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迷い込んだその先は  作者: KING E
3/6

自分でも情けなくなる

「ごめんお待たせ!とりあえず1階に大家さんいるから見に行ってみようか?」


101号室に住んでいるのは大家のトミばあちゃん。穏やかな性格でとっても優しいおばあちゃんで唯一このアパートで交流がある人だ。ご主人は3年前に他界されていて、今はネコのトラジといっしょに住んでいる。オレは実家でネコを飼っていたこともあり、たまにトラジと遊ばせてもらってる。


吉村さんと101号室に向かい、チャイムを鳴らす。


トミばあちゃんはすぐに玄関を開けて外に出てきた。腕にはトラジを抱えている。うーん今日もトラジはかわいいなぁ。


「あんれ、朝比奈さんでないの。どうしたの?今日仕事でないの?」

「おはようトミばあちゃん。いやいやそんなことより外がどうなってるか知ってる?」

「なーにを言ってるかと思えば…あれまぁ!これどうなってんだぁ?」


トミばあちゃんは起きてから外に出ていなかったようだ。ヨボヨボの目を大きく見開く。


「なーんで向かいの家がなくなってるんだぁ?不思議やねぇ。」


たぶん驚いてるんだろうけど、まったく慌てた素振りがないのはやはり年の功というべきなのか。この雰囲気だと何も知らなそうだ。


「トミばあちゃん、部屋に残ってる人がいないか確認したいんだけどついてきてくれないかな?」

「ええよ。大家の仕事なんてまともにしてないからこんな時くらいしなきゃあね。とりあえず朝比奈さんと陽菜ちゃんは無事やね。」

「はい。ちなみに203号室の木村さんは不在みたいです。」

おっと、吉村さんの下の名前は陽菜ちゃんというのか。うん、すごく似合っていると思う。


それからトミばあちゃんも連れだって各部屋を確認していく。このアパートは全部で8部屋。トミばあちゃんの隣の102号室は空室となっているので7世帯が住んでいる。まず向かうのは103号室は大崎誠さん。医学生なんだそうだ。なんでも夜遅くまで勉強が大変で、この時間帯なら寝ていることが多いという。

「誠くーん!おるかね~?大家の藤田です~。」

ドンドンと結構強めにドアを叩くトミばあちゃん。チャイムあるのに笑


少ししてドアが開く。黒縁メガネをかけた色白な男性が顔を出す。寝起きなのか、寝間着で寝ぐせもついている。


「こんにち…わ。どど、どうされました…?」


そりゃ3人もいたら驚くよね。なんだかすみません。


「誠くん医学生なんだから頭ええやろ?これどうなってんのかいね?」

「どうなってるって…って、ええええぇぇぇぇえ~っ!?」

めちゃくちゃ目を擦っているけど、大丈夫?でもこれが普通の反応だよねぇ。


「と、とにかく警察にれ、連絡をっ!あ、いでぇ!」

あっ足の小指をぶつけた。痛そう…見てるこっちも痛くなってきた。


というか3人もいて警察に連絡していないとかどうなんだろうか笑

そういえば会社に連絡取れたということは警察にも電話できるではないか!自分でも情けなくなる。

奥から警察に連絡している声が聞こえる。どうやらちゃんとつながったようだ。


「警察には連絡しました。直ぐに来てくれるそうです。」


着替えてきた大崎さんが出てきた。急いで出てきたのか寝ぐせは直っていなかったが。


「じゃあ警察が来てくれるまで、ほかの部屋回ろかね。」

「そうですね。104号室の葉月さんいると思いますよ。物音してたので。」



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