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クロスワールド  作者: 氷冷 飛鳥
第五章 序
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テスト~結果~

休み明け。

昨日鈴にいつもより早く学校に来るように言われ、符養と2人で眠い目をこすりながら学校へ向かった。

学校へ向かう途中、符養は流流を見かけて一緒に行くために別れてしまった。

私はいつもより早い時間なのにいつもと変わらない、むしろ多い数の生徒が今登校していることに疑問を抱きながら一人で歩いていた。

そして学校前の門にさしかかると、鈴に声をかけられた。



「おーはよう飛鳥っち!良い話があるんだけど聞いていかない?」


「おはよう、鈴。良い話って?」


「男手として竜とその友達が付いてきてくれるってさ。」


「一昨日会ったばかりなのにいいの?」


「うん。といっても私や竜達がまた集まる口実にしてるだけなんだけどね。」


「いいと思うよ。私は人数多い方が助かるし。」



竜さん達がいれば百人力だ。

何気にあのコピー能力は応用を利かせれば色々なことに使えそうだし。

それにしても男手か・・・、私も骸亜を誘おうかな。そう思いながら廊下を歩いていると、掲示板の前に人が集まっていたのが見えた。

そこに登校中に別れた符養と流流もいた。



「フー、それに流流、この人集りは一体なに?」


「・・・飛鳥、それ本気で言ってる?」



符養に怪訝な顔をされた。

流流も驚いた顔をしており、鈴に至っては「いつものこと」と諦観していた。



「飛鳥っち、今日はテストの結果が発表される日だよ。」


「あ・・・」



結果発表・・だから忘れていたのか。



「・・・思い出した?」


「うん。剣士科の1年生だったころ、毎回最下位でどれだけ頑張っても変わらなくて見るのやめていたから完全に存在を忘れてた。」


「oh・・・。・・・って飛鳥っち、私去年や一昨年に飛鳥っちが真ん中より少し下に入っていたの見たよ。」


「え!?」



何かの間違いだと思った。

私は1年間ずっと最下位だったから、急に中の下、下の上になるわけがない。

それに1年生の時にもすごい勉強を頑張っていたのに・・・。



「飛鳥、もしかして名前忘れた?」


「? 名前なら覚えてるよ?」



私の返答を聞いて符養が慌てて訂正を入れる。



「・・・飛鳥、流流は『名前を書き忘れていたんじゃないか?』って意味で言った。」


「あ、ごめん。・・・名前かぁ・・そういえば、そうかも・・。」



そうかもじゃなくて本当にそうだ。

とぼけたけど私の内心はすごい動揺と「なんで書いてなかったんだー!」という後悔が渦巻いていた。



「飛鳥っち、言葉をうまく話せてないよ?」


「そ、そう?」


「・・・もしかして図星?」


「・・・。」



自分で隠せていたと思ったら隠せていなかった。



「・・・飛鳥らしい。」


「だね~。飛鳥っちだもんね~。」



あれ?

呆れられると思ったのに意外な反応・・・。

というより、呆れられる以上にダメじゃない?



「まあ過ぎたことはその辺にして、今回の結果を見ようよ。大事なのは今なんだよ。」



そう言って私や符養、流流を連れて群集の中に突撃しに行った。





「さて、魔術科の成績表は・・・っと。・・・って、んん?」



鈴が見間違えたかなという顔をして順位の表示された場所を見つめている。

私も鈴の視線を辿っていって魔術科の順位表を見つけ、順位の下から見ていく。

・・・あれ?



