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花柳村の猫は啼く  作者: 瑞月風花


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花柳村伝説【全文】


◎花柳村伝説(全文)



むかぁしむかし、花柳村に幸せな猫がおったのさ。子どものいない貴族の女房、猫をたいそう可愛がった。

だがな、根も葉もない反乱の噂がたったそうな。

何もやっとらん。

旦那はそう言い牢の中で息絶える。

女房は悲しみのあまり食事も摂らぬし水も飲まぬ。ただただ泣き崩れ、袖を濡らす。ただただ。

とうとう女房は呪詛を書き、毒を喰らった。

満願叶ったその時はきっと貴方に(まみ)えます。

猫が女房の鼻を嗅ぐ。口元から溢れた赤い泡を舐めとった。きっと怪我をしたんだと、そのまま女房に寄り添うと、いつまで経っても動かない。女房の呪詛を舐めとった猫。

猫は女房にそっと寄り添い、幸せな夢を見た。


さてさて、噂を立てた貴族のお方。それから厄災に見舞われた。


何やら猫の声がする。夜道を見遣る家来衆。一人が岩で頭をぶつけ、一人が鼻をこそがれた。

老いた父母熱に浮かされ、子は落馬で足を失ふ。

狩りに出かけた貴族のお方。万病に効く心の臓、取りに勇んで参ります。

山は深き暗闇に、いと美しき(おなご)に出会う。うつつをぬかした貴族のお方。

だぁれも、知らない現の世界。

なぁにも知らない貴族のお方。さぁさ、こちらへと、女を見遣る。

屋敷へ消えた女を追いて薄闇の、内には女は居なかった。

降り向き返ったその場所に、響くは確かに猫の声。

七日の後に在ったもの。

そこには貴族の御くびが在ったのよ。


 花柳村には幸せな、それはそれは幸せな、女房の猫がおりました。されど猫は今も哀しく、孤独を抱きて眠ります。

 夜闇に響く猫の声。

 七日の後に(まみ)えるまでは、決して振り返ってはなりませぬ。 



花柳村の猫は啼く(完)

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― 新着の感想 ―
改稿お疲れ様でした。改めて拝読いたしました! なんだか以前よりも日常がくっきりとしたような(勘違いだったらすみません)。なのに非日常との境目はやっぱりわからないままで。「いつの間にか」の恐怖が増したよ…
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