小話:相談
蜥蜴人との戦いの後、再度歩き始めた私たち。
骸亜とは、他の皆には何があったのか知られたくないから表向きは何もなかったかのように振る舞った。
ただ、骸亜が何度か話を蒸し返そうとしていたから、殺意高めの風刃魔術を放ったら何も言わなくなった。
そのせいで、琴葉が骸亜から事情を聞いて把握してしまった。
そして、琴葉から同情されることに・・・
「骸亜って、意外と鈍感なのね。まあ、地球の飛鳥と過ごしていたってことを考えると、兄妹みたいな扱いになるのは仕方ないのかもしれないけどね。」
「・・・それじゃあ、私は納得できないし、そういう関係は望んでないよ。それに、仮に誰かと兄弟になるなら影月とだけで十分。」
「じゃあ、どんな関係?」
ニヤニヤしながら聞いてくる琴葉。
「・・・恥ずかしいからやだ。というか、なんでニヤニヤしてるの?」
「別に~。いやあ、いくら平行世界でも人の関係って変わらないんだなあって思ってね。」
「それ、私が骸亜にべたーってくっついてるっていうこと?それに、その理屈なら琴葉は竜の妹だよ?」
「そういう意味じゃないわよ。でも、飛鳥が骸亜にくっついてるってのは間違いじゃないわね。」
「やめてよ。寒気がする。」
「事実じゃない。飛鳥って結構骸亜を見ていることが多いわよ。」
「それは、地球での骸亜っていうのが気になることがあるからで・・・。」
「あ、やっぱり気にしてはいるんだ?」
そう言いながらまたニヤニヤとしている。
「だからそんなんじゃないって。骸亜と飛鳥が兄妹のように過ごしてたっていうのは聞いてるんだけど、あんまり詳しくは教えてもらってないの。」
「それを知りたいと?」
「うん。むこうで飛鳥とどう知り合ったのか、どう過ごしてきたかは知りたいの。でも、理由がどうあれ、私と飛鳥を同一視はしてほしくない。飛鳥みたいに守ってもらうだけってのは絶対に嫌。」
「・・・なるほど。そういうことね。」
そう言いつつ、琴葉は先へ進み始めた。
「え?何がわかったの?」
琴葉は私の問いに振り返り、微笑んでこう言った。
「内緒。とりあえず結論として、骸亜も飛鳥もお互いに自分の考えがすれ違い合ってるってことね。私達が見ている分には面白いから別にいいけど、飛鳥が嫌なら、それをちゃんと言って話し合ったほうがいいよ。」
琴葉は言いたいことを言ったらそのまま、先に進んでいってしまった。
・・・そういえば、ちゃんと言わなかったな。
ここを出た後か、次の街に着くまでに一度ちゃんと話し合おうかな。
その前に・・・
「琴葉!一人で勝手に進むのは危ないよ。単独行動禁止!」
リーダーとしてメンバーの勝手な行動を注意しないと。