異世界体験
意識がはっきりした時には、あたしは鎧姿の男たちに取り囲まれていた。
「キミ、なんでこんなとこにいるんだ?」
なんだかぼーっとする頭を必死に動かして、なんとか状況を把握しようとする。
「あ、え……ここはどこですか……?」
「どこって……ああ、また迷い込んだのか。たまにいるんだよ」
「この格好はあれだよな。前にも見たことあるぞ」
「そうそう、あれに違いない。確かあっちの方に集まってたっけか」
そう言って男たちは互いにうなずきあう。
「あ、あたしをどうするつもりですかっ!?」
「どうするって、ここにいるってことは一人で帰れないんだろう? なら連れて行くしかない」
そう言いながら男たちの一人が伸ばした手を、あたしはとっさに振り払った。
「いやっ!」
そのままの勢いで方向も見ずに駆け出す。どこでもいい、とにかくここから離れよう。しかし、どこまで行っても、どこを見渡しても知らない場所、風景ばかり。
しばらく走っていい加減息が切れてしまい、とうとう道端にへたり込んでしまう。これからあたし、どうなるんだろう。下を向いたせいでこらえていた涙がついに零れ落ちた。
どうしたらいいかわからなくて、小さな子供みたいに顔を膝に埋めてうずくまっていると、頭上から聞き覚えのある声がした。
「あ、やっと見つけた!」
おそるおそる顔をあげてみると、そこにはよく知る友人の姿があった。
「も~、どこまで行ってたの?」
友人は怒り半分、安堵半分といった表情でこちらを見ている。
「あんた、方向音痴のくせして一人でトイレに行くとか、無茶しないでよね~」
ぽかんとしているあたしの様子を察してか、友人は言葉を継ぎ足した。
「あ、あんたもしかしてさっきまで寝ぼけてたから、まだここがどこかもわかってないんでしょ。次は映画村の見学だってバスの中で言ってたじゃん。もー、修学旅行の行き先くらいちゃんと覚えときなよね~」




