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クロスワールド  作者: 氷冷 飛鳥
第五章 地
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盗賊~逃走~

「フー、まだできないの?」



先ほどのことで殺意に満ちた鈴は行き場のない怒りをまだ目を閉じてブツブツ言っている符養にぶつけた。

鈴の怒りは仕方ないし、その気持ちもわかるから何も言わないけど、それを符養に向けるのはおかしいんじゃないかと少し私もイライラしてしまっていた。



「・・・ごめん、もうすぐ。」



謝った符養はとても落ち着いた声であったが、符養の呟きには少し怒りが混じり声も大きくなってきていた。

そしてその呟きは断片的だが私達にも聞こえるほどになってきていた。



「・・・・・・が危険な時点で・・・。・・・・・・もうそれでいい。はやく・・・」



てっきり呪文を詠唱しているのかと思ったけど誰かと会話しているみたいだった。

思い直してみれば符養にそんな長い詠唱から出せる魔術なんて魔力不足で使えないか。

なら会話しているとしたら誰と?

・・・というかどうやって!?



「・・・準備完了。」


「フー、一つ聞いていい?」


「・・・なに?」


「誰とどうやって会話してたの?」



聞かれてたのかと言いたいかのような顔をした。

隠しているようだったが、聞かれていて慌てることはしていないので別に聞かれても、もしくはバレてもかまわないことなのかな?

符養は少し考えた後、別にいいかというように口を開いた。



「・・・それは・・・話は後。」



言いかけた符養の顔つきが変わったため何事かと後ろを振り向いたら、盗賊たちがまた来ているところだった。

符養が今にもそれを使おうとしていたので制止する。



「向こうが私たちに危害を加えるつもりなら使って。そうじゃないなら目を盗んで行動したいから。」



符養は頷いた。

鈴は私があまり怪我人を増やしたくないという甘い考えをまだ持っていることを不快に思って不機嫌な顔だ。



「よう。・・・って、おっかねえ顔してんな。そうだ、俺達が気持ちよくしてやろうか?」



気持ちよく・・・?一体何をする気だ?

もしかして解放してくれるのかな?

