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クロスワールド  作者: 氷冷 飛鳥
第五章 序
33/64

鈴の幼なじみ

「おお、鈴。お前もいたのか。」



竜と呼ばれるその人は鈴と知り合いのようだった。



「別にいてもいいでしょ。友達の買い物に付き合うことぐらい普通なんだから。」



鈴がいつもとは違う口調、「鈴さんモード」で話している。

と、思っている場合ではない。

竜・・・、ウラルでは鈴の幼馴染だった人だ。

この鈴の竜さんに対する反応を見るにこの世界でもこの二人は幼馴染なのだろうか?



「・・・鈴、その人誰?」


「竜。私の幼馴染の一人よ。ちなみに弓使いのコースの生徒。」



符養が鈴に竜さんのことを聞いた。

やっぱり幼馴染だったか。

ならウラルの竜さんと同じようにこの人にも特殊な能力があるのかな?

その竜さんが鈴のそばにいる私に気がついて



「お?そこにいるのあの飛鳥か?」



と言って私を凝視してくる。

私はすぐに目を逸らし、首を縦に降った。

そして変わりに鈴が答えてくれる。



「そうよ。同じ魔術科だもん、友達になっていても不思議じゃないでしょ?」



そこで「親友」って言って欲しかったな・・・。

しかし、何回かこの状態の鈴を見てきたけど幼なじみを相手している今の鈴を見ると、おちゃらけた鈴とこの鈴、どっちが本当の鈴かわからなくなる。



「で?竜、何の用なの?」


「いやいや、俺はただ爺さんに弓の修理を頼んでて今日がその引き取りの日だったんだよ。」


「俺は今日とは言ってねえけどな。」



おじさんが竜さんの言葉を即座に否定した。



「可愛い甥の頼みなんだから1日早くてもいいじゃねえか。」


「先約があったんだからわがままな甥の頼みなんか聞いてられるか。そもそも伯父の俺をジジイ呼ばわりするやつの頼みを聞く必要はねぇ。」



鈴が「ざまあみろ」と言わんばかりの表情で竜さんを見ていた。



「おい鈴、お前なんだよその顔!俺なんかお前の怒りを買うようなことしたか?」


「自分の胸に手を当てて考えろ。あと空気読め。」



私は2人の会話が長くなりそうなので符養を手招きして、店の方へと避難する。






「・・・飛鳥、どうして出てきたの?」


「逆に聞くけどフーはあの空間にいたかったの?」



符養の首が左右に振れた。



「そういうこと。まあそれとあとやらなきゃいけないことがもう一つあったからでもあるけどね。」


「・・・もう一つ?」



銃を手に持っている私はその銃を私の他の武器が並べられているところに向けた。



「そこ。それをうまく使い分けれるようにしたいの。」


「・・・どうやって?」



私は銃を机の上に置き、銃に手をかざす。



「『我、汝の所持者マスター飛鳥。我の呼び声に答えよ。』」



魔法陣が浮かび上がり、それが両方の銃の中に収束していく。

陣が銃の中に収束しきったら私は銃から離れた場所へ行く。そして、両手の掌を開いて念じると


「ヒュン」


私の手に銃が出現した。



「・・・物と契約したの?」


「そうだよ。生物と契約できるなら無生物とも契約できないかなって考えたの。」


「・・・飛鳥、魔術科の授業だけじゃなくて召喚科の勉強も受けてたの?」


「? 別に受けてないよ?」



なぜか符養はそれを聞いてすごい呆れていた。



「な、なんでそうなるの?」


「・・・物の召喚は熟練した召喚士じゃないと難しい。この前琴葉から聞いた。」


「そう?ちょっと普通の召喚を応用しただけでできたよ?」



符養は大きく溜め息をついた。



「・・・飛鳥のは応用のレベルを超えてる。ここまで出来る飛鳥がどうして鈴の同時詠唱や詠唱付加を真似出来ないのか不思議なくらい。」



私は既存の知識の範囲でしか出来ないが、鈴は自分の道を切り開いて魔術を半分独学で身につけているため私が鈴の真似をする事など出来るわけがない。

けど符養にはそれが一緒に見えるのだろう。



「・・私もそういった才能が有ればなぁ……。」



めず・・・「珍しいなあ、フー子が感情を表に出すなんてよ。」



私はおじさんを店の角に連れて行った。



「なんでそういう冷やかしをいれるんですか!せっかくフーが感情を出してくれたのに。見てください。フーが恥ずかしがってまた無表情に戻ったじゃないですか。」


「・・・飛鳥も面白がってない?」



そんなわけはない、私は感情を出すことが恥ずかしいと思っている符養に別に恥ずかしくないことだとわかってもらいたいだけなのだ。



「それはすまんかったな。ハッハッハ」



なんだかすごい上機嫌だ。

鈴と竜さんに関して何か面白いことでもあったのかな?