「私の名前が・・・無い。」



鈴の名前が出てくるところまで見たけど私の名前が無かった。

ちなみに鈴より上を見なくていいのは鈴がいつも魔術科のトップをとっているため、鈴より上の順位がないためだ。

もう一度確認をしてみたけど見当たらない。



「え?飛鳥っちの名前あるじゃん。」


「どこにあるの?」


「ほら、あんなに見やすいところに。」



鈴が指を指した。

私はそれをまた辿って魔術科の順位表を見ると、確かに私の名前があった。



「うそ・・・」



驚きすぎて思わず口に出てしまった。

最下位や中間の順位なら仕方ないと思って次頑張れば良いと思っていたんだけど、今回の結果は私の予想を大きく上回っていた。

テストでは絶対鈴にはかなわないと思っていたのに・・・。

私か、今回の魔術科のテストでの最優秀成績者だった。



「あーあ、飛鳥っちに負けちゃった。やっぱり飛鳥っちはすごいね。」


「あうううう、ど、どうしよ?私トップだ!」


「おおう・・・。喜ぶというよりは困惑してるんだ。」



だって一位になるって思わなかったもん。

そう言おうとしたけど、舌がうまく回らなくて諦めた。



「飛鳥っちは上位じゃなかったらどうやって特別課外授業を申請する気だったんだよ。」


「ううっ・・・。考えてなかった。」


「まあその時は私が申請してあげたけど、飛鳥っちはちゃんと計画して物事を言ったほうがいいよ。」


「うん・・・、気をつける。」


「わかればよろしい。さて、フー達はどこかな。」



鈴は群集に突撃した時にはぐれた符養や流流を捜索し始めた。

私は先にこの人混みから抜け出して、3人が戻って来るのを待った。

すると、鈴に見つかっていないのに符養と流流が人混みから出てきた。



「・・・人多い。」


「フー揉みくちゃされた。」


「・・・りゅうが手を繋いでくれなかったら行方不明になってた。」



符養がとても不機嫌そうにしていた。



「とりあえずフーも流流もお疲れ様。流流の結果はどうだった?」


「私中の上くらい。」


「・・・私も載っていた。」


「え!?フーは試験受けてないよね?」



符養は頷いた。

彼女は流流を待たせて私を引っ張って再び人混みに入り、武闘科の順位表の前に行った。



「・・・。」



符養が無言で指を指した先には確かに「11 符養 88 186」と書いてあった。



「ほんとだ。」


「・・・ね。」



そして迅速に確認し終え、迅速に撤退しようとしていた時に



「フーみっけ。・・って飛鳥っち?先に抜け出していたんじゃなかったの?というよりルルーは?」



別人の名前を言っているように聞こえるけど、多分流流のことを言っているのだろう。



「流流は先に出てもらってる。それよりあれ見てよ。フーの名前も入ってる。」

「おお、ほんとだ。フーもすごい上の順位に入っているね。」


「感心することじゃなくて、フーは試験を受けてないんだよ?」


「え?試験なら受けたでしょ?」


「「え?」」



と、私と符養が驚き鈴はキョトンとした。



「編入試験受けたでしょ?あれがフーの中間試験になったんだよ。ちなみに学科の問題はほとんど一緒だけど一部が難しくなっていて、実技の方は試験官が厳しい人だって話。」


「・・・私実技やってない。」



符養のしょんぼりした言い方を見て鈴も疑問に思ったようだった。



「んん~?ならどうして実技の点が出てるんだろう。」



鈴の言葉を聞いた時、ふとアイシス先生の顔が浮かんだ。

それで私は納得でき、私の表情を見た鈴が



「飛鳥っち、わかったの?」


「うん。わかったんだけどさあ・・・、とりあえずここから出ない?」



私達は鈴を伴って人混みから出て流流の元へ戻った。

そこで鈴は再度同じ質問をしてくる。



「で、飛鳥っちはわかったんだよね?」


「うん。別に大したことじゃないよ。アイシス先生って言えばわかるかな?」



鈴はまだ頭にハテナを浮かべていたけどそれで符養は納得してくれていた。



「・・・アイシスがあの時私も試験していたということ?」


「うん。私が思うに多分そういうこと。」


「ねえ、話がよくわかんないんだけど?」


「ああ、まあ簡単に話すと・・・」



私が話を始めようとした時に予鈴が鳴った。

その予鈴によって掲示板前に集まっていた人達が散っていく。

そしてそれは私達も同じで



「え!?もうこんな時間?鈴、話は移動中か着いてからするから早く教室に急ごう。フー、流流、放課後時間空いてるなら話たいことがあるんだけど大丈夫?」


「・・・私が言っておく。」


「フーありがとう。けど合流したいから放課後に武闘科の教室で待っていて。あとできれば骸・・・0を捕まえておいて。あの人にも話たいから。」


「・・・わかった。」


「鈴、いこ。」



私は符養と流流に背を向けて鈴と一緒に魔術科の教室まで走り始めた。

因みに、急いでいて教室に着いてもギリギリだったということが続き、結局どうでもいい話を鈴に説明出来たのは一限目が終わった後だった。

もう、なんで掲示板前から魔術科の教室までが一番遠いの。

今回はテスト編の続きみたいなタイトルですが、前話からの続きでした。

タイトルはただ単に話のメインにテスト関係があったからというだけです。決して思いつかなかったわけではないです。


今回は久しぶりにキャラ紹介をしますが、物語が進み、かなり設定追加?変更?された人がいるので、近いうちにまとめ回みたいなものをしたいと思います。




竜 射手科 四年


鈴の幼なじみ。

人の技を弓矢を使って自分流にコピーできる一家代々に受け継がれる能力を持つ。

その能力を応用して他人自身に変身することができる。(というかこっちが本来の能力)

漫画などでよくある主人公属性を持っているが、竜はこの作品の主人公ではない。

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