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クロスワールド  作者: 氷冷 飛鳥
第四章
28/64

テスト~当日2

「『奈落へ引きずれ ダークホール』」

「『飛翔せよ ハイジャンプ』」


私は鈴の術を避けて鈴の背後へまわる。

そして私はそこで剣を鈴の背中にに突きつけた。


「これで決着だね。」

「う〜、飛鳥っちの空間魔術反則すぎだよ〜。」

「魔術なんだから仕方ないでしょ?」

「……なんであの時は互角だったんだろう?」

「さっきのも拮抗してたでしょ?しいていうなら前に一度戦って戦い方を理解していたからかな?それまでまともに鈴とやり合ったことなかったし。」


私は自分が今持っている武器を見た。

剣に見えて実は杖のこの武器、無論剣としても使えるが、やはりまだ馴染まない。


「どう?それ使いこなせる?」

「まだ全然。でも使いこなせれば私の剣より強いかもしれない。」

「へぇ〜。そのまま2つ同時使用とかやっちゃいなよ〜。」

「二刀流の訓練なんてやってないから無理。そもそもこれは両手じゃないと使えないって。」



鈴はそうなんだと割と興味なさそうに返事する、向こうから聞いたのに。

その時、用があるとどこかに行っていた符養が帰ってきた。


「フー、お帰りなさい。」

「……ただいま。」


符養は私と鈴を見て、今私達がやっていることを瞬時に理解したようだった。


「私も手伝う。」

「ありがとね、フー。ほら鈴、いつまですねてるの?」

「……別にすねてないよ。」


鈴は負けず嫌いなところがあるから練習で八割程度の実力しかだしていなかったとしても私に負けたことが悔しいのだろう。

そんな鈴に符養は近づき


「……次は私も一緒。」


その言葉を聞いた鈴はさっきまでが嘘のように機嫌を取り戻し、


「うっしゃあ!いっちょやってやろうじゃないですか!」


キャラが変わった。

私は再び剣なのか杖なのかよくわからない−−まあいつも使ってるのが剣だから杖でいいかな−−杖を構えて2人の攻撃へ備える。

本当なら精霊出して2対2にしたいが、鈴に知られたくないから使わず1対2でやる。


「『切り裂け ウィンダ』」


鈴達が準備完了したのを見計らって先制攻撃をする。

しかし2人は別々の方向に散り、魔術をよける。


「『千年溶けぬ呪われた氷よ、今その力を使い逃れられぬ氷で我が敵を凍てつかせよ アブソリュートフリーズ』」


鈴の魔術よ私の足下が凍りはじめる。

私の足が凍り、走りながらよけていた私は転ぶ。

そこから氷に私はのまれていった。

体全体が氷で覆われていった時には完全に動けなくなっていた。

氷と土の魔術は封印術としても使え、特に氷は属性単体での封印術を行使できる。

これを破るにはその封印術と同等かそれ以上の対の属性術を当てなければいけない。

口が動かない私はその術の詠唱を心の中でする。


(『我を苦しめるもの、我に仇なすもの、我と敵対せすもの、神々の怒りの焔によって全てを燃やせ、溶かせ、燃やし尽くせ プロミネンス』)


私の魔術で本来燃えないはずの氷が燃える。

そして私は氷を燃やし溶かすだけでなく、この炎で鈴達に攻撃した。

鈴達は私を凍らせて油断していたのか回避が一瞬遅れた。

私はその隙に燃える炎の中から出る。


「くっ、やっぱりあれだけじゃ飛鳥っちを止められないか。」

「私が破れなかったら本当に千年封印する気だった?」

「飛鳥っちほどの魔術師に単属性の封印術が効かないって思ったからそうしたんだよ。破れないならそれは偽物だったんだよ。」

「……本当に封印されていたら私が鈴を殺してた。」


符養が鈴に短刀を向ける。

鈴は「冗談だって」と符養をなだめる。

私は溜め息をついて、戦闘を再開する。


「『龍爪滅閃突りゅうそうめっせんとつ』」


私は杖の持ち方を変え、剣を持つような状態にして持つ。(剣モードにはしたが、危ないため刃を出さないように鞘はつけてある)