「どうしたんですか?すごい不気味ですよ?」


「ああ、こっち来る時に面白いもんを見れたからな。」


「どういうものでした?」


「鈴が・・・いや、言わないほうがいいか。」



鈴がどうしたというのだろう?

すごい気になる。

だがおじさんは私が店に戻ってきた理由を読み、



「嬢ちゃん、何かやることがあってこっち戻って来たんじゃねえのか?」


「あ・・・。」



忘れていた。

私はすぐにほかの武器を取りに行き、そこで武器の召喚契約を迅速に行う。



「早くしろよ。あいつらが戻ってくると面倒なことになるからな。」


「はい。」


「それにしてもあいつも隅におけねえな~。」


・・・おじさんは何を言ってるんだろう?






幸い、契約を終わらせるまで鈴たちは戻ってこなかった。



「さて、これで仕上げ。」



私は武器を見る。



「『異空間への穴よ、我の知る地へと飛ばせ。 ワープホール!』」



そして武器を家へ送った。

さらに、私は武器を持っていないが、剣を構える体勢を取り、



「ヒュン」



剣が出現する。

さらに剣を持ちながら銃を構える体勢を取りながら



「ヒュン」



剣が消失し、銃が出現する。



「・・・むう。」



符養が不機嫌になる。

やっぱり妬いてるのかな?



「おお、すげえな。」



と言って現れたのは竜さんだ。

鈴も不機嫌にしながら一緒にいる。



「武器の召喚かよ。魔術科の生徒とは思えない芸当だぜ。」


「やっぱり飛鳥っちは私よりすごいよ。」



いや、鈴より私なんかがすごかったらこの世は天才のオンパレードだよ。



「面白えなお前。俺と戦ってくれよ。」

「え?」


「お前と戦ってみてえ。なあ、いいだろ?」


「え・・・。いいですけど。」



竜さんは「よし」とガッツポーズをとる。

鈴は「まあいっか」みたいな顔をしており、符養はまだ妬いていた。



「じゃあまた下に行くか。鈴、さっき上がってきたばっかだけどいいか?」


「残念だけど私達今あそこ出禁なんだよね~。」


「はぁ?ならなんでさっきあそこにいたんだよ?」


「特別に許可されてたのさ。だから二度目はないのだよ。」



竜さんは大きく溜め息をした。

多分移動が面倒とかそういった理由ではなく鈴がいつも自分が見ている鈴と違うからだろうか。



「でしたら私の家の裏を使いますか?フーと2人でよく技の練習などに使ってるんです。」



まあ大技使うと畑が荒れる(つまり符養がまた泣く)かもしれないからあまり使いたくない場所でもある。

ほら、符養がまた作物がめちゃくちゃにならないか不安になって焦ってる。



「よし、ならそこに行くか。」







「・・・飛鳥、どうしてあそこを使わせるの?畑がめちゃくちゃになってほしくないからやめてほしい。とくに裏庭は私の育てているものが一番近い。」



移動中、符養が私にだけ聞こえるように言ってきた。



「しょうがないじゃない。他に思いつくところ無かったんだから。」


「・・・飛鳥と竜、少し似てる。」


「? いきなり何言ってるの?」


「・・・別に。ちょっと思っただけ。」



符養って時々よくわからないこと言うなぁ。

符養は話を戻す。



「・・・学校とかダメなの?」


「休日入るには入門許可の申請が必要だし、訓練所を使うならさらに許可申請が必要だから結構面倒くさいの。」


「アイシスに連絡しておけば?」


「『先生』を付ける。先生は休日中ずっと研究してるって言ってたから邪魔しちゃ悪いでしょ?それに伝書鳩代わりに精霊を使おうとしても誰も了解してくれないと思うよ。」



符養が「精霊」という言葉を聞いた瞬間「あ・・・」と声を漏らした。



「? どうしたの?」


「飛鳥、あとでグランを呼び出せない?」



いつもの「・・・」が無くなるほどの用件なのかな?



