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1『期待と一歩』

今日は新たな門出となる素晴らしい一日になるだろう。そう心躍らせ、冴宮海斗は校門を跨いだ。


私立明和学院、俺は此処へ入学した新入生だ。


親には「零から人脈を築いてみなさい」と言われ、学校から程近い場所にある高層マンションの最上階の一室を与えられた。


そしてこの学校へ入学することになった。


学校の広場に多くの人が集まっていた。どうやらあそこにクラスが何処なのか貼られている様である。


近づきそして白い紙に書かれた多くの文字を見た。そして自分の名前を見つけ出した。


A組だったらしく余り苦労はしなかった。


親から「零から人脈を築いてみなさい」と言われていたから同中はいないかと思っていたが、幼馴染がいた。正直に言って安心感を覚えた。


見知らぬ学校新たな希望を持ちつつも、やはり友好関係を築いくことに関して心の中で心配をしていた。


だから同じクラスに幼馴染の名前を見つけたときには、人目も憚らず叫びたい気持ちになってしまった。


勿論学校初日から目立つのは嫌なのでやめたのだが……


有頂天になっていたのは束の間、幼馴染の柏木優(かしわぎ やわ)に無視をされた。


優に無視されたせいでそのまま初日には誰にも話しかけられなかった。


完全に失敗である。家に帰ってから後悔の念に駆られていた。初日に誰とも話せなかった……いや何度か話しかけられたが、きちんと対応が出来なかった気がする。


ともあれこれでは人脈を作るどころか友人の一人も出来ない……


頭を抱えていると、『ピンポーン』とチャイムの音が鳴った。


確か母さんが、「一人暮らしだと大変でしょ?だから使用人(メイド)さん雇っておいたわ」とか言っていたっけ。


「は〜い、今行きま〜す」


そう言ってからドアを開けて見ると其処には、学校で無視をかましてくれた、メイド服姿の幼馴染の柏木優が立っていた。


「えっと……」


「海斗!さっきはごめんね!お義母さんに『学校では話しかけられても無視をして』ってお願いされてたの!」


なんだかお義母さんの字が可笑しい気がするが其処は無視だ。


「優のせいで……優のせいで初日からぼっち決定かもしれんぞ!!」


「えぇ……其れは海斗の責任だよ……」


そう言いつつ優は俺の額に手を当てて、髪を掻き上げ眼鏡を外した。


「そんな格好してないで、眼鏡とって髪の毛をあげたら凄いイケメンなのに……勿体ない」


「えっと……優さん何を」


優の顔は一瞬にして真っ赤になり、そして「わ、わ、私の仕事するから!はっ入るね!」と慌てた様子で部屋に侵入した。



そして案の定ほぼ何事も起こらぬまま半年が過ぎた。








〜〜〜〜〜〜









冴宮海斗は四ヶ月が過ぎた頃絶望をしていた。

友人はどうにか作ることができた。但し、其れは傷の舐め合いをする底辺グループという位置づけだった。一人の例外を除いて……


クラスカースト、二ヶ月もした頃に此れは確立されていた。


A〜E迄確立されている。


Aグループには幼馴染の柏木優に始まり、何故だか俺のことを気にかけてくれる工藤勇輝(くどうゆうき)がいる。そして他にも複数名所属している。


そしてそんな俺が所属しているのはDグループだ。

最も其れは工藤勇輝の七光でDグループにされているだけで、実際にはEグループにされるところであった。


Dグループはオタクの集団というのが共通認識である……ただオタクでもAグループに所属する奴はいる。


海斗は無意識のうちに優を睨んでいた。


優は視線に気付いき顔を赤くしたが、海斗は何故優の顔が赤くなったかは分からなかった。


因みにEグループはというと、一言で言うならぼっち。一人虚しくいる者達でその者同士で固まることないようだ。


因みに何度か声をかけてみたものの、反応すらしてくれなかった。








〜〜〜〜〜〜








「はぁ……」


「どうしたんだよ。ため息なんてついて」


「なんだ勇輝か。Aの奴らはいいのか?」


「なんだはないだろ、なんだわ。まだまだ昼の時間はあるしな別に大丈夫さ。でどうしたんだよ」


「あぁあのな……」


俺は来月発売されるVRMMOゲーム『World Unity Online』について話した。


『World Unity Online』は現在日本中で注目を集めている新ゲームである。


因みに『World Unity Online』は海斗の父の会社から発売されるのだが……初回版は全国で二万本しか発売されない。


初回版を逃せば次に手に入るのは二週間〜四週間後らしいと父さんから聞いていた。


どうにか「店を介さずに手に〜」と言うと、「無理だ。流石に其れをすることは出来ん」と拒絶されてしまった為、『World Unity Online』を手に入れるには直接店舗に並ぶしかない。


「『World Unity Online』かぁ……俺もやりたいんだよね!まぁ俺らには手に入れれなさそうだけどな」


「そうなんだよ……発売日が平日とかマジで恨む。でさ学校をズル休みしてやろうかと……」


「はぁ……其れでため息を」


「ん、そう言うこと」


するとニヤついた顔で勇輝は顔を見てきた。


「俺は親に頼んで並んで貰う予定だぜ!」


「うっわ親に頼るとかないわぁ〜」


海斗は盛大なブーメランを澄まし顔でかましていた。


「まぁまぁ買ったらやらせてやるからよ!」


「あっありがとな」


取り敢えず『World Unity Online』のプレーをすることは叶いそうだ。








〜〜〜〜〜〜








其れはとある朝の日の連絡だった。


「本日は学校全体でかなりの人数が熱や風邪で休んでいる。手洗いを心掛けて風邪をひかないようにな!」


そう言って担任は教室から出て行った。


「海斗……アイツ結局ズル休みかよ。他にも優や梨紗や倫也も休んでるのか……絶対に『World Unity Online』を買いに行ってるんだな。母さん頼むぞ」


実は勇輝もズル休みを決行しようとしたが母親に止められていた。 


因みに勇輝の母親は期待に応え、無事に購入したようである。








〜〜〜〜〜〜








「うぅぅ……九月ともなると流石に寒いな。いや朝だからなのか」


海斗は午前五時を少し回ってから『World Unity Online』を取り扱う店舗の前に並んでいた。

因みに列の一番前である。


海斗よりも先に並んでいた徹夜組は、「午前五時前から並ぶ行為は禁止されています」と開店一時間前に言われ焦った様に列の最後尾に並びに行っていた。


今から並び直してもどうせ購入は無理であろう。

ルールを破るからそうなるのだ。正に自業自得だ。


そんなこんなで遂に『World Unity Online』を手に入れることができた。

早くプレーするのが楽しみで仕方ない。


因みに後日ズル休みした事が学校にバレてしまい、生徒指導の怖い先生にこっ酷く叱られたことは言うまでもない。


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