すーぱー?
※最後の方、わかりにくいネタが含まれています。ご注意ください
11/8 あとがき修正
「やばっ、もうこんな時間か。夕飯の材料買ってこないと。」
夕方、日が赤くなりかけている頃に鈴さんが時計を見てそう言った。
それまでテレビを視ながら会話していた私たちだが、数人が立ち上がる。
「なら私が行ってくるわ。お姉ちゃんよりも私の方が料理できるし。」
「なら私も何か手伝えることない?」
そう言って私も立ち上がる。
だが何故か椿と鈴さんは驚いていた。
「意外ね、飛鳥が料理をしようとするなんて。」
「ええ、異世界の飛鳥とはいえ飛鳥が料理しようって意思を見せるなんて滅多に見れるものじゃないもの。」
「ちょっと、お姉ちゃんも椿ちゃんもひどいよ。私だって料理をすることあるじゃない。」
「してるにはしてるけどあなたは私が言わないとやらないじゃない。それに作るのはインスタントのラーメンとかカレーとかの簡単なものしかないじゃない。」
「う・・・。」
飛鳥は何も言い返せないようだった。
どんな料理かはわからないけど、語感から大体の想像はできる。(ちなみに後に教えてもらった時カレーは予想外だった)
まあつまり、飛鳥の料理スキルは影月といい勝負だということだ。
影月も私の手伝いをすることはあるけど、一人だけで作れるのは簡単なものしかない。
とはいえ、影月のそれは普通の一般家庭の料理内だけの話で、彼女は野草や魔物などの私たちが普段使わない食材の料理に関しては今回の旅のメンバーの誰よりもわかっている。
多分まだあまり普通の調理道具を使い慣れていないだけで、使い慣れれば私よりもうまくなるだろう。
・・・で、話を戻すと、椿は飛鳥を指して私に言った。
「まあ、こういうことだからあなたが料理の手伝いを自分からしようとすることにびっくりしたの。」
「大丈夫だよ。私、元の世界ではいつもフーと自分の料理作ってるし。」
「へえ~。飛鳥と椿はそっちでは立場が逆なのね。なら私はどうなの、鈴?」
「ん~?料理なんて面倒だよ~。」
「・・・そう言いつつ出来るくせに。」
「だからって面倒なことには変わりないんだよ。そこはげったんだってわかるでしょ?」
「・・・・・・全く。」
「鈴と一緒にしないでよ。フーはまだ下手だけど向上心はあるんだから。」
鈴はぶぅと拗ねてしまう。
それを見て鈴さんは
「異世界の私はスキル的な問題じゃなくて性格的な問題で料理やらないのね。流石鈴と言っていいのかしら・・・。」
「ははは、照れるな~。」
「・・・多分褒めてない。」
そんなやりとりをしている間にも時間は過ぎていた。
鈴さんはとりあえず私と椿を連れて買い物をしに行くことになった。
影月も行きたいと言ったが、
「やめておいた方がいいわ。あなたや飛鳥、鈴は私達と別人であって同一人物。もし私達を知ってる人に会ったら同じ人が二人いることに驚くわよ?」
「・・・双子なら・・・。」
「それで通してもいいけど、巡り巡って私たちの実家に知られたら面倒なことになるの。ごめんなさい、わかって。」
「・・・わかった。」
案外影月はすんなり理解してくれた。
鈴も飛鳥も自分も行こうという意思を全く見せずに私たちを送り出した。
「他のことはそつなくこなすんだけどね、どうしてか料理だけは目を逸らそうとするのよね・・・。」
家を出て扉を閉めてすぐ、鈴さんがそんなことをぼやいた。
