表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロスワールド  作者: 氷冷 飛鳥
第五章 序
36/64

仲間集め

放課後



「ねえ飛鳥っち、ルルーも誘うの?」


「? 鈴って流流のこと嫌いなの?」


「いや、むしろ大好きな方だけど、迷惑しないかってこと。全員が私や飛鳥っちみたいに上位の成績じゃないんだよ?」



特別課外授業は成績優秀者が申請すれば同行する人はあまりにも成績が悪くなければどんな人でも最高十数人同行できる。

だけど、その人達も特別課外授業に参加しているということになるのでズル休みはしてはいけない。

そのために、責任者は同行者に関しての記録、監視もしなければならない。

因みに記録などのねつ造は魔術によって簡単にバレてしまうので無意味である。

あまり関係ないことを話したが、鈴が言いたいのは長期休暇を利用するとしても学校がある期間は授業を受けられないから勉強が遅れるということを言いたかったのだろう。



「大丈夫だよ。特別課外授業参加者のための特別措置があるって聞くし、なんとかなるんじゃないかな?」


「・・・だといいんだけど。」



もう、鈴は心配性だなぁ。



「けどさぁ、鈴だって竜さんを誘ったんでしょ?」


「ちょっ・・な、なんで飛鳥っちがそれ知ってるの?私言った?」


「言ってないよ。フーがそうじゃないかって言っていたから聞いてみただけ。」



鈴が小声で符養に文句を言っていたけど聞こえなかった。

そんなことを話ながら、私達は魔術科の教室を出て、武闘科の教室へ向かうのだった。



・・・と、なる予定だったが、



「おおよかった。まだ教室にいたのか。」



ちょうど教室を出た時に竜さんに声をかけられた。

竜さんの隣にはウラルでの竜さんの親友のしん・・・によく似た人物がいた。



「竜さん、2日ぶりですね。鈴に用事ですか?」


「よう飛鳥。同い年なんだしそろそろ普通に話してくれないか?」


「え?あ・・・・・・う、うん。改めてよろしく、竜。」



意外にすぐ普通に話せたことに内心驚いた。

・・・って、私、琴葉や流流にはすぐに打ち解けたから別に意外なことでもなかったかも。



「まったく、飛鳥っちは自分からフレンドリーにいかないとダメだっていつも言ってるじゃん。」



・・・自分が出来ているって思っていても他の人はそう思っていないみたいだ。

もうちょっと頑張らないといけないな。



「鈴、飛鳥だって努力しているはずだ。そういうことも考慮してやれ。」



竜がフォローしてくれた。

この人、思ったより意地悪な人じゃないのかな?



「・・・わかってるよ。それで、何の用なの?」


「ああ、そうだったな。飛鳥、俺達もお前の御使いについて行くぜ。で、今日はこいつを紹介しようと思ってな。」



竜の隣でずっと黙っていた人が竜に「もう喋っていいのか?」と聞き、竜はそれに「自己紹介程度にな。」と釘を刺していた。

多分相当喋る人なのだろう。



そうだ。戦士科4年。竜と鈴とは昔からの付き合いなんだ。よろしく。・・・・・・これでよかったか?」



竜さんが「ああ、よかったぞ。」と爪に言った。

見た目に反して大人しい人なのかなって思っていたら鈴が



「飛鳥っち、あれは野放しにしておくと手がつかなくなるから竜が抑えているだけだよ。」



あ、な~んだ、こっちの世界でも似たような性格なのか。

安心していいのかいけないのかよくわからないけど、私は一応「よろしく」と一声かけた。



「おう、よろしく。」



確かに大人しいこの人には違和感を覚えた。

まあ鈴と一緒にいればそのうち見れるよね。



「俺達の用事はそれだけだ。時間をとらせてすまんかったな。じゃあそろそろ帰えらせてもらうな。」


「あ、竜まって。」



鈴が竜を引き止めた。



「私達これから他の人達も誘いに行くの。竜もついてきてよ。」


「お?顔合わせするのか?ならそうさせてもらうか。」



こうして、竜と爪がついてくることになった。



・・・ん?

さっきの鈴、「『竜』も」って言ってなかった?

爪のことはどうでもいいのかな?




「あ、琴葉。」



廊下を歩いていると琴葉がいた。

琴葉も誰か符養より背が低い女の子を連れていた。

誰だろう?下級生の子かな?



