ウラルの友人
その夜、私は鈴の家に泊めてもらった。(元々ウラルの私が居候していたためここで寝るのはのは普通だと鈴にあきられていた)
そして夢でウラルに住んでいる私がクロスに飛ばされた夢を見た。
朝、見た夢を思い出しウラルの私も異世界に飛ばされていたことで一応無事なことに安心する。
そのことを鈴に話すと、
「あの『飛鳥』は向こうの私に世話になっているのか…。」
安心しているようだった。
クロスの鈴も多分同じだろう。
「そういえば」
思い出したように鈴が話を切り出す。
「昨日メール…手紙を離れているところに一瞬で送信できる機械があるんだけど、それで友達に事情を話したんだけど、『今日会わないか?』だって。どうする?」
「あ、お願いします。一応私の友人にどんな人がいるのか知りたいですし。」
そこにウラルの符養がいればどんな人なんだろう。
符養とは違って明るい性格なら笑うかもしれない。
「どうしたの?ずいぶん楽しそうだけど?」
「い、いえ、なんでもないです…。」
昼、私は鈴に連れられて外に出た。
監禁生活をしていた姫が初めて外に出た気分になった。
外は灰色の地面に覆われ、両横も灰色の壁に挟まれていた。
「ウラルの地面は土じゃないんですか?」
「一応土なんだけど車のためなのかな?そういう乗り物があってそれが走りやすいように土をコンクリートっていうやつでコーティングしているわけ。コンクリートを割れば土が見えるわよ。」
ま、そんなこと生身の人間ができることじゃないけどね。
そう付け足した。
私はこんな堅いものを壊せるものを見てみたかった。
…魔術なら簡単にこれを壊せるかもしれないな、と思ってみたが今使えたとしても事件になるな。
しかし、
「飛鳥、すごい目が輝いているよ。」
「だって、見たこともない物ばっかりですよ。ウラルの物は一生で見れるか見られないかくらいの物なのにこんな『どこにでもある』みたいな状態なんてすごくないですか!?」
「確かにそうかもね。…飛鳥はこの世界について研究してたの?」
「いいえ、どちらかというと向こうの鈴がしていたくらいかな。」
気づかずクロスの鈴に話すような感じになっていた。
鈴は
「へえ〜、言われてみれば私もファンタジーに興味あるかな?」
と答えた。
気にしていないようだった。
なら普通に接すればいいかなと思いはじめた、さらに考えてみれば鈴に丁寧語で喋ることがおかしいんだという考えに達していた。
「でしょ?やっぱり鈴も根本の性格は一緒なのかな?」
「かもね。あ、ここよ。」
話に夢中になって危うく通り過ぎてしまうところだった。
私達は鈴が指した方向の家の中に入る。
私は知らない人の家なので緊張した。
中に入ると人が迎えてくれた。
「よお、神にも事情話して向かってもらっているんだが、よかったか?」
「大丈夫、問題ないわ。」
「え…えっと、その人は?」
「あ、こいつは水星竜。私の幼なじみで何でも屋。」
「何でも屋はお前もだろ?…てか、本当に俺のことわからないのな、いつもなら俺を見る度に睨んでたのに。」
…この人と私の間に何があったのだろう。
竜と呼ばれたその人は私の顔を見た後、鈴に視線を戻し、
「で、俺に何させようと?」
「あの力で私達を飛鳥の元の世界に連れてって。」
「…何がしたいか知らないがそれは無理だと思うぞ。あれは万能じゃないって何度言えばわかるんだ?」
何のことだろう。
「鈴、『あの力』って何?」
竜が「へえ、タメ語か。」と言っていたがタメ語という意味がわからなかったのであまり気にしなかった。
「『あの力』って言うのは超能力のこと。竜はそう言われるのが好きじゃないから『あの力』って言っているだけ。」
超能力…?
どういうものか理解できなかった。
もしかすると魔術の一種かもしれない。
「飛鳥、超能力は魔術の一種じゃねえからな。」
竜に心を読まれた!?
これが超能力?
「ちげえよ、もっと強大だよ!」
これも読まれた!?
