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クロスワールド  作者: 氷冷 飛鳥
第五章 水
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説教

「信じられない!折角待ってたのに・・・。絶対許さない・・・。」



骸亜に止められ(骸亜あの鈴を止めれたんだ・・・)、宥められた鈴は未だ湧き上がる怒りを抑えられずにいた。

鈴を怒らせた二人は今度は骸亜に説教をくらっている。

で、私はあいつに鈴を宥める役を押し付けられたというわけだ。

影月たちも怒れる鈴に近寄りがたく、今私は鈴の宿泊部屋で彼女と一緒にいる。



「まあまあ落ち着いて。十分説教はできたでしょ?」


「あれだけで十分なわけないわよ。私が眠い目擦って徹夜してる間にあいつらはグーグー寝てたんだから。あと3時間は説教しないと。」


「でも無理しないでよ?寝てないから辛いでしょ?」


「大丈夫大丈夫。寝てるあいつら見た時の怒りで眠気なんて吹っ飛んだから。」


「そう?でも無理はしないでね。辛くなったら私に言うんだよ。」



徹夜したことないから今の鈴がどこまでもつのかわからないけど今のところは大丈夫なのは本当だろう。

けど私は戦い以外の事で弱ってる鈴を見たことないからどうしても心配せずにはいられなかった。

そんな心配とは裏腹に鈴は



「・・・なんか普段と違って飛鳥っちがお姉さんみたいね。」



こんなことを言ってからかってくるのである。



「もう、茶化さないでよ。とりあえず、ここを出たら鈴はみんなの事は気にしなくていいからちゃんと寝ること。今日か明日にはアクリと戦うことになるんだからちゃんとコンディションを整えて。精霊との戦いは一筋縄じゃいかないよ。」


「はいはい、わかってますよ。精霊の強さは尋常じゃなく強大で、普通じゃ冒険者10人いても倒せないんでしょ?」



そう、普通じゃ精霊の力が強力すぎて手も足も出ない。

けど私は二回精霊と戦ってそのどちらにも勝利している、理由は何か?

答えは簡単でこちらも精霊を使って戦っていたからだ。

けどグランとの戦いでの勝利は正直どうして勝てたのかよくわからない。

精霊は自分の加護する土地にいればその強大な力を発揮できるがそこを離れると土地の属性の魔力が小さいため力が弱まる。

だからグラン戦ではサンとルナは全力じゃなかったし逆にアイシス先生との戦いではグランを憑依した影月が一番強力な力を持っていたということになる。

しかしそれでも精霊一人憑依と二人憑依じゃ強化の幅に差があり、さらにアイシス先生との実力の差もあって結局先生寄りの五分くらいにしかならなかった。

今回はアクリの領域だからグランの力に頼れないけど、精霊三人に九人とグランとの戦いの時よりこちらの数が多いから多分あの時よりは楽勝だろう。

・・・まあそううまくいけばいいんだけど、どうもそう思えないのが引っかかる。



「・・・飛鳥っち?なんか難しそうな顔してるけどどうしたの?」


「え?そんな顔してた?」


「してたしてた。もしかしてアクリとの戦いの事?」


「・・・うん。今より少ない人数でグランと戦って勝ったけど、なんか今思うと手加減されてた気がするんだよね。先生の時も結局あの時ルナに任せなかったらどうなるかわからなかったし。」


「飛鳥っち、私その二つの戦いのこと詳しく聞いてないからよくわかんないんだよね。」



言われてみれば今まで私が精霊を召喚できることを隠してたからグラン戦は内緒にしてたし、先生戦は「先生に勝った」という結果以外何も話してないんだった。

その説明を加えて謝りつつ私は鈴に戦いの顛末を話した。

話を終えての鈴からの感想は



「別に心配いらないでしょ。」



・・・というとても楽観的なものだった。



「いや、ね?グランに勝ったのは見誤ったことと多分あの見た目だから体力あんまりないだけでしょ。」


「確かにグランは見た目はおじいちゃんだけど、精霊にも歳ってあるものなのかな?」


「あるんじゃないかな?話を聞いた限りそんなイメージだったよ。それで、先生に勝った時。ルナが飛鳥っちの体を使ってたのはあるけど決め手になった空間魔術は飛鳥っちの術だし、魔術を使って相手を戦闘不能にしたのは間違いないから試験で反則にはならないはず。そこを先生もわかってたと思うよ。」


