第1話 プロローグ
慎「行ってきまーす」
9月の上旬。学生たちの長い長い夏休みが終わり、新学期が始まる日。どこにでもありそうな二階建ての一軒家から、活気のない言葉とともにブレザーの制服を着た1人の少年が慌てた様子で出てきた。
慎(あーもう新学期初日に寝坊で遅刻とかマジで嫌だ
わ)
彼の名は村上慎也。高ノ宮中学校の中学1年生だ。高ノ宮中学校とは、日本の中にある中学校の中で二番目に生徒数が多く、一学年につき7クラスあるので校舎が大きいなど、そこにあるサッカー部やバスケ部などの運動部が毎年開かれる大会で常に優勝、準優勝。さらに文化部が毎年なんらかの賞をとっているので、なかなか知名度の高い学校だ。
慎(くそっ、あと一週間休みが欲しかったなぁ)
しかし、慎也は根っからのめんどくさがりやなので、部活や委員会に入っておらず、特別成績が良いわけでもないので、そこら辺にいる普通の中学生とあまり変わらない。
?「おーい慎也ー!」
慎(?この声は)
名前を呼ばれた慎也は声のした方に目を向ける。
?「おはよう!・・・ってお前なんでそんな息切らせ
てんだ?」
慎「逆になんで秀太はそんなに冷静なんだよ。遅刻ギ
リギリだぞ。しかもなんか朝っぱらだっていうの
に元気だし」
慎也に声をかけてきたのは慎也の数少ない友達の1人である小田秀斗だ。彼は慎也が小学生の頃からの仲で、慎也にとってはムードメーカー的な存在の、仲の良い友人である。
秀「この俺が元気な理由がそんなに聞きたいか?」
慎「いやいいよ、だいたい予想つくし。あとそんなに
は余計だ」
秀「なら教えてやろう」
慎「いいって言ったよね?日本語通じないほど馬鹿に
なったか?」
秀「実は朝から妹の元気で天使のような笑顔が見れた
からだ!」
慎「妹絡みなのはわかってたけど、笑顔だけで元気出
るとかシスコンやべーわ。あとさりげなく俺のデ
ィスをスルーすな。俺がスベったみたいになるか
ら」
秀「シスコン界ではこれくらい普通だぞ?」
慎「俺がシスコンみたいに言うのやめて?第一俺は一
人っ子だから」
秀「妹どころか兄弟すらいないとは、お前は人生の半
分は損をしている」
慎「そんな理由で半分も損したくないんだが。てか前
にも全く同じ会話をした覚えがあるんだけど」
慎也は呆れつつ、腕に付けている時計に目を向ける。
慎「やばっ、遅刻になりそうになってたのすっかり忘
れてた!走るぞ秀斗!」
秀「了解した!新学期早々遅刻はごめんだ!」
2人は慌てて学校に向かって全速力で駆け出した。
慎・秀「「ぜぇ・・はぁ・・」」
2人はクラスの扉を開けてそれぞれの席に座ると疲れた様子で椅子に座り込む。そんな2人に近づく少女がいた。
?「2人ともおはよう・・・ってなんでそんなに疲れ
てるの?」
慎「夏菜か、おはよう」
夏「おはよう」
彼女の名は鈴木夏菜。慎也の友達でもあり慎也と保育園からの幼なじみでもある。彼女は誰もが認める美少女で、学校の中ではかなりの人気を誇っており(特に男子)、慎也のような人間とはかけ離れた存在である。
慎「このシスコンと話してたら時間がやばくなったか
ら走って来たんだよ」
夏「小田君のシスコン具合は治らないの?」
秀「俺のこれは生まれつきだから未来永劫治らん」
慎「生まれつきからって妹もいない時からシスコンと
かもう意味わからん」
夏「妹もいない時からって逆にどうやってなるのか聞
きたいんだけど」
秀「鈴木さんがそんなに聞きたいのなら教えてあげよ
う!」
夏「あっ、やっぱいいよ」
慎也達が他愛もない話をしていると学校中にチャイムが鳴る。
夏「あっ、じゃあわたし席に行くね。また後で」
秀「おう」
慎「後でな」
全員が席に着くと先生が教室に入り、HRが始まった
慎(さて、面倒だが今日も1日頑張るか)
場所は打って変わって体育館。この日は新学期初日なので始業式があるのだ。続々と生徒が体育館に入ってくるなか、慎也は暑そうにしていた。
慎(こんな暑い中で全校生徒を一か所に集めるとかこ
この校長はバカなの?熱中症になって倒れるくら
い暑いんだけど・・・まぁ熱中症になったことな
いからわからんけど)
そして数分後、校長がステージの上にあるマイク前に立って話を始めた。
↓↓↓↓数十分後↓↓↓↓
慎(いや校長の話なげーよ!!)
高ノ宮中学校の校長は他の学校の校長より、プライベートの話が長く、話始めてからかれこれ15分は経っている。
慎(こちらとしてはどうでもいい話で時間が潰れてく
れるのは嬉しいことだが、それにしてもながく
い?流石に眠くなってきたわ!!)
うとうとしながら頭の中でキレつつ、そんな調子で校長の話を聞いていると・・
?『・・・・・んや』
慎(ん?なんだ?)
自分の名前が呼ばれた気がした慎也は、眠そうに目を擦りながら周りを見渡す。しかし、視界に入るのは普通に話を聞いている者や慎也と同じように眠そうしている者、既に寝ている者しか入らず、それにそもそも慎也の周りには慎也に声をかけるような知り合いがいなかった。
慎(気のせいか?)
慎也は先程聞こえた声は気のせいと結論づけようとしていた、だが・・
?『・・・・しんや』
慎(!・・やっぱり気のせいじゃないな)
慎也は慌てて周りを見た。そんな彼を不審に思い、見る者もいるが、慎也は気にせず周りを見渡す。すると校長の話はいつの間か終わっており、式が終わろうしていることに気づく。
慎(・・なんだったんだ一体?)
そうして、式が終わり生徒は各クラスに戻っていった。慎也は疑問を抱きながらも、担任であろう先生の指示に従い、その場を去った。
しかし、この時の慎也は知らなかった。まさか自分が世界の命運を背負うことになるとは・・
初めて小説を投稿するので、何か改善点があったら遠慮なく書いて下さい。