めてその場を後にした。


「・・あ、そういえば最近スウィフトボアーが大量発生してるの言い忘れてたわ。まあ冒険者だしそれぐらい知ってるか」









(いやいやいや多すぎだろあれは!)


約数十分後。慎也たちはスウィフトボアーが大量発生してることなど当然知らず無策で凸った結果、現在30体ものスウィフトボアーに森の中で追われていた。


「どうすんだよ慎也!ずっとこれが続くのか!?」

「どうするも何もこんな狭い場所だと思うようにやり合えねえし。てか元はと言えばお前が後先考えずに突っ込むからこうなったんだろ!」

「それはすまんて!でも慎也だって『なんかあれば俺がなんとかしてやるよ』って言って反対しなかったじゃねえか!」

「うぐっ!」


醜い責任の押し付け合いをしながらスウィフトボアーから逃げる2人。そしてなんやかんやで2人はいつの間にか草原へと出ていた。


(よし、ここなら障害になるもんはねえ!)

「ライル!ここでやるぞ!」

「マジ?了解!」

「『スプレッドフレイム』!」


後ろ一直線に炎を放つ慎也。しかしそれはスウィフトボアーたちに左右に移動方向を変えられ躱されてしまう。


(今ので2、3体やれたらよかったんだけどなぁ)

「ライル、左に行った奴らいけるか?」

「左ってどっちの?」

「えとー、俺らから見て左!」

「オッケー任せろ!」


そう言って左に向かって走って行くライルを横目に、慎也も右に歩いて行く。


(数はざっと20か。こいつらと初めて対峙した時の俺が聞いたら絶望だな。だが今の俺には・・)


先行して向かってきた3体のスウィフトボアーを躱しながら、そのスウィフトボアーたちの角を2本とも切断する。


(・・少し余裕すぎるかな。ライルは・・)


次々と向かってくるスウィフトボアーを躱しながら、慎也は心配になりライルの方を見る。しかしライルは、慎也みたいに余裕そうではないものの、とくに苦戦している様子もなく的確にスウィフトボアーを1体ずつ仕留めていっていた。


(あいつも強くなったってことか。こりゃ負けてらんね!)


慎也は向かってきた先程の角無しにしたスウィフトボアーを3体同時にすばやく処理し、さらに向かってきた別の2体も仕留める。


(はい楽勝!本来だったらこれで終わりなのが悲し。とりまこの調子で減らしていくか)


次々と向かってくるスウィフトボアー。そんなスウィフトボアーたちを躱しつつ慎也はその者たちの角を切断していく。


(これで全員斬れたか?そんじゃ久しぶりにあれ使うか)


慎也は足に魔力を込め、真上に飛び上がると今度は左手に魔力を込めて左手を真下に向ける。


「『スラッシュストーム』!」


そう唱えて放った風の球は地面に直行し、そして地面にその風の球が衝突した瞬間、四方八方360度に無数の風の斬撃が飛んでいく。もちろん真上の慎也にも飛んでいったが、慣れもあってか斬撃を手早く処理する。一方スウィフトボアーたちは角を失い防御手段がないため、抵抗も出来ずに斬撃で体を斬り刻まれて次々と倒れていった。


(一応数匹残ってるが・・・っと)


運良く生き残った残りのスウィフトボアーたちは慎也に恐れをなして森へと逃げて行った。


(まあそりゃそうなるか)

「おーいライルー!そっちは終わったかー?」

「ちょうど終わったぜ!」

「それじゃあこいつら持って帰ろうぜ!」

(とりま持ってけるだけ持ってくか。多いに越したことはねえだろうし)


そう思い慎也は両腕で2体のスウィフトボアーの死体を抱えてさらにその上に1体ずつ乗せて、合計4体のスウィフトボアーを持つ。ライルも2体のスウィフトボアーの死体を持って慎也の元にやってくる。


「それにしても慎也は凄えなぁ」

「どした急に?」

「だって俺の倍の数を相手にして俺より早く終わるとか強すぎだろ」

「いやまあレベル差とかあるし、そこら辺は仕方ねえだろ」

「でも慎也は俺とリアより後に冒険者始めたんだろ?それなのに俺たちと出会った時からすでに俺たちを超えてるとか、十分凄いだろ」

「あれは偶然が重なりまくった結果、言わばまぐれだよ」

「それでも慎也は四天王を倒すくらいには強いじゃねえか」

「・・・たしかになぁ」

「そこは認めんのかよ」

「まあ事実だし」

「・・・よし決めた!」

「何を?」

「次の俺の目標だ!俺はお前が戻って来るまでに、お前みたいになる!」

「は?こういうだらしない性格に?」

「ちがーう!いやまあ合ってるっちゃ合ってる!」

「いや何どゆこと?」

「ようはお前みたいに強くてみんなから頼られるくらいの男になるってことだ!」

「ふぅ〜ん。それじゃあまずゴブリンウォーリアーを1人で倒せるようになってから、1対1でオークキングの両目を潰せるようになって、あとは四天王を・・」

「え、マジで?お前の真似すんの?」

「冗談だ。でもそんな風に言ってくれて嬉しかったぜ。となれば俺もお前を引き離すために頑張ろうかなぁ」

「それ一生お前に追いつけねえじゃん!」

「ふ、それじゃあさっさとこいつらおっさんに届けようぜ」

「あ、ちょ、待てー!」


そして2人はその後も談笑しながら街へと戻って行くのであった。

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