と思っていたら鈴と符養が



「フー、やっちゃって。」


「わかった。」



と、符養にいたってはいつもの「・・・」がなくなるほどの迅速さで鈴の指示に従った。

どういうことなの?まだ危害を加えそうな雰囲気には見えないけど・・・。



「ちょっと待って!私、鈴たちがここまで怒る意味がわかってないんだけど・・・。この人たち優しくしてくれるんじゃないの?」


「そうだぜ。優しくしてやるよ。」


「「黙れ」」



とてつもない低いトーンで二人が盗賊たちを睨む。

流石の盗賊もその気迫に気圧されて怯んでいた。

そして私に



「・・・飛鳥は知らないなら何も言わないで。これは言葉通りの意味じゃない。」


「どうしても知りたいなら今度教えてあげるから、今は私たちに従って。」



私は無言で頷くことしかできなかった。

符養は詠唱を始めた。



「・・・知らせる。汝らの主を守りたまえ。」



その言葉とともに現れたのは



「グラン!?それにサンとルナも?」


「よお飛鳥、まったく情けねえ格好してんな。」



ルナは私と向き合いながらそう言った。

符養は召喚後すぐに自分の縄を風魔術で切り、グランに何か指示を出していた。



「な、なんだこいつらはぁ!?」



急に出てき精霊たちに驚いた盗賊たちは驚きながらもグランたちに攻撃しようとする。



「なるほど、貴様等が飛鳥たちを捕らえた奴らか。サン。」


「わかりました、『レイ』。」



光線が盗賊たちに当たって、その場で爆発した。

彼らは吹き飛ばされて、そのまま倒れて気絶したみたいだ。



「さて、これが魔力を吸い取る縄か。どれどれ・・・」



ルナが私を縛っている縄に手を伸ばした。

だがルナは縄にふれた瞬間バッと手を引っ込めた。



「おおう。これは思ってたより強力だな。魔力が無尽蔵にあるとはいえこの感覚は怖いぜ。」


「ねえ、だから何でここにルナたちがいるの?何でフーがあなたたちを召喚できているの?」


「その話は後で本人から聞いとけ。今はそれどころじゃねえだろ。」



むしろ私にはルナたちがきてくれたことだしこっちが優先したいことだったから契約者マスター権限を使おうと思ったのだが、魔力が使えないことを思い出して諦めた。

解放されたら使ってやろうと思ったんだけど



「おっと、忘れてた。『スピカ・スピリチュアル、盗賊たちから離れて安全な場所に行くまでこのことを誰にも質問しようとするな。それと、聞くなら符養に聞け。』」



魔力を流して真名を呼んで命令を書き込まれた。

しかも、確実にできるように縄が魔力を吸い取っても届ききるように精霊だからできる超大量の魔力を込めての命令だったため、私にそれが届いてしまった。

命令された私はルナに聞くことができなくなり、



「・・・意地悪。」



と、口を尖らせて言うだけしかできなかった。



「後で言わなかったこと後悔させてあげるんだから。」


「うげ・・・、ならそれも命令でできないようにしてやろうか?」


「お願い、やめて。」



クククと笑いながらルナは懐からナイフを取り出した。

そしてそれで私の縄を切って私を解放した。



「あ~あ、やっと解放された~。」



私は一度伸びをした。



「それにしても精霊でも武器を持っているんだね。てっきり魔術だけで戦ってるものだと思ってた。」


「そんなことはねえよ。人が色々な戦闘スタイルを持っているように俺たち精霊も様々な戦闘スタイルを持っているんだ。大抵の奴らは魔術メインで戦ってるんだけど近接戦闘が得意な奴だっているぜ。俺もその一人だけどな。」


「へぇ。・・・けど私、ルナが武器を持って戦っているところなんて見たことないよ?」


「まあお前に召喚されるときは基本使ってないしな。そうしねえと圧倒できちまうからな。楽しくねえんだよ。」


「楽しんでる場合じゃない戦闘もたくさんあったと思うんだけど・・・。」



そうだったか?とナイフをクルクルしながらルナは言った。

私は半ば呆れながら鈴の縄を剣を召喚して斬った。



「まずはフーと鈴の武器回収かな。とりあえず代わりとして私の武器を使ってよ。」



と、私はさらに短剣と杖剣を召喚してそれぞれに渡した。



「おお!飛鳥っちありがとう。・・・って、飛鳥っちは自分の武器を取り戻さなくていいの?」


「実は捕まった時かろうじて武器の召喚解除だけはできたの。だから捕まった時に持っていた銃は今家にあるってわけ。」


「ふーん、私も武器召喚できるようにしようかなぁ。」


「・・・結構難しかった。」


「そうなの?けど、琴葉たちに聞けばなんとか・・・。」


「そんなこと考えるのは後でしょ。鈴はさっきのこと根に持ってたんじゃなかったの?」


「はっ、そうだった。よし、ぶっ潰してやろうじゃない!」



精霊が現れたことで忘れちゃっていたんだな。

鈴はいつものテンションを取り戻し、そのまま盗賊たちを殲滅に向かった。



「・・・グラン、私に憑依。」


「了解した。」



グランが符養に憑依した。

私も憑依させようかなと考えていると、



「飛鳥、俺達も憑依するぞ。」



と、ルナたちから言ってきた。



「『契約者マスター飛鳥が命じる。サン、ルナ、我に憑依せよ。』」



サンとルナが憑依してきた。



「さて、私たちも行こうか。」


「うん。」



符養が微笑みながら返事した。

この状況で言うのもなんだけど、グランを憑依させて表情が豊かになる符養がすごい可愛いと思ってしまう。

私たちは鈴を追いかけて走り始めた。



ちょっと考えていくら精霊を憑依させていても私は身体能力はそこまで強化されるわけでもないため元の身体能力では私は鈴に勝てないことを思い出し、空間魔術を使えば早かった後悔した。

符養も私にペースを合わせてくれたため二人して到着が爆走していた鈴より遅れてしまったため、ガチギレ状態の鈴によって盗賊の半分くらいが壊滅していた。

こんな人数を同時に相手にしてよくまた捕まらなかったなと感心してしまった。

その理由は



「『トルネード』、『エクスプロージョン』」



詠唱破棄で人を吹き飛ばしやすい魔術を連続で出して盗賊を吹き飛ばし、他の盗賊にぶつけて倒していた。

それに加えて鈴は倒したらその人には目もくれないんだが、一人だけ例外がいた。

鈴はその人を確実に発動した魔術に巻き込みながら他の盗賊と戦っていた。

ボロボロになっているその人をよく見ると、鈴の胸を触ったあの人だった。

・・・まあ、殺人にならないように祈るしかできないかな。



「こんなところかな。飛鳥っち、フー、ほいこれ。」



もう半分くらい倒した後、盗賊の戦意喪失を確認して(それと例の人の再起不能も)、鈴は自分と符養の武器を手にして符養のと元々持っていた私の武器をそれぞれ本人に投げた。