「けどどこで話すの?」


「・・・家の中。そこでなら邪魔されない。」


「鈴はどうするの?もしかするとフーがいなくて探しに行くかもしれないよ?」


「・・・その時は任せる。」



竜さんもいるのに無茶を言うねこの子は・・・。

私も符養が不安になるようなことをしようとしてるから人のこと言えないけど・・・。







「着きましたよ。」



その後は符養も鈴も(鈴はずっと竜さんと何か話していた)私に話すことは無く、何も無く家に着いた。



「おお、ここが飛鳥っちの家か~。でっけえ~。」


「鈴は何度もうちに来たでしょ?」


「冗談冗談。でもいつ見ても飛鳥っちの家ってでかいよね。1人・・・2人暮らしとは思えない大きさの家だよ。畑も作れるほどの庭もあるしね。」


「前にも言ったじゃない。私の親が『ひーちゃん(私のあだ名)に寂しい思いさせたくない』とか言ってこんなに大きな家作って仕事があるはずなのにそのまま住んで・・・鈴に出会う前くらいに無理やりルスピカに帰したって。」



ちなみに帰したその日は大きな家に1人ぼっちで寂しくて1日中泣いたというのは誰にも言っていない秘密。

そしてルスピカというのは私の故郷であり、精霊ルナの加護のある街だ。



「・・・飛鳥、早く。」



私だけに聞こえるように符養が言った。

私は小さく頷き、



「ちょっと始める前に家に武器が送られているか確認しに行かせて。」


「・・・私も行く。」


「なら私も行くぅ!」



どうしよう、予想はしていたけど鈴までついてきちゃった。

うーん、いつか話す気だったし別にいいよね。

というより今まで黙っていたことがおかしかったんだよ。

私は鈴が入ってきたことを拒まずそのまま武器が送られたはずの場所へ向かう。



「あ、あった。」



居間の隅、不自然に片付けられたところに全ての武器が置いてあった。

私はそれを持って同じ階の倉庫に行き、あらかじめ用意しておいた場所に武器を置いた。

けどイレギュラーだった銃の置く場所が無く、もしものことがあるかもしれないから携帯することにした。



「さて次はフーの用事だね。」



首を縦に振る。



「ん?なになに~?」


「鈴、ごめんね、隠してて。」


「?」



今鈴の頭に?が浮かび上がっているが、その直前鈴の眉がピクッと動いたのが見えた。

やっぱり鈴はあんまり隠し事が好きじゃないのかな?

とりあえず私はグランを召喚する。



「『契約者飛鳥が命ずる。いでよグラン!』」



グランは私をチラ見しただけで符養の方を見た。



「すぐに呼べと言ったはずだが?」


「・・・時間が無かった。」


「うお~、生の精霊初めて見た!」



よくわからない会話をしている符養達に対して鈴は空気を読めてなさそうにグランをジロジロ見ている。

私はその鈴を見て隠していた罪悪感をあまり感じなかった。

それよりも



「鈴、なんか反応薄くない?」


「え?もしかして飛鳥っちの隠し事って精霊を召喚出来ること?それなら私もう知ってたよ。」


「・・・え?」


「・・・?あれ?なんで飛鳥っちが驚いてるわけ?」





「つまり鈴は私とフーが初めて戦った時に見ていたってこと?」


「うん。フーの一撃で気絶したんだけど浅かったみたいですぐに気が付いたんだよ。ちょうどその時に飛鳥っちに精霊みたいなのが吸収されるのが見えたんだよ。けど飛鳥っちがフーとの戦いのあととかその後日とか何も言わなかったから見間違いなのかなって思ってさ。」


「ごめん、けど言うつもりだったんだよ。ただ時間と言うタイミングが無くて・・・。」


「謝らなくていいよ、別に怒っているわけじゃないし。私も気になるなら聞けばよかっただけだし。けど・・・」



けど?