「お姉ちゃんと過ごしててお姉ちゃんの影響を受けたんじゃない?」
「どういう意味?」
「言葉通りの意味よ。さっき鈴のことを呆れてたけど、お姉ちゃんも自堕落なところ多いじゃない。」
「う・・・。」
飛鳥と同じ反応をする。
この人と飛鳥って本当に血がつながってないの?と言いたくなるくらい同じ反応だ。
そして鈴さんはため息をつく。
「はあ・・・、甘えてもいいって言ったけど妹になった途端あそこまで甘えられるとは思わなかったわ。」
「けど厳しくしなきゃいけないと思ってもどうしてかできないのよね・・・。まあ、まだそこまで問題になるようなレベルじゃないからいいんだけど。」
「二人とも大変なんだね。」
意外にも飛鳥は問題児なのかもしれない。
この後もしばらく二人は飛鳥への愚痴を聞いていた。
そこで私は彼女と要所要所で性格の違いがあると感じていった。
「そういえば私あなたの世界について聞きたいことがあるんだけど。」
愚痴を好き放題言い終えた後、椿が私に質問してきた。
「なに?」
「あなたの世界の人たちってこっちの世界のことを『ウラル』って呼んでいるんだっけ?」
「うん、そうだよ。」
「その名前、こっちの世界じゃロシアっていう外国の山の名前なんだけど、どういう経緯でそんな名前になったの?」
「なんだったかな~。・・・あ、そうそう。私たちの世界の学者が初めて翻訳したこっちの世界の言葉なの。いくつかの言葉があったみたいだけど私たちの世界に一番似た文字を解読したみたい。」
「その文字ってどんなの?」
「鈴さんが私に教えてくれた文字だよ。なんだっけ、『かたかな』?」
「・・・あれ?『鈴さん』?前は普通に『鈴』って呼んでくれてなかった?」
そういえば鈴さんに説明するのを忘れてた。
・・・というか、話の途中だったのにそれをぶったぎるくらいショックなんだ。
「ごめんなさい。こっちの世界がいるから鈴さんも『鈴』って呼ぶとややこしくなりそうで・・・。」
「ああ、そういうことね。ならいいよ。それとも、私に新しいあだ名つけてくれない?」
「あだ名?」
「ええ。何でもいいわよ。 『りっちゃん』とか『りんりん』とか。」
「・・・うわ、似合わなそう。」
「別に椿に呼ばれるわけじゃないんだからいいじゃない。」
「ごめん、さすがに私もそれは似合わないと思う。でもあだ名か~。鈴はよくつけてるけど私はあんまりつけたことないんだよね。」
「符養はどうなの?」
「あの子も自分でそう呼んでほしいって言ったからで、私からはつけてないよ。」
つけたといえばルナとサンくらいだろうか?
けど今思えばネーミングセンスなかったなぁ・・・。
当時ルナにツッコまれたけどペットみたいだったし・・・。
「じゃあ私が勝手に決めていいよね?やっぱり『りっちゃん』で・・・。」
「お姉ちゃん、年齢考えて。」
ややこしいから「鈴さん」じゃダメなのかな・・・。
飛鳥ならどう呼ぶだろう?
・・・飛鳥?そうか。
「なら『姉さん』は?これなら私呼んでもいいよ。」
影月に「お姉ちゃん」って呼ばせようとしちゃったし、これで姉気分はできるけどちょっと妹気分も味わいたいなって飛鳥たちを見てたら思えてきちゃったしこれでいいかも。
だが鈴姉さんは
「あ~、『姉さん』か~。字が違うだろうけどそう呼ばれると昔の事思い出しちゃうな・・・。あんまり昔のことは思い出したくないんだけど・・・。」
昔のこと?
なんのことだろう?