「そう?なら私も安心できるけど・・・。」



そう私が言うと鈴は大きなあくびをした。



「ふわーあ、なんか飛鳥っちと話してたらあいつらへの怒りも収まって眠くなってきちゃった。横になっていい?」


「ここではダメ。寝たら起きないでしょ?誰が馬車の中に運ぶと思ってるの?」


「それもそうだね。なら、うーん・・・。先に馬車に行ってていい?」


「いいよ。みんなには私が言っておくね。でも意外だね。鈴ってよく徹夜してそうだから。」


「ははは、それは誤解。私は寝るの好きだからあんまり徹夜はしたくないんだよね。だから慣れてなくて・・・ふわ~、ごめん、限界だから行くね。」


「うん。」



私が頷くと鈴は荷物を持って馬車に向かうため部屋を後にした。

扉が閉まる。



「さて・・・」



私も立ち、影月たちの所へ行くために部屋を出た。

部屋に着くと真っ先に私の身の心配をされた。



「飛鳥!大丈夫だった?」


「・・・鈴、暴れなかった?」


「もう・・・、二人とも鈴をなんだと思ってるの?非が無い相手に八つ当たりする人じゃないよ鈴は。」


「・・・けど、あの鈴を見たら・・・。」


「そういう心配しちゃうよね・・・。」


「心配してくれるのはありがたいけど・・・、もうちょっと鈴を信用してあげてよ。」



けど確かにあの怒り狂いっぷりは見てて不安になるのはわかる。

私も止めることできなかったし、骸亜が止めに入ったところを見た時返り討ちにあわないか心配だった。



「それで、鈴はどうしたの?まさかまた神に説教しに行ったんじゃないよね?」


「安心して、今は馬車に行って寝てるはずだよ。やっぱり徹夜は堪えたみたい。」


「驚いた。鈴って徹夜には慣れてるように見えたけどそうじゃないのね。」


「私も思った。でも鈴が言うには寝るのが気持ちいいからって進んではしないんだって。だから慣れてないみたい。」


「寝るのが好き・・・鈴らしいね。」


「わたしもわからなくはないよ。時間を忘れて寝ると疲れが抜けて気分をリフレッシュできるし。」


「まあ、人の三大欲求の中で一番強いものだって聞いたことあるし、そのことわからなくはないけど、それでも意外ね。鈴って興味があるものがあれば寝ることも忘れて調べそうなのに。」


「案外、没頭しすぎて寝てないことにも気づいてなかったりするんじゃないかな?」


「・・・ありそう。」



本人がいないからって散々な言われようだなぁ・・・。

まあ否定はできないけど。



「まあ、鈴が夜に強くない理由は置いといて。事は済んだから皆出発する準備してね。私は男子に同じこと伝えに行ってくるから。」


「わかったわ。」


「・・・飛鳥まで説教始めないでね。」


「保証は・・・できないかな。」



正直彼らには私も色々言いたいことがあるんだけど、それは多分骸亜が言ってくれてると思うし、言うとしても最低限を心掛けよう。

と、言うわけで私は女子部屋を後にし、男子部屋の前に来ていた。

ノックをする。



「入れ。」



中から骸亜の声がし、私はドアを開ける。

そこには・・・



「え・・・・。」



そこには正座させられている爪と竜がいた。



「・・・何してんの?」


「何って説教だ。」



予想通りだった。

まあ骸亜も勝手なことする私を怒るために戦わせた爪が逆に怒られてるなんてことになったら、・・・ね。

私も言いたいことはある。

だけど先にやることがあるから。



「とりあえず、鈴が落ち着いたから出発するよ。説教は移動中でもできるから、すぐ準備してロビーに集合ね。」



そう言って私は部屋から出た。

その後、彼らと合流するのは馬車の前になる。

馬車ではすでに中で鈴が寝ている。

馬車を動かしても動じなさそうなくらい熟睡しているようだった。

全員荷物を詰め込み、竜が馬の手綱を引き出発させた。

私は御者台にいる竜の隣に座る。



「で、詳しい話を聞かせてもらおうかな。」


「・・・鈴、骸亜に続き今度はお前の説教かよ。こっちとしては十分反省したつもりだが?」


「だと思うから説教はしないよ。ただ詳しい理由が知りたいだけ。このままだと竜も爪も鈴を徹夜させて自分たちは熟睡してたろくでなしって思っちゃうよ?」



正直事情を知ってからここまでに時間がたちすぎて怒る気がなくなったというのが正しい。

多分男子の部屋に行った時は骸亜が説教してなかったら私が怒っていただろう。



「それ、理由が無かったら本当になるじゃねえか。」


「まあ、その時はその時だよ。でも爪一人じゃないし、鈴と付き合い長くてそういう気配りできる竜なら何か理由があると思ったんだよ、私は。」


「ないわけじゃないが・・・。俺らの方に非はあるのはわかってるんだけどな、こう付き合いが長くなると似たようなことはあったりするんだが、鈴は大体待たせる側だったんだよ。その時は俺達はしっかり待ったよ。で、数回は今回みたいに俺達があいつを待たせていたんだ。それで、あいつは毎回待つことはなく、約束の時間が過ぎれば帰ってたり、寝てたりしてるんだよ。・・・正直今回は俺達も疲れてたしどうせいつも通り寝てるだろうと思っていたんだが・・・。」