符養はそれを驚きながらも普通にキャッチしたが、私は反応が遅れて落としてしまう。

それを見た符養は自分も投げようとしていたみたいだったが手渡しで私の武器を返してくれた。



「加勢する必要なかったみたいだね。」



符養が渡してきたときに苦笑してそんなことを言った。

やっぱり普通に表情が作れている符養を見るとうれしいながらもどこか違和感を覚えてしまっていた。



「そうだね。まあ、鈴を怒らせるとあそこまで怖い目にあうってことがわかったいい機会なんじゃない?」


「・・・うん。私、絶対鈴を怒らせないようにする。」



怒らせると言えば幼馴染の二人を思い出したが、あの二人は鈴を怒らせてもボロボロになりながらもまだ鈴に悪口を言えそうな気がする。



「私がどうかした?」



と言いながら鈴が私たちのところに戻ってきていた。



「ううん。何でもないよ。」


「そう?ならいいんだけど。それよりさ、さっき召喚した精霊たちってどうしたの?もう帰しちゃったの?」


「帰してないよ。今グランがフーに、サンとルナが私に憑依してるの。加勢するために憑依させたのに無駄になっちゃった。」


「精霊を憑依・・・。なるほど、だからフーが普段より表情が柔らかいのか。」


「表情・・・?・・・あっ。」



ようやく自分がグランを憑依させたときにどうなるか思い出したみたいで(というか気付いてなかったんだ・・・)、恥ずかしがっていた。

その符養を見て鈴が



「あはは、いいねその表情も。私、なんかフーが心を開いて遠慮なく話してくれているみたいでいいと思うよ。」


「・・・普段から心開いてるもん。」



いつもなら見れない頬を膨らませた符養を見て私と鈴は符養の頭をなでたくなったが、これ以上彼女をいじると拗ねて憑依状態を解除してしまうかもしれなかったのでそっとしておくことにした。



「あっ、そろそろ行かないと。骸亞たちがどんどん先に行っちゃう。」


「そうだった。みんな先に行っているんだよね。」



みんなが先に行ってから大体2、3時間経過してるだろう。

いや、もしかするともっと経っているかもしれない。

この間にもみんなとの距離はどんどん広がってしまうのだ。



「飛鳥、空間魔術で飛べないの?」


「できるけどあれは座標がわからないと飛べないからちょっと難しいかな。今ここの座標はわかるから、適当な座標に飛んで近づくことはできるかもしれないけど・・・地図見せて。」



鈴は自分の持っている地精霊の加護領域の地図を渡してくれた。

私はその地図を広げて地図上の現在地と加護領域の端の位置の距離から端の座標を求めていた。

隣から鈴も手伝ってくれる。



「この地図の縮尺がこれくらいだから・・・×・・・でこれくらいだから・・・。」


「ああ、飛鳥っち、この距離はそれじゃなくてこれじゃない?」


「あ、ほんとだ。なんでこんな簡単な間違いをしたんだろう。これなら・・・」



この時計算に集中していて気づかなかったけど、盗賊の残党が襲ってきていたみたいでそれを符養が撃退していたらしい。




「よし、こんなものかな。」



思ってたよりあっさりと計算出来てしまった。



「早速使おうよ。」


「待って。空間魔術を使うには憑依状態を解除しなくちゃ。」



空間魔術には属性がないので闇または光系統の魔術以外使えない今の状態では空間魔術が使えないのだ。

私はルナとサン、そして符養に憑依しているグランを帰す態勢に入る。



(結局縄を斬らせるだけになっちゃったね。こんなことだけに召喚してごめんね、二人とも。)


(そもそも俺らが召喚されていなかったら助かってねえだろ。)


(そうだった、ごめん。)


(いいんですよ。私たちは微力でも飛鳥ちゃんの力になれればそれでいいんです。またいつでも、好きな時に喚んでください。)


(ありがとう、サン。)


(それに水の加護領域を抜けると私の加護領域に入りますから、その時は遊びに来てくださいね。)


(うん、わかった。じゃあね。)



私は三人を元の場所に帰した。

私の中から二人が消えるのを感じる。

そして私はそのまま鈴と符養を近くに来させて、



「『飛べ、ジャンプ』」



空間魔術によって、目標の位置に向かって飛んだ。

おまけ~飛鳥とルナの会話~


飛鳥が助けられている時・・・



飛鳥「ねえ、ルナ。」


ルナ「あ?なんだ?」


飛鳥「さっき盗賊たちが私たちに『気持ちよくしてやる』って言ったら・・・」


ルナ「ブッ!」


飛鳥「え!?どうしたの?」


ルナ「お前の口からそんな言葉を聞く日が来るとは・・・。ああ、いや、なんでもねえ。で、続きは?」


飛鳥「あ、うん。それでそしたら鈴とフーがものすごい怒ってたから何でかなぁって。ルナはなんでかわかる?」


ルナ「・・・知りてえのか?」


飛鳥「一応知っておいたほうがいいのかなって。」


ルナ「あー、飛鳥ももうそんな年かー。わかった、教えてやるよ。」


ルナ「ゴニョゴニョ」


飛鳥「〇△&$¥+%%!?」


ルナ「なんかそんな反応されると俺が悪いみたいだな・・・。」


飛鳥「ご、ごめん・・・。」

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