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通学路にて  作者: 山猫伯爵
2/2

占う猫

山猫伯爵です。

これで完結です。

その猫の様子は機嫌良さげであったり、寝ていたりと日によって様々であった。


ただ、ヒナタが見ている限りその様子はその日の自分の運勢といったものに直結しているようであり、その猫に対して少し怖いと思いながらも惹かれていった。


ヒナタはテレビの占いなどを信じるほうではなかったのだが、この猫に限っては毎回的中するように感じ、最初はちょっと見るだけだったのが、最近では今朝の猫の様子はどういう意味なのか考えて歩くようになっていた。


家族や友人たちはヒナタが最近少し考え事をしていると感じていたが、思い悩むというようではなく調子自体はむしろ良さそうであったので楽しみでもできたのだろうと前向きに捉えていた。


7月の初めにヒナタは期末テストに直面した。


いつものように得意教科は中の上、苦手教科は中の下程度であろうと手応えから予想していたヒナタであったが、期末テストの期間中猫の調子はすこぶる悪そうであり大きな不安となっていた。


学校からの帰り、日差しの暑さが残る道をヒナタは重い足取りで歩いていた。


考えることは親への言い訳とあのテスト期間中の猫の様子ばかりだった。


帰ってきた教科は散々としか言いようのないものであった。

得意教科であったにもかかわらずである。


明日には苦手教科が帰ってくる。


これを親に何といえばいいのだろうか。






次の日のヒナタの機嫌は当然ながら最悪であった。


親のこともあるし、これから返されるであろうテストの残り半分にしてもそうだ。

憂鬱だった。



昨日、テストの結果を告げられた母親はどういうことだとヒナタをひとしきり問い詰め、ヒナタはいつも通りにできたと思うなどというと、呆れたような、悲しむような、諦めたような様子でもういいとだけ言って説教を終わらせた。


ヒナタは母親に怒られたことよりも、もういいという一言が一晩中心に残っていた。




そんな中、なかば縋るように塀の上の猫を探すとその猫はいなくなっていた。


関係ないと思う理性があるものの、ヒナタの憂鬱な心はもはや大きな悲しみへと変わっていた。


自分はあの猫にさえも見放されたのか?


その日の学校でのヒナタはどこか魂が抜けてしまったようだった。


この日、夜に珍しく父親が早く帰ってきた。


ただヒナタにとってそれは自分に説教をする相手が二人に増えたというだけのことであった。


激怒される、そう思っていたヒナタだったが父親はたまたま調子が悪かっただけだろうと言って庇ってくれた。


そしてヒナタに、今回はダメだったのはきっと調子が悪かっただけだ。だから次は必ず勉強していくんだぞ。と声をかけた。






そうして猫は姿を見せぬまま夏休みに入り、そして夏休みが終わった。


二学期の始業式の日、ヒナタは猫が塀の上に帰ってきていることに気が付いた。


猫の様子は上機嫌で、そういえば1学期の終わりにはあの猫に見放されたなんて考えたなぁと思い返しながら、通り過ぎていった。


ヒナタの中で1ヶ月以上姿を見せなかった猫の占いなんてものは気の所為だったと思っており、むしろ成績が悪かったのはあの猫のせいに違いないなんてことを思っていた。





次の日の朝、ヒナタは自分の体調があまり良くないと感じた。


どこかだるいような感覚で、熱を測ってみたものの熱ではない様子だった。


まあとりあえず学校に行くかと考え、いつもの通学路をいつものように通って行った。


塀の上に猫はいなかった。


その先少し進んだ十字路の真ん中に何か物が落ちているのをヒナタは見つけた。


近づくにつれてそれが何であるかが徐々にわかる。


それは死体で、自分が何度も目にしていたあの猫の死体であった。


車にひかれたのであろう猫の死体はグチャグチャで恐怖を感じさせるものだった。


ヒナタは足早にそこを通り過ぎさっさと大通りへ出てしまおうと途中から走った。


猫の死体の横を通り過ぎ、三本目の十字路を左に曲がれば大通りにはすぐだ。


2本目の十字路は少し大きな通りで横断歩道があった。


普段は交通量の少ない通り、閑静な住宅街で、この日、一人の中学生が交通事故に遭い、死んだ。







いかがだったでしょうか。

初投稿で稚拙な文ではありましたが読んでくださりありがとうございました。

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