そして龍が爪で引き裂くような突きを放つ。

私の技に反応して符養が私に向かってきて、私の攻撃を反らす。


「『飛連脚』」


隙ががら空きの私に符養が蹴りを入れて宙に浮かし、そして三発さらに蹴りを入れる。


「『大地よ、我にその力の一部を貸し与えよ アースボール』」


私に向かって頭より一回り大きいくらいの岩が飛んでくる。


「『飛べ ジャンプ』」


私は空間魔術でギリギリかわせる程度のところへ飛んだ。

そこへ、符養が私の目の前に現れる。


「『かい』」


短刀に炎を纏わせ、それを振り炎を私にぶつける。


「『水よ、大砲となりてうち貫け キャノンスプレッド』」


水の柱がまるで大砲に撃たれたかのように発射され、符養が放った炎を打ち消して符養に当たる。

符養は空中にいたせいで水に押されて私から見て前にとんでいった。


「『自然に存在せしマナよ、我に恵みを、力を。我、その恵みを受けん ムーンライト』」


一戦目から消費した魔力を回復させる。


「『飛翔せよ ハイジャンプ』」


私はさっきの戦いと同じ様に鈴の背後にまわる。

しかし鈴もそれを予測していたようで、後ろを振り向き裏拳を撃ち込んできた。

私はその拳を剣で止め、左足で鈴を蹴る。

鈴はその蹴りを止めて私の足を持った。

そのせいで私の体勢が崩れるが、私は剣に込めた魔術を解放する。


「『ボム』」


鈴の拳を止めている剣から爆風が発生して鈴を吹き飛ばした。

その時、左足を持たれていた私も一緒に宙を飛ぶ。

私達はは2メートルほど飛び、地面にぶつかった。


「……いっつー。」

「鈴、大丈夫?」


私はすぐに起き上がり、鈴の体調をみる。

鈴は右の腕をおさえていた。


「『癒やしの力、傷を癒せ ヒール』」

「ありがとう飛鳥っち。」


どうやら鈴は地面にぶつかった時に腕を変な角度でぶつけたみたいだ。


「2人がかりでも飛鳥っちに勝てなかったな〜。」

「けど鈴のフーとのコンビネーション、私がフーと組むときより良かったと思うよ。本当に鈴は戦略を考えるのがうまいよね。」

「あれ?そういえばフーは?」


私も気づき、辺りを見回す。

そしたら符養が必死に何かに水魔術を放っているのが見えた。

今さっきまで私達が戦闘をしていたここは、私の家の前…庭といってもいいところだ。

私の家は街から少し離れたところにポツンとあり、家の周りは何もない。

しかし、それでは寂しいからと私は一年と2ヶ月前から家の裏に畑を作っている。

今回私達はその家の裏の畑から離れた場所で練習していたのだ。


「フー!」


私と鈴は符養の元へ走っていった。

そこには私の使った魔術「プロミネンス」が畑を燃やしていたのだ。

……って、前もこんなことあったような…。


「……飛鳥ぁ…。」


符養が私に泣きついてくる。

私に怒っているわけではなさそうだ。

よく見ると、私の植えた野菜だけでなく符養が植えた野菜も燃えていた。


「ごめんね、フー」


符養は首を横に振る。

符養は事故だから仕方ないと思っているのだろう。

私はフーが離れないまま、これらの消火にあたる。


「『海よ今ここに現れ波を起こさん ビッグウェーブ』」


氷を燃やした火も時間が経ってただの火となっていて、簡単に水魔術で消せた。

符養が手間取っていたのは彼女が初歩の魔術しか使えないのと彼女自身の魔力量が少ないからで、あと言えるなら元々発動したのが私だったからだ。


「飛鳥っち、魔術使うときは気をつけなよ?」

「……はい。」


符養が燃えた畑に駆け寄る、彼女は何かを見つけたようだった。


「フー、どうしたの?」

「……生きてた。」


符養が駆け寄ったところを覗くとそこに緑の葉を持った芽が一つあった。

私は野菜が一つだけでも残っていたことに喜ぶ符養を見て嬉しかった。




そしてその後はすぐに練習を切り上げ、鈴を家に泊めてその日を終えていた。

そして次の日である今日は実技試験だ。

試験は先生達との1対1の戦いでの成績によって点数をもらう。

先生は凄腕の魔術師なのでもちろん生徒相手に本気を出さない。

それでも強くて、普通勝てる生徒はほとんどいない。

私や鈴は今順番待ちをしていた。


「次鈴だね。鈴なら先生に勝てるんじゃない?」

「う〜ん、そうしたいけど今までのテストでも倒せたことってないんだよね。毎回スタミナ切れに持ち込んでくるからさ。」

「つまりそうしないと勝てないってことだよ。上級魔術でごり押しすればいけるんじゃないかな?」