超能力恐るべし…。
「はあ…。飛鳥の天然っぷりはどの世界でも変わらないみたいだな。こいつの勘違いは正すのに苦労するぜ…。」
この飛鳥の天然っぷりは竜にしか適応されない。
ついでにいうとさっき竜はただ飛鳥の表情を見て何を考えていたか推測していたのだ。
飛鳥はこれに気づいていないのである。
「飛鳥…話を戻すけど、いい?超能力は魔術と関係ないわ。けど魔術に近いようなものね。だけど大切なのは科学と魔術が交差しない限り物語は始まらないの!!」
「…ならもう物語は始まっているよね?」
「おい飛鳥、お前よくそんなツッコミを出せるな。…ああ、元ネタを知らないからか。」
…本当にウラルでは知らない単語が出てくるな…。
これが蔑称なら怒りたくなるな‥。
「竜さんの…『ちょうのうりょく』…でしたっけ?それが使えないなら他の方法ってあるの?」
「…無いわね。」
あっさり言われた。
「けどいつかは見つかるはず。…よかったぁ〜、今がGWで。」
『ゴールデン』ということはすごいいいことなのだろうか?
まあ鈴や竜が安心しているから大丈夫なのだろう。
「じゃ、時間があることだから他の友達にも会いに行こうか。……って、逆に来ちゃったか。」
……時間?
何の時間だろう?
と思っていたら上の階から慌ただしく走ってくる音が聞こえた。
「飛鳥いるの!?」
「異世界の飛鳥と入れ替わったって本当!?」
二人の男女が部屋に入ってきた。
その内の一人は見たことある人だった。
「琴葉!」
召喚科四年、私と符養と一緒にグランと契約を結びに行った人、琴葉その人だった。
「こ……誰?その人。」
あ、この世界の琴葉は名前が違うのか。
私は自分がこの世界の人の名前が向こうの世界の人と違う名前であること(とは言っても実際鈴にしか会っていなかったが……)に驚いた。
「やっぱり飛鳥であって飛鳥じゃないのか……。」
少女は残念そうな顔をした。
「すみません。」
私はそういう言葉しか言うことしかできなかった。
「べ、別に飛鳥は謝ることないよ。」
「ですけど……。」
「飛鳥、俺はこれは事故だと思う。だから仕方ないと思う。お前も仕方ないと思って思え。」
少年の方も私を励ましてくれる。
しかし私は改めて今の私は私自身ではないことを感じる。
「ま、落ち込んでいても仕方ねぇから自己紹介するわ。俺は水星雷牙。飛鳥とは同じ中3だ。」
「で、私は水星虎。私もこいつと同じで飛鳥の同級生。」
虎はそう言うと、自分の胸に手を当て
「わからないことがあったら私に何でも聞きなさ〜い。」
と、得意気に話した。
私は返し方がわからなかったのでとりあえず微笑んでおいた。
鈴は
「虎ちゃん、別にわからないことは家で私が教えるから大丈夫よ。向こうの世界と少し違う点があるかもだけど常識知らずとかじゃないし、こっちの勉強がわからないくらいだからね。」
「ぶ〜、こっちの飛鳥の時は私が教えてたのに……。」
「それも私が教えてました。」
鈴が即答で冷たく返す。
「学校でわからなかった時のことです〜……。」
なんだろう、鈴と琴葉が私の取り合いをしているようにしか見えないんだけど……。
「ならもうそういう方法で分担すればいいだろ?はい、この話終わり。」
竜が無理やりしめる。
するとまた一人、部屋に飛び込んできた。
「チーッス。飛鳥は大丈夫か?」
「大変な状態だから呼んだんじゃない。」
「? 俺には普通に見えるけど?」
私は一応会釈しておいた。
そうした直後後ろに後ずさり
「飛鳥じゃ……ない……!?」
という少し失礼なことを言った。
「すみません、私も飛鳥なんですが……。」
「神、状況も詳しく知らないでそんな失礼なこと言うんじゃねえよ。」
雷牙が怒りながら神に飛びかかる。
神はじゃれているのだと思って笑いながら相手をする。
「神、遊びながらでもいいから話を聞いてよ。」
神という人はこういう扱いを受ける人なのだなと私は思った。
「な〜るほ〜ど〜ね〜。」
「伸ばすなうぜえ。」
「雷牙と〜戦いながら〜なら〜仕方ない〜〜だろ?竜さんよぉ。」
「切れよ普通に。」
事情を聞いた神は私のほうを見る。
