一つだけのチューリップ(2)
私がドSになって祐樹をメチャクチャニしてみました。
完結です。この後はご想像にお任せします。
就活の初めにまずは履歴書作成。
候補10社に対してそれぞれの会社の機嫌をとるようなことを考え書き始めた。
例えば、テレビ放送局に対しては「多くの人に感動を伝えたい!」などと書いておく。
もちろん、祐樹の目的はアイドルや憧れのビックスターを見てみたいからである。
でも一番の重視は給料だった。
祐樹は昔からお金に目が無いのである。
公務員も考えたが、試験に受かる自信がなかったのだ。
留学先ではあまり成績はよくなかったらしく自信をなくしていた。
でも金だけを考え、辛いことをさけようとする人間に職など無い。
あきらめた祐樹は普通の大学生と同じように、各社の説明会に行き、入社試験に応募しては落ちるのを繰
り返した。
そんな中書類審査を唯一突破した会社があった。
そして面接会場に行くと「いける!!」と思った。
なぜならば他の人達がうだつのあがらない人ばかりであった。
祐樹は一世一代の勝負だと悟った。
そこで目をつぶり、あの自分が育てたチューリップにお祈りした。
成績最下位でも乗り越えた卒業試験のときのように。
あのお守りのような存在のあれに。
(面接中はグダグダのため省略)
面接を終え、結果は見事採用。
この企業は単に留学生が欲しかっただけがであったのだ。
それを知った祐樹はいよいよ入社した。
「この会社ならさぼってても大丈夫だ、英語が話せればそれだけで」
しかし、その会社は倒産寸前に追い込まれていた。
海外進出など夢のまた夢だった。
しだいに祐樹も残業が多くなり疲労がどんどんたまっていった。
家に帰ると飯を食っては風呂に入りすぐに寝た。
疲れがピークに達し祐樹はある日課を忘れた。
お守りの水やりである。
チューリップに寿命が来た。
お守りは枯れた。
すると前々の運がうそのように不幸が降りかかる。
会社の製品に不良品がみつかったためイメージが急落下。
会社にイメージアップを打つ金などなかったので、
「倒産」
これは「解雇」を意味する。
幸せだったはずの祐樹は一般の大学生と同じ振り出しに戻った。
お守りは一瞬にして悪魔と化した。
「次の就職ぐらいすぐあるだろう。俺は留学生だったんだぞ。」
その期待は裏切られ続けられた。
落ち込んで帰っているとき横から自動車が激突、
これも悪魔のせいだった。
祐樹の寿命は24年で尽きた。
どれもこれもお守りに頼ってばかりで、そのお守りを枯らさせた罰である。
皮肉にも葬式の花は、祐樹の親が祐樹はチューリップが好きだろうと思っておりチューリップが供えられ
た。
来世に期待しよう。
植物を大切に。