そう話していたら、時間になったようで、


「魔術科4年鈴。第3訓練室に入りなさい。」

「魔術科4年飛鳥。第16訓練室に入りなさい。」

「え?今日って魔術科は第1〜3の訓練室で試験をするはずでは?しかも第16って…」

「さあ?アイシス先生が君はそこで試験すると言ったんだ。」


先生が言ったのならと仕方ないと思い私の試験場所に向かった。



第16訓練室は今魔術科の人達が試験を行っている棟とは別の棟だ。

魔術科が待機している部屋は1〜9の訓練室と同じ棟なので、移動に手間取る。

さらに他の科の待機室の前も通るので、人々から「どこいくんだ」という目で見られる。

試験が終わった生徒はそのまま帰っていいのだが、その帰る方向とも逆で、今日は関係ない場所に行く必要もないので不思議がられているのだ。

そしてその視線をかわして、歩いている間軽い練習のために下級魔術で相殺させあっていたら、あっという間に着いてしまった。

ノックすると


「いいですよ。」


中から先生の声が聞こえた。


「失礼します。」


私は中に入る。


「なぜここなんですか?別に魔術科の試験場所でも良かったのでは?」

「だって、バレちゃうじゃないですか。」

「バレるって…何にですか?」


私は恐る恐る聞いた。

そしたら先生はニコッと微笑み


「あなたが精霊を使役できるということに決まっているじゃないですか。」


その言葉を聞いた瞬間、全身から鳥肌が立った。


(どうして?先生には教えてない。知っているのは符養と琴葉だけのはず。まさかどっかが!?……友達を疑うなんておかしい。ならどうして知ってる?)


私は気が動転して冷静でいられなくなっていた。


「その顔、どうして知っているのかって顔ですね。」


私に先生の言葉がかろうじて届き、私の脳内に理性が戻ってくる。


「……教えてください。どうして知っているのですか?」


先生は一呼吸置いて


「時間もないので戦いながら教えます。それと、全力でいくのでそちらも全力でお願いします。ではいきますよ。」


先生は床に魔法陣を展開する。

しかしその魔法陣は魔術用の魔法陣ではない。

……まさか!?


「『同朋アイシスが願う、我に協力し共に我が敵を討つことを頼まん。力を貸してください アクリ、ウィン』」


先生は2体同時に召喚する。

召喚したのは風の精霊ウィンと水の精霊アクリだった。

そして私も詠唱を行っていた時に魔法陣を展開して詠唱に入ろうとしていた。


「『契約者マスター飛鳥が命ずる。我と協力し敵を討て!出でよ サン、ルナ、グラン、符養』」


私の魔法陣からは4体の召喚獣が現れる。

そこでまたお互いがにらみ合う。


「先生」


先に口を開いたのは私だった。


「先生も精霊を使役できるのですね。」

「使役?」


先生が意味がわからないと言わんばかりのトーンで言った。


「この2人は私に協力してもらっているだけです。神聖な精霊を使役するなんてことは死んでもできませんよ。」

「協力……。つまり私が精霊を使役できるということを言ったのはその2体の精霊のどちらかですか?」

「いえ、この2人ではないです。教えてくれたのは精霊ルナです。」


その時私はルナを見る。


「ルナ……あなた先生と知り合いだったの?」

「ん?まあ精霊召喚できるやつなんて少ないから精霊と仲良いやつは自然と精霊との親交の輪が広がっていくんだよ。」

「ええ。そのおかげで全ての精霊を召喚できるようになったのですよ。」

「……ならどうして他の精霊も召喚しないのですか?」

「言ったはずです。私は協力してもらっている身なので向こうの都合を優先させるのです。」


それを言った後アクリが溜め息をつく。


「誰よこの日は空けておけって言ったのは。」

「いいじゃないですか。結構前に頼んでおいたのですから。迷惑はかかってないはずです。」


なんというか、精霊を召喚するためには前もって予約しておかないといけないのだろうか?

私もそうしたほうがいいのかと少し悩む。


「アイシス、喋りすぎよ。それ以上は終わってからでいいんじゃない?」


ウィンが早くしなさいとせき立てる。


「そうですね。飛鳥さん、準備はいいですか?」

「いつでもいいですよ。」

「では、いきます。」


先生が魔術を詠唱し始める。

私は符養と一緒に先生の詠唱を止めにいく。

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