「まあそれでいいわ。妹が増えたみたいで嫌じゃないし。」
どうやらそれで了承してくれたみたいだ。
まあ、他に何かいいあだ名ができたらそっちを提案してみようかな。
「そういえば鈴姉さん、買い物行く途中だけど私、どこへ向かっているのかわからないんだけど?」
「あれ?・・・ああそうか、飛鳥は知らないか。今から行くのはスーパーっていうところ。」
「すー・・ぱー・・・?何か強大な力を持っているの?」
「あははは。そういうわけじゃないわよ。・・・いや、ある意味そうかもしれないわね。」
「もう、何言ってるの?・・飛鳥は元の世界で食べ物を買いに行くときどこへ行くの?」
「えっと、八百屋さんとか肉屋さん、魚屋さんかな。時々パン屋さんにも行くよ。」
「けど一々色々な場所に向かって買い物しに行くのって結構面倒じゃない?」
「そうかなぁ?色々な人と話してるのって結構楽しいと思うけど。」
「ま、まあそういう人もいるっていうこと。それで、そういった人たちが便利に利用できるようにさっき飛鳥が言ったような店を一つの店に集めたのがスーパーマーケットっていうわけ。」
スーパーなマーケット・・・なるほど、こっちの世界では私たちの世界よりもそういったこともより発達しているのか。
羨ましいけど、私たちの魔術でも便利なところがあるし、あの世界もあの世界で楽しいことがあるからこっちにずっと住みたいとは思わないかな。
そのスーパーマーケットくらいならあっちでも実現できそうだしね。
・・・いや、もしかするとあの世界で一番発展しているウィンには既にそういった場所ができているのかもしれない。
「それでお姉ちゃん、今日のご飯は何にするか決めてる?」
「まだよ。食材の値段を見てから決めようかなって思ってるの。そういえば飛鳥はどんな料理が好き?」
「私は鶏肉を使った料理が好きかな。その中でも特にから揚げが好き。」
「やっぱり飛鳥も好みはいっしょなのね。こっちの世界の飛鳥もから揚げが大好きなの。・・・そうね、鶏肉なら安価だしから揚げは確定でいいかもね。後はサラダとか・・・はさっき言ったとおり食材を見て決めましょうか。」
そういえばから揚げって私の好物だけど、最近はあんまり食べてないな。
久しぶりに食べれるし、なによりこっちの世界での調理方法が見れて新しい発見ができるかもしれないから楽しみ。
「嬉しそうね。そんなにから揚げが楽しみなのね。」
「あ、いや、そういうわけじゃ・・・いや、そうなんだけど、こっちの世界での調理方法って知らないから新しい発見ができるかなって。」
「ならこっちもクロスでの調理法っていうのを教えてほしいわね。完璧に再現できるかはわからないけどできるだけ再現したものを一度作ってほしいわ。」
「どうだろう?私、基本的に珍しい調味料を多く使ってるから再現できるかどうか・・・。」
それに、クロスの物がウラルにもあるかわからないけど・・・。
しかし、その考えが杞憂だったことを知るのはそんなに時間がかからなかった。
それはスーパーに到着し、そのラインナップを見た時のことだった。
「うわー、本当に大きいね。まるで市場みたい。」
「市場そのものよ。それにこれで驚いていたらこれよりもっと大きいところを見たときに腰を抜かすわよ。」
「!? ここより大きなところがあるの?」
「食いつきいいわね・・・。あるわよ、デパートとか、ショッピングセンターとか・・。」
「姉さん、そっち行こ。」
なんだかそっちのほうがいろいろ面白そうなものが多くありそうだ。
そうと決まれば早く行かないと。
・・・と、思っていたのだが、姉さんに首根っこをつかまれて止められた。
「飛鳥、興奮しすぎて本来の目的を見失ってない?」
「あ、ごめんなさい。」
「まったく、お姉ちゃんもよ。飛鳥が興奮してたのわかっててデパートとかのこと言ったでしょ。」
「ごめんごめん、なんか飛鳥の反応が一々面白くて。飛鳥、デパートとかはまた今度行くことにしましょ。もちろん、今留守番してる三人も連れてね。」
「う、うん。」
姉さんがカゴを取り、椿が台車のようなもの(カートというものらしい)を持ってきて、姉さんがその上にカゴを置いて中に入る。
まずは野菜コーナーへと入っていく。
そしてその近くを見てみると
「あれ?もうできているものが置いてあるんだね。」
「それは買わないわよ。惣菜じゃなくてきちんと材料を買って今日は料理しましょ。それは料理する時間がない時だけ。」
「買わない」と言われたが、何があるのか興味があり色々見て回る。
その中に気になるものがあった。
さっき姉さんに言われた通り、それには触らず、椿と姉さんの元に戻り、