「飛鳥!テスト前以来だね。大丈夫だった?」


「うん、平気。このとおりピンピンしてるよ。」



私のそれを聞いて琴葉は安堵した顔を見せ



「よかった。心配したんだよ?」


「ごめんね。けどもう大丈夫だから。」



私はにっこり笑った。

琴葉も微笑み、この話を終わりにした。



「それで飛鳥、あなたは会う度に連れている人が増えるね。」


「あははは・・・、前回がいつものメンバーと言いうか、今回が珍しすぎるというか・・・。」


「へえ。・・って、符養は?」



琴葉は今この場にはいない私といつも一緒にいる友人の姿を探した。

だが、先ほども言った通り現在彼女はこの場にはおらず、探しても意味はない。



「琴葉、今符養は武闘科の教室にいるの。今から迎えに行くんだ。・・・そうだ!琴葉も一緒においでよ。それに・・・そちらの・・。」


「ああ、紹介するのがまだだったね。この子は(なる)。私達と同じ4年生で、私の親友。」


「あ、えと、鳴です。よろしくお願い・・・します。」



鳴は恥ずかしがって琴葉の陰に隠れながら挨拶した。

なんでだろう、この子とは仲良くなれそうな気がする・・・。



「私は飛鳥。よろしくね、鳴。」



私は手を彼女に伸ばした。

彼女は一瞬ためらったが、すぐに握手してくれた。



「あ~、私もする~。」


「鈴、ちょっと待ってよ。それは二人への話が済んでからお願いできる?」


「そうだった。それで一緒においでって、どこか行くつもりなの?武闘科の教室?」


「正解と言えば正解なんだけど・・・。そうじゃなくて、早ければ3日後かな?その日から3ヶ月くらい、長期休暇も使って特別課外授業でウィンに行きたいと思ってるの。それで琴葉達も一緒にどうかなって思ってさ。」


「・・・。」



琴葉と鳴が顔を見合った。

私は断られるんじゃないかとすごい不安だった。



「だ、駄目・・かな?」


「全然OKよ!私と鳴はウィン出身なの。だから帰省も兼ねて一緒に行かせて。」



鳴も頷いてくれた。

鈴が鳴に抱きつこうとするが、よけられて鳴は琴葉の陰に隠れてしまった。



「鈴、あんまり急に抱きつこうとしないであげて。この子恥ずかしがり屋なの。」


「あ、そっか。鳴ちゃんごめんね。」



鈴はすぐに下がったけど、既に鳴は鈴のことを警戒していた。

自業自得だけど鈴は落ち込んでしまった。



「鈴、いいところ見せればきっとわかってくれるよ。」


「・・・ぐすん。鳴ちんと飛鳥っちやっぱり似てる。」


「え?私、鈴のこと怖がったことあった?」


「あったよ。1年生の時に『かわいい子だなあ』って背後から抱きついたら驚いて私の手から抜けて逃げていったじゃん。私、その次に会ったとき『あの時の子だ』って一目見てわかったよ?その時も抱きついたら逃げられたけど。」



そんなことあったかな?と記憶を巡らすけど全く覚えがなかった。

多分、その後の「鈴さん」をみてそれまでのことを忘れてしまったのだろう。







その後、結局思い出せないまま琴葉と鳴を含めたメンバーで武闘科の教室に向かった。

流石に次々と知り合いに会う、ということはなく(そこまで友達いないし・・・)無事に教室についたのだった。



「やっと着いた~。」


「鈴、これからもっと長い旅をするのにこんなので疲れてちゃだめだよ。」



「疲れてない!」と抗議する鈴を放っておいて、私は教室の扉を開けた。



「飛鳥ぁ~!」



開けた途端、目の前に飛びついてくる符養が現れた。



「・・・遅い。」


「ごめんね、フー。ちょっと他の人にも交渉してたの。」


「・・・琴葉?」


「そう。あとその友達の鳴も一緒に来てくれることになったの。」


「・・・大所帯。」



確かに今確定している人数だけで7人。(私、符養、鈴、琴葉、鳴、竜、爪)

それに加えて流流や骸亞が一緒に行くことになれば・・・って、ちょちょちょ



「骸亞!なんでいきなり帰ろうとしてるの?まだ私話してないよ!?」


「符養から大体の話は聞いた。協力してやろうと思ったが、1人気にくわない奴がいる。」


「え?それって・・・」


「あー!この前俺に突然斬りかかってきたやつ!」



辺りを見回すと、竜が骸亜を指差していた。

それを見たとき、私は大体のことを理解した。



「・・・骸亜、何してるの?」


「気にくわない。」


「だからといって斬りかかるのはおかしいでしょ!」


「チッ、こういうところは変わってないのかよ。」


「何?飛鳥あのわたしみたいに『骸亜さん』って呼んでほしいの?」



そういうことじゃない、と、骸亜は言うが、私にはそう言っているようにしか聞こえなかった。

クールぶっているけどやっぱり骸亜も私達と同じ子供だなあ。



「骸亜、あなたの言いたいことはわかるよ。けどさ、まだ竜達のことわかってないよね?今回を期にこっちの竜達のことを知って仲良くなろ、ね?」



優しく言ってみる。

私としては骸亜とも一緒に行きたい。

だって骸亜は私の・・・



「私の友達同士だもん。大丈夫だよ。」


「・・・。」



私が微笑んだのを見て骸亜が頭を抱える。

あれ?何かまずいことでも言ったかな?



「・・・わかった。あいつの人格を知るためだ。俺も参加する。」


「え?あ、うん。ありがとう・・。」



何か怒ってくるのかなって構えてたら普通に了承の返事だった。



「さっきまで熱心に誘ってきただろ?いきなりキョトンとしてどうしたんだ?」


「あ、なんでもないよ。ちょっと別なことを思い出しちゃってね。」


「そうか。」



と言って、骸亜は剣を取り出して右方からきた矢を弾き落とした。



「・・・何のようだ?」


「あの時の仕返しだよ。何だ?やるか?」



自分から仕掛けておいてそれはないとは思うけど、喧嘩するほど仲がいい・・・でいいのかな?

骸亜がついてきてくれるのは嬉しいけど、喧嘩ばかりするのも嫌かも・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