みんな反応は似たようなものなんだなと思う。
しかしこの人ふざけすぎでしょ。
「神、飛鳥が睨んでるわよ。」
「え?」
「神さんふざけすぎだから飛鳥がイラついているんだよ。」
「こういう反応はこっちの飛鳥と同じだからな。」
虎が私の思いを代弁してくれた。
………
「あれ?」
「? どうしたの?飛鳥?」
「いや、なんか足りないな〜と思って……。」
しかし何か全くわからない。
私が神にもう慣れてしまったため、何かをしてもらうのを忘れている。
「……あ、紹介。」
竜が思い出す。
その言葉に私も思い出す。
「そうだ紹介。神さんの名前しか聞いてないんですよ。……えーっと、『水星』とか、『音鴨』とか、こういうのをウラルではなんて言うんですか?」
「名字?」
「あ、そういうんですね。あと詳しいこととかを聞いてないです。」
みんな『ああ〜』と思い出す。
私は神に顔を向けた。
「……あ、えーっと、俺は戸宮神。竜達と同じで高一だ。あとこいつらと一緒に何でも屋まがいなことを学校でやっているかな。」
「そういえば鈴たちの『何でも屋』って詳しくはどういうことをやっているの?」
「まあ正しくは『探偵部』っていう部活なんだけど、まあ学校で困っている人の依頼をうけて解決するっていう活動かな。」
「あ、こっちでいう組織みたいなものですね。」
みんなキョトンとしていた。
あれ?私何か変なこと言ったかな?
「おい飛鳥、やっぱりお前の世界って魔術が存在しているんだな。」
「え?はい、そうですけど?」
「ああああ!クロスに行ってみたいぃぃ!飛鳥が羨ましい!!」
「え?え?」
鈴の言っていることがよくわからなかった。
私にとって元の世界の生活は普通だったからわからないだけかもしれない。
「け、けどクロスではダンジョンにいくと魔物がでるから危ないですよ?」
「モンスターなら私は問題ないわ。私、我流の格闘術持っているし、竜は超能力があるから。……神はまあ、………足手まといね。」
「ひどっ!」
「我流の格闘術って……喧嘩殺法と素直に言えよな。」
確か鈴も我流の格闘術を使う時あるな‥。
さすが平行世界、と誉めてあげたい。
「なーなー飛鳥、飛鳥の世界ってこんなかんじ?」
神が本を持ってきた。
その中身を見ると絵がたくさん書かれており、その絵の人が何かをしゃべっているが
「あの、神さん。」
「? 何だ?」
「私、ウラルの文字読めないんですが……。」
「え?こうやって普通に話せるのにか?」
「ええ。なんで話す言葉が同じなのに書く言葉は違うんですかね。」
「ねぇ、ちょっとクロスの文字を書いてよ。」
虎に言われてさらに文字を書く道具を持たされた。
私はある単語を書いた。
「うわあ、本当に違うのね。」
「これなんて読むの?」
「これは『飛ぶ鳥』、つまり『飛鳥』と書いてあります。すぐに単語が思いつかなかったので自分の名前を書いちゃいましたが良かったですか?」
「よかったよ。意味不明な言葉よりもいいよ。」
私は虎に誉められて照れる。
「ま、今から帰れるようになるまでは私たちの言葉を覚えてもらうことになるんだけどね。」
……また私は鈴によって変えさせられるのか。
そう思うと私は今の自分の未来を考えると倦怠感が襲ってくるかんじがした。
「大丈夫よ飛鳥。ちゃんと私たちが守ってあげるから。」
「うん……。」
「なんだ、元気ねえな。」
「私達は力貸すよ?」
「ありがとうございます。けどまた大変な目にあったんだなって思ったら……。」
私は少しの間鬱状態から帰ってこなかったらしい。
登場人物増えました。(とはいっても少しの間だけだけど)
けどこの登場人物の数はクロスの世界の登場人物と同じ位じゃないですか?
ああ、クロスの人間が書けなくていと悲しい。
今回はウラルでの主人公の竜です。(主人公だからってそんな回は一つも書く気0ですけど~)
水星竜 秋雨高校一年
三週間前に突如超能力に目覚める。その力は見たものは黙秘しているため不明だが強力な力を秘めている。
飛鳥の元保護者から「飛鳥を頼む」という約束をしているが、他の人にはそのことを隠している。