「ねえ椿、あそこの食べ物の中に卵焼きや魚の切り身がご飯の上にのっていたり、キュウリが巻かれていたりしていたものがあったんだけどあれ何?」
「え?あっちには寿司ってないの?」
「・・・スシ?なにそれ?」
「私たちの国を代表する料理よ。飛鳥が見たようにご飯を握ったものに魚や卵焼きとかをのせたものよ。基本的に醤油をつけて食べるわ。」
「へえ、なんかおいしそう。一度食べてみたい。」
「そういうことみたいよ、お姉ちゃん。」
「・・・わかったわ。椿、飛鳥と一緒に3パック買っておいて。」
「はーい。いこ、飛鳥。」
私は椿に連れられてまた寿司コーナーへと歩いていった。
そして、そういうことが終わり、野菜コーナーから別のところへ色々見て回りながら商品をカゴに入れいていた時に私はあるものを見つけた。
「あ、これ・・・。」
「ん?塩がどうかしたの?」
私の世界では滅多に手に入らない物、「塩」がそこに置いてあった。
「これだよこれ。私がさっき言っていた滅多に手に入らない調味料。・・・いや、他にもあるんだけど私がよく使う調味料。なんでここにたくさん並べられるの?しかも結構安いんだけど・・・。」
「そんなに飛鳥の世界では塩が採れないの?」
「うん。取れるのは水精霊の加護されている領域の海と私が住んでる地精霊の加護領域で採れる岩塩くらいだから。他の町よりは比較的安価に買えるけどそれでもこんなに安くはないし、数も限られているから貴重なの。」
とは言っても、それは精霊が採取できる量を調整しているためであるし、一応精霊の力により無限に採れるようになっている。
しかし、それゆえに高価であることは変わりない。
私が驚いたのは採る量が制限されていないことである。
「意外ね。塩ってどこでも普通に採れるものだと思ってたわ。・・・けど、ならどうして飛鳥はどうしてそんな貴重なものを使うことができたの?」
「それは、私の家が姉さんの家ほどじゃないけどお金持ちだからだよ。・・・そういうところは助かるんだけどな~。」
両親からの支援は色々いい意味で助かることも多いが、その部分を差し引いても有り余るおつりが来るくらい迷惑なこともある。
もう少し娘を信頼できないのかと言いたくなるほどにしつこく連絡してきたり、自分たちの仕事を放り出してまで私と一緒に住もうとしてくる。
親馬鹿すぎてそのことを思い出しただけで頭が・・・。
先ほどの言葉を言って私が頭を抱えているのを椿が見て、
「ん?飛鳥の両親ってそんなによくないの?」
「良くないわけじゃないんだけどちょっと心配性すぎるというか親馬鹿というか・・・。」
「ああ、なるほど。・・・親馬鹿な人の子って大変そうね。」
「・・・まあ色々と。」
「けど飛鳥はその両親のこと嫌いじゃないんでしょ?」
私は無言で頷いた。
煩わしくは思うこともあるけどなんだかんだ私を育ててくれているから。
「椿たちの親はどうなの?」
自分のことばかり話すのもあまり好きじゃないので、椿たちの親のことを聞いてみた。
だが、
「椿、飛鳥、そろそろ行くわよ。」
話しているうちに先に色々買っていた姉さんに呼ばれて話は中断された。
しかしその前に椿が
「・・・のんびり屋な人達よ。」
自分の両親のことを一言教えてくれた。
だがその声は少し寂しそうだった。
「お姉ちゃんが呼んでるわね。さ、飛鳥、行きましょ。」
「うん。」
私たちは姉さんのところに向かって歩いて行った。
その後、買い物が終わって帰宅するまでその話題については触れれなかった。
「ただいまー。」
「飛鳥ぁー!」
家に帰ると涙目な影月が走る椅子に座った状態で私に突進してきた。
「うわ、危ない!」
姉さんがすぐさま後ろに回り、後ろからブレーキをかけ、私は勢いが弱まった椅子を正面から受け止めた。
姉さんが後ろから勢いを弱めてくれたおかげであまり大きな衝撃は来なかったが、少し腹部に鈍痛が・・・。
「フー、どうしたの?」
「・・・鈴が・・飛鳥が・・。」
「鈴と私がどうかしたの?」
「・・・違う、ここの飛鳥。」
泣きながら私に顔を埋めて言う影月の姿が少し可愛いと思ってしまう。
けど影月がこんな状態になるなんて二人はいったい何をしたんだろう?
それにこの子が乗っている椅子も・・・。
「影月、危ないからそれでスピード出すのはやめなさい。」
「・・・私、普通の車椅子でドリフトする人初めて見たかも。」
姉さんが先ほどの影月のスピードを叱る。
どうやらこれは車椅子というものらしく、先ほど影月が廊下の角を車輪で滑り曲がったのはドリフトというものらしい。
車椅子・・・名前通り車のように走れる椅子ということなのかな?