「やっぱり隠し事していたことには変わりないし・・・・・・」


「飛鳥、鈴、竜を待たせてる。・・・早く行って。」



鈴の私への怒りが符養の一言でかき消される。

符養、助かった。



「ああ、私は残るよ。精霊に色々話を聞きたいし。」


「・・・ダメ。これからするのはとても重要な話。他の人に聞かれたくない。」


「お?恋の話ですかい?」



符養の右回し蹴りが鈴の腹部に直撃した。



「・・・蹴っていい?」


「・・・蹴ってから言わない・・・で・・・。」



そのまま倒れた。

私は倒れた鈴を起こし



「じゃあフー、用が済んだらこっち来てね。グラン、フーに変なことしないでよ?」


「・・・うん、もちろん。」


「誰がするか。ルナやヴォルカじゃあるまいし。」



私は鈴を引きずって部屋から出て行った。





「遅かったな。・・・って鈴どうしたんだよ?」



竜さんはもうすでに弓と矢を取り出しており準備を済ませているみたいだった。



「自業自得です。気にしないでください。」



鈴をそこらへんに置いておく。

私は銃を取り出し



「では始めましょうか。」



私は銃を向ける。

そしてすぐに牽制として拡散弾を撃つ。

竜さんの周りに弾が着弾したのを確認して双剣に持ち替えて爆風の中を駆けて竜さんに向かって剣を振る。



「ちょちょ、ちょっと待てよ!」



剣を止める。

剣は後少しで竜さんに当たる所だった。



「・・・なんですか?もう始まってますよ。」


「いや始まってねえよ。審判レフリーが開始の合図出してねえじゃねえか。」


「審判?」



竜さんが鈴を指差す。

鈴は当たりをキョロキョロした後、自分を指差す。



「私?」


「お前以外に誰がいるんだ?」


「はいはい、引き受けますよ。」



私は仕方なく元の位置に下がり、双剣を二・三度振る。

どうしよう、さっきの策は使えなくなっちゃったな・・・。



「じゃあお互いに構えて、・・・・・・始め!」


「よし飛鳥、さっきのお返しをしようじゃねえか。」



竜さんは素早く矢を一本取り出し、またも素早く弓を引いて放ってきた。

竜さんは明らかに一本だけ矢を放った。

しかし飛んできた矢は分裂し、今や数え切れないほどの数になっている。

それが私の周りに落ち、砂煙が舞う。

これって・・・



「『風よ、舞え ダンスシルフ』」



風で砂煙を消す。

その時目の前から矢が二本曲線を描いて飛んできた。



(さっきの私の剣の軌道・・・!)



いや、もうそれは矢が剣の軌道を真似しているというより矢で私の動きを再現しているようだった。

単なる矢ではなく、双剣を持った私がもう1人の私に切りかかってきているように見えてくる。

ならばどこを狙っているかもわかっている、私は飛んできた矢を2つの矢を打ち落とした。



「やるな。まあお前の技だからかわせないってのはおかしいけどな。」


「その言葉、どういう意味ですか?まるでさっきのあなたが私の攻撃をコピーしたみたいじゃないですか。」


「まあそんなところだ。弓矢で再現しているんだよ。・・・・・・ま、相手と同じ武器を使っているなら完全にコピーできるけどな。」



つまり竜さんは私の攻撃を自分のものにしてしまう。

剣や魔力弾だとコピーされる、なら・・・



「『炎よ、風に吹かれ燃え上がり我が敵を切り裂け クリムスラッシュ』」



炎を纏った鎌鼬が竜さん目掛けて飛んでいった。

竜さんは矢を構えて



「『燃やせ フレア』 『切り裂け ウインダ』」



竜さんは2つの初歩魔術をほぼ同時に放った。

どういうつもりなのだろう。

私の魔術に初歩魔術で勝ち目の無い勝負をする気なのだろうか?