「その時に限って起きていた、と。」



竜は苦い顔をして頷く。

骸亜が説教した理由がわかった気がする。

理由はどうであれ同じことをすれば人のことは言えなくなる。

竜たちはそれをやってしまったのだ。

それは怒られて当然だ、だけど・・・。



「正直、どっちもどっちだね。」


「そう言ってくれるとこっちも救われた気分になる。」


「けど、竜も悪いところはあるんだよ?」


「だとしても、骸亜や鈴みたいに俺らが一方的に悪いようには言ってないからな。少なくても鈴にも非があると言ってくれている。それでいいんだよ。」


「・・・俺も別にお前らが一方的に悪いとは言ってないんだけどな。」



私たちの横に骸亜が歩きながら口を挟む。

どうやら聞かれていたようだった。



「骸亜、聞いてたの?」


「俺は馬車の前面部の護衛担当だったからな。偶然聞こえてきたんだよ。・・・それより飛鳥、お前早々に何サボってるんだ?」


「う・・・、い、いいじゃない、気になったんだもん。それに、私も前方担当だからサボってはいないよ。」


「・・・その位置は竜が警戒してるだろ。あと、気になるのはお前だけじゃなくて他の女子も同じだ。それなのにお前だけ勝手な行動をして・・・。また、誰かと決闘みたいなことになるかもしれないぞ。」


「うっ・・・、痛いところを。でも、男子と違ってみんな優しいからそんなことしないよ。」


「いや、お前らが向こうにいた時かなり愚痴を言ってたぞ。」


「うそぉ!?」


「・・・嘘だ。」



私は無言で詠唱破棄した火球フレアボールを放つ。

だが骸亜はそれをひらりと避け、馬車の後方へと下がっていった。

くっ、私が御者台にいるからって攻撃が当たらないところに・・・。

しばらくは誰かと前方の護衛を代わってもらおうとしてるだろう。

そして予想通り骸亜の代わりに鳴が来た。



「ねえ、さっき大声で叫んでたみたいだけどどうかしたの?」


「骸亜がちょっと洒落にならないことを、ね。私も誰かと前方代わってもらおうかな。じゃあ竜、私も護衛に戻るね。」


「あ、ああ・・・。(こいつ絶対骸亜を追いかける気だ)」



なんか竜から「こいつ絶対骸亜を追いかける気だ」と考えてるような雰囲気が感じられたけど気にしないでおこう。

私は御者台から降り、後方にいるであろう骸亜を追いかけるのだった。







・・・



「ということが、鈴の寝てる間にあったんだ。」


「アッハッハッハ。いやあ、地球の時も思ったけど骸亜って意外とお茶目だよね。その対象が主に飛鳥っちかウラっちだけど。」


「飛鳥はわかるけどなんで私まで・・・。」


「飛鳥っちはねー・・・、やっぱりウラっちとおんなじ顔だからそのせいで骸亜もちょっかいかけちゃうのかな。」


「はた迷惑な・・・。」


「飛鳥っちも骸亜を『お兄ちゃん』って呼んであげたら?」


「絶対嫌。」



私はとても嫌そうな顔をしてそう言った。

・・・まずい、鈴が面倒くさいモードになり始めてる。



「なんで~?鈴に対しては『姉さん』って呼んでたじゃん~。」


「姉さんは姉さんで、年上だしあなたじゃないから。骸亜は骸亜だから、本人に言うのと顔が似た別人に言うのじゃ全然違うよ。」


「そっかー、残念。・・・ところで、飛鳥っち?」


「何?」


「そろそろ正座やめてもいいかな?そろそろ足の感覚がなくなってきてるんだけど・・・。」


「ダメ♪」



私は笑顔でそう言った。

鈴がなぜこんなことを言っているかというと、先ほどの竜の証言が原因だ。



「さすがにね、自分も似たようなことしてたのに竜たちだけあんな仕打ちをするのはいけないと思うんだよね。」


「だからそこは謝ってるじゃん~。それにあの時は頭に血が上ってて気づかなかったんだよ~。・・・途中で気付いたけどやめるにやめられなかったのはあるけど。」


「それ!そこがいけないんだよ。途中で『思い出した、ごめん。』くらい言えばいいのに言わないから。」


「わかってる。わかってるから、それ以上言わないで。」


「なら今からでも二人に謝りに行こ。きっと許してくれるから。」


「わかった。・・・今日の飛鳥なんか少し厳しい。」


「何か言った?」


「ううん、何も。」



聞こえてないふりをするが実はちゃっかり聞こえている。

・・・こっちとしてもあんまり言いたくないから後で謝ろう。

寝る前は味方だった親友が起きたら敵(?)になっていた!

何を言っているかわからねえと思うが(以下略

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