さっきも影月は車輪を自分で回しながら走ってきたしそうやって使うのか。
「それでフー、飛鳥と鈴がどうしたの?」
「・・・ゲーム。」
「え?」
「・・・ゲームでぼこぼこにされる。」
ゲームでボコボコ・・・。
模擬戦でもやってるの?
けどこっちじゃ魔力の回復があまりよくないし、飛鳥もこっちの世界の人だから影月がボコボコになることなんてないとは思うんだけど・・・。
「とにかく、鈴たちのところに行ってみようか。」
影月は無言で頷いた。
私は車椅子を押しはじめる。
「ところで、これどうしたの?」
「・・・車椅子?」
「うん。」
「・・・飛鳥が不便だからって出してくれた。」
「そういえば倉庫にあったわね。一回くらいしか見せていないのによくあの子覚えていたわね。」
「飛鳥は物覚えがいいからね。一度教えられたことは大抵覚えているわよ。」
「そう。だからあんまり変なことをあの子の前で言えないのよ。」
「・・・お姉ちゃん、いつも言わないほうがありがたいんだけど。」
私たちは飛鳥と鈴がいる居間の扉を開けた。
そこにあった光景は
「〇斗有情破顔拳!はあっ!」
『ウィーン、ト〇ィ。パーフェクト』
「あー、まさか開幕いきなり一撃必殺技をしてくるなんて!」
「ふふふ、油断禁物だよ。」
なにやら二人でそれぞれ機械を操作してテレビの画面上にいるキャラクターを操作して戦っているようだった。
もしかしてこれが影月の泣いた原因?
「お、格ゲーか。面白そうね。鈴、次私やってもいい?」
「なら飛鳥、私も次代わってくれない?今日こそはお姉ちゃんを叩きのめしてあげるんだから。」
なんだか私だけ置いて行かれている気がする。
「・・・姉さん、これ何?」
「ん?何って、北〇よ。」
いや、全然知らない。
なんかテンション上がっていて私たちが異世界から来ているのを忘れていそうなので、私は未だ私から離れようとしない影月に聞いた。
「フー、あれ何?」
「・・・飛鳥の話では『格闘ゲーム』っていうゲーム。こっちの世界では単に卓上やカードを使ったゲームだけじゃなくて機械をテレビにつなげてやるゲームもあるらしい。今みんながやっている『格闘ゲーム』は好きなキャラクターを使って戦闘を行うゲーム。単純に技を出すだけじゃなくてそれを繋げてコンボにして相手の体力を多く削っていくことが大事みたい。」
「それでフーは飛鳥と鈴にボコボコにされたってこと?」
「・・・言わないで。どうやら私は弱いキャラクターを使っていたみたいだから、今度は強いキャラクターで・・・。」
そう呟きながら影月も「コントローラー」という操作させる機械を手に取りに自分で車椅子を動かしに行った。
私はみんながワイワイ対戦しているのを傍目から見ながら、どういうものなのか、どう遊ぶのかを観察していた。
そして30分ほどたった後、
「私もやる。」
大体覚えたので私もコントローラーを握らせてもらった。
ほんと、書いてると段々長くなっていきます。
最後の格ゲーネタは単にフーが泣きつくのが書きたかっただけで入れました。
それと余談ですが、この話のスピンオフ集を書いたパラレルワールドを作りました。
本編では書かれていない飛鳥以外の人の話や、本編と全く関係ない話を書いていこうと思っています。
基本的にパラレルワールドを読まなくても本編の話についてこれなくなるということは無いようにいたしますが、良ければ覗いてみてください。
音鴨 椿 15歳 中学三年生
ウラル世界の影月。
鈴の妹で飛鳥の義姉。
当初は過去の出来事から家を出ていった鈴をあまり良く見ておらず、再会した時は他人行儀な態度ばかりとっていたが、鈴と和解してからは鈴が家を出る前のように仲良しな姉妹に戻っている。
実家に住んでいるが、頻繁に鈴達の家に滞在している。
次期当主という立場を利用して飛鳥を家の人たちから孤立しないよう頑張っている。
実は姉的、妹的どちらの意味でも重度のシスコンである。