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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
物語は次世界へ
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2日目 ディード編




(・・・今すぐここから離れたいな)


昨日と同じようにギルドに来た慎也は、なぜか集められている数十人のギャラリーに囲まれ、その原因であろうディードを目の前にしてそう思うのであった。


「あのーディードさん?俺今から何やらされるんですか?」

「簡単な話だ。お前は今から俺と戦ってもらう」

「戦うってこの前の腕相撲の続きですか?」

「そんな生ぬるいもんじゃねえよ!武器を使ったガチもんの決闘だ!」

「えぇ・・」

「ただガチの武器を使ったらどっちかが死にかねんからな、武器はこれを使ってもらう」


そう言ってバルシムは慎也へと木製の剣を投げ渡す。そして自身も木製の斧を持つ。


(シンプルな木刀飛んできたな)

「安心しろ、壊れやすくしたりとかの細工はしてねえよ」

「ちゃんと正々堂々なんですね」

「そんでルールだが、さすがにスキルとかバンバン使ったらこのギルドが壊れるからな、スキルの使用を禁止する」

(まあギルドのなんか壊してまたハーツさんに怒られんのやだしな)

「ただそれだとステータスに差で俺が勝っちまうからな、それだと面白くない。てことでお前は『ブーストアイ』と、えーっと・・・目が青くなるやつの使用は許可する」

(青くなるやつて、まあディードさんに名前教えてないしな)

「それで勝ち負けはどう決めるんですか?」

「相手の体に先に攻撃をぶつけた方の勝ちだ」

「へーい」

「そんじゃ行くぞ!」


そう言うとディードは斧を構える。それを見た慎也も慌てて剣を構え、両者は共に睨み合う。


『・・・』

「ふぅー・・・『ブーストアイ』!」

「!」


慎也が自信を強化した瞬間、それと同時にディードは慎也に斬りかかる。それをなんとか慎也は受け止める。


(あっぶね!)

「まだまだいくぞー!」

「っ!」


重量の大きい斧を使っているのにも関わらず、ディードは素速い連撃を慎也に放つ。


(そのでっかい斧ってそんな速く動かせるもんなの?)

「防御だけじゃ俺には勝てねえぞ!」

(ディードさんのスタミナ切れ狙ってたけど、躱したり防ぐのにもスタミナ使うから意味ねえか)


そう思い慎也は、ディードが斧を横に振ったタイミングで上に飛び上がり、ディードの肩目掛けて剣を振る。しかしそれはディードに後ろに飛ばれて躱されてしまう。


「えーうそん」

「そんな攻撃で当たると思うなよ!」

(ですよね〜。はぁ仕方ねえ、ちょっとガチでやるか!)


慎也は守りから攻めに転じ、ディードに何度も剣を振る。しかしディードも負けじと斧を振っては盾にして、慎也の攻撃を防いでいく。


「小僧そこだ!やっちまえー!」

「そんなガキさっさとやっちまえディード!」

「ディード君いい反応だよ!慎也君もかなり筋がいいよ!」

(おいちょっと待てなんか聞き覚えのある声したぞ!)

「!そこだ!」

「っ!」


慎也が外野に気を取られて晒してしまった一瞬の隙をディードは見逃さず、すかざす慎也の胴体目掛けて斧を振る。なんとか反応して慎也は剣で攻撃を受け、敗北を回避した。


(あっぶね。この人容赦なさすぎだろ)

「目の前の敵に隙見せてんじゃねえ!ここが戦場だったらとっくにお陀仏だぞ!」

(はい出ました戦場だったら死んでる論。ごもっともすぎて反論できないね)

「・・さてと、長引かせようとは思ってねえし、そろそろ決着をつけるか」


そう言うとディードは斧を構え、魔力が使えないかわりに圧で自分の意思を慎也に伝える。


(なるほど、本気でいくってか。なら俺も・・・イム、力を貸してくれ!)


慎也はイムの力を借りてステータスを上昇させる。そしてその影響で青くなった左目を見てディードは笑みを浮かべた。


「そんじゃ行くぞ!」

(本気で行くぜディードさん!)


2人は足に力を入れてお互いに急接近し武器を振る。2人が本気を出したせいか、武器がぶつかり合った瞬間周りに衝撃波が飛び周りのギャラリーたちは不安を感じていた。


「お、おいこれ大丈夫か?」

「俺たち逃げた方がよくね?」

「あらら、2人ともほんとに本気でやり合っちゃってるね。それに無意識に魔力も込もっちゃってるし」 


2人は戦いは現在攻防一体。そしてルールをガン無視で両者ともに魔力を込めているため武器を振った際に漏れた魔力が衝撃波が周りに飛び、それに危険を感じたギャラリーたちは次々とその場を離れて行った。


(さすがディードさんだ。武器が重い斧なのに俺の攻撃についてくどころか対等に渡り合っている。これが経験の差ってやつか)

「この一撃で終わらせてやるよ!はあああああ!!」

「ここまできたら、勝つ!」


そして2人はかなりの魔力を武器に込めた状態で、お互いに斬りかかった。


「そこまで!」

「「!」」


しかし2人が武器を振りおろした瞬間、さすがに危険と感じたレイルが『ソードプリンセス』を発動し、2人の間に入り浮遊剣で2人の攻撃を防いだ。


「おいレイル邪魔すんじゃねえ!まだ決着が・・」

「その前に周りを見たらどうだい?」

「周り・・あ」


レイルに言われるがまま、周りを見渡した慎也の視界に入ったのは、2人の戦いで起こった衝撃波によってボロボロになったギルドであった。


「あーオワタ」

「君らこれどうするつもりだい?」

「ハーツのことだから許してくれるだろ」

「どうだかねえ・・・あ、そ、それじゃあ私はこれで失礼するよ!」


そう言ってレイルはそそくさとギルドを出て行った。


「?それじゃあ俺たちも解散しますか」

「チッ、まあ仕方ねえか」

「じゃ俺はこれで・・」


そう言って慎也はその場を離れようとしたが、その瞬間誰かが慎也の肩を掴み、慎也を引き止める。


「待てやこら」

(・・・この声って)


嫌な予感がしながらも慎也は声のした方に振り向く。そして案の定慎也の予感は的中してしまった。


「ハ、ハーツさん・・」

「何お前ら?こんな短期間でギルドをボロボロにしやがって。魔物の手先かなんか?」

「・・すんません」

「なにお前は逃げようとしてんだよ」

「うげっ」


ハーツはこっそり逃げようとしていたディードを慎也の横に並ばせ、2人を自身の前に正座させる。


「えーっと、ディードの時間はあと3時間くらいあるな」

「まあこいつとの決闘しか考えてなかったからな」

「そんじゃとりあえずお前ら、市場で木材を買えるだけ買ってこい」

「えーめんど・・」

「なんか言ったか?」

「いえなにも!」

「そうか。じゃあさっさと買ってこい・・・返事!」

「「はい!」」


こうして慎也の2日目は最悪な始まりから幕を開けるのであった。




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