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クロスワールド  作者: 氷冷 飛鳥
第四章
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テスト~飛鳥の戦い~

先生は少し驚いたようだったが、すぐまたいつもの冷静な表情に戻って原因を考え始めた。

鈴が私に耳打ちしてくる。


「朝の私の考えはどうだったの?」

「魔力の回復速度に変化がないから違ったんだと思う。」

「・・・やっぱりか。」


鈴に言ったとおり、私の今の魔力量は生活するのに必要な分を除くと、下級魔術を一発、出せても二発しか出せない。

魔力が満タンなら下級魔術だけなら千発撃っても十分余裕があるはずなのだが・・・。

もう少し魔力があれば魔力回復術(未完成)を使って回復してもいいけど魔力が回復しても自然回復量が元のままでなければ根本的解決になっていない。

そのとき、熟考していた先生が考えをまとめたのか口を開いた。


「少し検査させてくれませんか?私の考えた全ての原因が当てはまりそうにないと思うのと検査すれば迅速な解決になると思いますから。」


言動はいつもどおりだったが、イライラしているトーンだった。


「鈴さん。」

「は、はい!」


次に鈴を呼ぶ。

鈴はいきなり呼ばれたのとイライラしたトーンで呼ばれたためビックリして声が上ずっていた。


「あなたはその子を連れて教室に戻ってください。そして・・・・・・」


先生も自分がイライラしているのに気づいたのか、喋りを途中で止め、一旦深呼吸して落ち着いてから続けた。


「クラスの人たちに1限目は自習と伝えてください。」

「わかりました。」


鈴はすぐさま符養を引っ張って室外へ出て行った。

符養は抵抗していたが、鈴の力のほうが上だったらしく、連れて行かれた。


「さて、私達も行きましょうか。」


先生が立ち上がり、部屋を出る。

私もそれを追いかけて部屋を出る。

部屋を出て右を見ると、引きずられてく符養の姿が見えた。





「ここです。」


先生は私を研究所みたいな場所に連れてきた。


「ここは私達魔術教師が研究・実験のために使うところです。ここに魔力回路をみる機械があるのでそれを使って検査します。」




検査に使った機械は大砲みたいな形をしていた。

砲身から赤い光が出てきて私に光を当てて検査し(これを先生は「すきゃん」と言っていた)、今先生は検査結果の紙を見ている。


「……先生、どうだったんですか?」

「とてつもなく大きな魔術を使って魔力回路に負担がかかり現在魔力回復が遅れてるだけみたいですね。一晩寝ればいつも通りの回復速度に戻ると思いますので心配はしなくても大丈夫ですよ。」


私は安心する。

先生は私に一応魔力回復させておいたほうがいいと言ってくれたので私は一番魔力回復量が少ないマナカプセルを一つ飲んだ。


「一つでいいのですか?完全に回復させる為にはもっと飲まないとダメなのでは?」

「大丈夫です。あとは自分で回復できますから。」


先生はよくわかっていないような顔をしていたが気にせず私は魔術の詠唱をはじめる。


「『自然に存在せしマナよ、我に恵みを、力を。我、その恵みを受けん ムーンライト』」


私の魔力が回復するのを見て先生が驚いている。


「魔力回復の魔術とは…、すばらしいですね。」

「体力回復魔術をみて、魔力の回復魔術もできないかなと思って開発してみたんです。」


その時、先生がクスリと笑った。


「すみません。あの時魔術科への転向を頑なに拒んでいたあなたが、オリジナルの魔術を開発するようになるまでになるなんてと改めて思ってしまって。」

「今でも少し剣士科のままでいたほうが良かったと思っていたりするんですよ?」


まあ魔術科へ転向してよかったと思えるほうが強いがけど。

先生は私に微笑みながら


「それでもやはり私の目は間違ってませんでした。あなたは剣より魔術の才能があったのですよ。」

「けど絶対に武器は剣以外は使いません。私の信条、先生はわかってますよね?」

「ええ。『みんなを守りたい』でしたよね。守る為には後衛である魔術師はダメなんだと私に言ってきたのを覚えてます。」


先生は2ヶ月程前、まだ剣士科におりまだ1ヶ月後魔術科に転向するとは思っていなかった私に魔術科への転向を勧めた。

魔術師というのは後衛であるため、私の信条に反すると思った私は即拒否した。

この時の私にとってはっきり拒否したのは初めてだったと思う。

しかし先生はしつこく魔術科への転向を勧めてきたのだった。

私はそこで近接戦闘しながら魔術を使えばよいと先生に教えてもらって魔術科へ転向することを決めた。

だが、後衛戦闘をする気は無く、武器は剣を使っている。


「私はあの時ちょっとあなたを鬱陶しがっていましたけど今は感謝しています。」

「『私』ですか……。魔術科に入って性格面も変わったみたいですね。」

「鈴がこうしないとすごい怒るから仕方なくです。」


でもそのおかげであなたは自分の戦いをしやすくなったのではありませんか?と先生は言ってくれた。

今の私、今の私の戦い方にしてくれたのは鈴とその元となった先生だ。

2人には感謝しきれない。

しかし、この2人がいなかったら私はどうなっていたのだろう。

臆病なままで符養や異世界の自分に会うこともなかった。

符養に会わなかったら符養は殺し屋のままで苦しんでいたのだろう。

さらにウラルの鈴や私は勇気を出すことができなかったのかもしれない。


「そうですね。鈴は私にとって一番の友達ですから。彼女がいなかったら私はまだ臆病なままだったと思います。」

「そうですか。あの人はクラスのムードメーカーですからね。あなたも彼女の世界に引きずり込まれましたか。」

「…はい。」


あまり認めたくなかったが、そうなのだ。

先生は話が長くなりそうなのを思ってか私に検査結果を渡してそろそろ行きましょうかと言う。


「あ、ちょっと待ってください。」

「どうしました?」

「私の術、訓練してほしいんです。今じゃなくていいんですけど、あのままだとまた大事件を起こしそうで怖いんです。」


先生は少し考える。

そして顔をあげて


「わかりました。ですけど今はテスト期間中です。ですから訓練するとしてもテスト明けからです。それまでは使わないということでお願いします。」

「はい。」

「では、戻りましょうか。」


私は先生と共に教室へもどる。

教室の前に着くと先生は


「先に入ってください。」

「先生、検査してくれてありがとうございました。」


私は礼をする。

いいんですと先生が言いさらに


「試験、頑張ってくださいね。魔術科として初めてのテストですからね。私も簡単には作ってませんからね。」

「大丈夫です。いつも予習復習はいつもやってますから。」


先生は微笑み、私は戸を開けて自分の席へ向かった。

今回はいつもの半分くらいの量です。

長くさせるとグダグダになるし今回はテスト前としては最後の回にしようと思ってるので…。

問題はテスト本編なんですけどね~………はあ。




アイシス


グランズ冒険者学校の魔術科教師で飛鳥達の担任。

氷の魔術が得意で戦闘ではほとんど氷魔術しか使わない。

飛鳥を魔術科に引き入れた人で飛鳥や他の生徒に好かれている。

何か隠しているような素振りが見られる


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