竜さんは私のキョトンとした顔を見てニヤリと笑った。



「見てろよ。これがオレ流『クリムスラッシュ』だ!」



矢を2つの魔術に向かって放つ。

矢は魔術を通過する度にその魔術を纏った。

2つの魔術を纏った矢は完全に炎を纏った鎌鼬と化していた。

そして2つの魔術がぶつかり、相殺された。

ぼーっと見ていた私はすぐ我に返り、武器を大剣に換える。

振り上げた時に少しよろめいた、やっぱりまだ馴れない。



「『地破衝ちはしょう』」



地面をえぐる衝撃を発生させる。

振り下ろした時にも大剣の重みに体がもっていかれた。

そのせいで技を発生させれたが、転んでしまった。



「隙あり!『地破衝』」



竜さんは矢を地面に放って衝撃波を発生させる。

その衝撃波が私の出した衝撃波とぶつかり互いに消滅する。

そしてさらに竜さんはよろめいて隙ができた私に普通の矢を放ってきた。

私はすぐ双剣に切り替える。



「『アクア』」



初歩魔術の詠唱破棄でも矢をはじく威力くらいある。

・・・・・・と思ったが、少し威力を殺しただけで私の魔術を打ち消してしまった。

矢は私の左肩に当たる。

威力を殺したおかげで浅く刺さっただけで済んだ。



「『癒やしの力よ、我の傷を癒せ ヒール』」



矢を抜き、素早く傷の手当てをした。

だが竜さんはその隙を逃さずもう一本矢を放ってきた。

私はすぐに詠唱し



「『大地よ我を ストーンウォール』」



詠唱が完了するまでに当たりそうだったので詠唱を中断し発動させる。

もちろん防御に成功した。

その時、私はあることに気がついた。

そして岩の陰から新たな魔術の詠唱を始める。



「『混沌よ、交わらざりし二つの原素・・火・水、互いに力を合わせ悪を払え バーニングミスト』」



熱湯の霧が竜さんの周りに発生し、竜さんの姿が見えなくなった。

だが私は竜さん自身には魔術を当てていない。

竜さんも魔術が当たらないためかさっき私が発生させた魔術を使わず、今使った魔術を真似してきた。



「『濡らせ アクア』『燃やせ フレア』オレ流、『バーニングミスト』」



私の周りにに水魔術、竜さんの頭上に火の魔術を発生させ、矢を火の魔術を通り水魔術に当たるように矢を放った。

私には竜さんの行動は予想通りだった。



それでは・・・・打ち消せませんよ。」



火矢は水魔術に当たり、蒸気が私に襲いかかる。



「『全て我に見せよ クリア』」



透視魔術をかけた私は多少傷を負っても構わないという覚悟で竜さんに向かって走り出した。

霧の中に入ると熱湯風呂に入るより熱い湯が私の全身を襲う。

さらに息を吸うと喉が火傷しそうになる。

もっと速く、もっともっと速くここを駆け抜けることだけを考える。

しかし、当たらないが目の前から矢が飛んでくる。

おそらく竜さんが何も見えない中適当に矢を放ったのだろう。

正面から行ってもよかったのだが乱射しているところの中を駆けてもし矢が目の前にきたら避けれないだろうと思い、熱湯が襲う痛みをこらえながら竜さんの背後にまわる。



(全身火傷まみれだなぁ・・・。練習試合なのに手加減抜きでこんな無茶するから鈴やフーに怒られるんだろうな。)



そう思いながら手に持った双剣を二つとも逆手に持ち、竜さんの背後から奇襲する。



双獣牙ビーストファング


獣の牙に見立てた剣を獣が噛み付くように振り下ろし、竜さんの左肩と右太ももに刺した。



「ぐ・・ぁ・・・」



私は刺さった剣を抜いて下がる。

そして血を払い、水魔術で血を洗う。



「どうですか?さっき私が使った回復魔術ヒールじゃ治すことはできませんよ。降参してください、そしたら傷を治します。」


「・・・・・・お前はこの傷を治せるんだな?」


「はい。ですから・・・」



私は途中で言葉を切った。

この人降参する気がない。



「いてて・・・簡単な話だ。俺が治せないなら、飛鳥、お前に治させればいい・・・・・・・・・・。」



? この人は何を言っている?

そりゃあ降参すれば治すけどこの人には降参する気が感じられない、やりすぎたとはいえ戦闘中に敵を治療するなんてことはしない。

・・・もしかして前ツヴァイが私にやった精神操作!?



「そんなに身構えるなよ。安心しろ、別にお前には何もしない。」



竜さんは右手を前に出し



「『姿を映し、我を宿せ トランスミラー』」



鏡が出現し私をうつした。

その直後鏡が光り、竜さんを光が包んだ。

私は見たこともない技に迂闊に突っ込みに行けないのでその場で立ちすくんでいた。

しばらくすると竜さんの影が見え始める。



「『天より降臨せし癒やしの力よ、その力により我が傷を治したまえ キュア』」



!? 何この声?

竜さんの声が変わっていた。

いや、この声聞いたことがある。

・・・え?



「さて、第2回戦といきましょう、私。」


・・・竜さんは私に変身していた。

少し書き方をできるだけ見やすいようにという考えで変えてみました。

「もう少しこうしたら・・・」や「以前のも直せよ」という意見などありましたら容赦なくお願いします。

感想も受けつけておりますのでぜひともよろしくお願いします。


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