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クロスワールド  作者: 氷冷 飛鳥
第二章
15/64

精霊グラン

今私達は数え切れないモンスターの大群と戦っていた。

私にとっては新たな戦い方の練習になっていいが、他二人は連戦の疲れとモンスターの強さで苦戦していた。


「『風よ、我の意志に従い敵をなぎはらえ ウイングショット!!』」


この魔術を剣に込めずに、普通に発動する。

ほとんどのモンスターは魔術をよけるが、数が多いため逃げ遅れる者もいた。

少しでも多く倒せるなら私は構わなかった。


「飛鳥…、魔力大丈夫?」


符養が声をかけてくれる。


「うん、大丈夫だよ。私これでも魔力多いねって鈴にほめられたくらいだから。」

「……鈴も魔力多い方なの?」

「あの人は別格で魔力がきれたことが一度もないんだって。……けど、エレメントエイトの発動時には魔力がきれて気絶しちゃったからあれが初めてきれたことに……?」


会話を続けながら戦闘をする。

符養は琴葉を守る役割を守っているためにあまり敵をなぎ払うことができない。


「……エレメントエイト…?どういうやつ?」

「それはみせられないよ。私と鈴の魔力が満タンでも空になる寸前になるくらいの魔力が必要だから。」


符養が残念そうにする。

見せたいが、あの術の消費魔力と威力の問題上無理に等しい。

どうにか規模を縮小する方法があるが、私がそれに手を出さないのでその方法も無理になる。


「『我に仇なす者、天雷により裁かれ、天へ魂を捧げよ! ヘヴンズライトニング!!』」


剣に新たな魔術をセットする。


「『我に逆らう者よ、地獄の業火で焼き尽くされ、魂を永遠に燃やせ…。 ヘルフレイム!!』」


次は普通に魔術を発動する。

黒い禍々しい炎が敵を焼き尽くす。


「『裂破斬!!』」


白い雷をまとった剣で斬りつける。

斬ったあと、白い電気が周りに放出される。


敵は先ほどの攻撃であらかたは片付いたが、私が魔力を多量に消費したらしく、力が抜けて体が動かなくなってしまった。

「飛鳥!?」


符養が駆け寄ってきた。


「飛鳥大丈夫?」

「フー…大丈夫だよ…。ただ疲労と魔力の大量消費で動けないだけ…。」

「よかった…。……これ飲んで。」


符養がカプセルを渡してくれる。

これで疲労と魔力が回復するが、効果が出るまでに時間がかかるため、その間は符養が背負ってくれることになった。


「『主、琴葉が貴様を呼び出す。いでよ、ムシャ!』」


見慣れない鎧…鎧自体あまり見たことがないのだが、それと絶対見たこと無い剣を持っている。


「お呼びでございますか?あるじ。」

「うん。この人が回復するまで私たちの護衛をお願い。」

「御意。」


ムシャが剣を抜いて歩き出す。

私はおそらく符養も抱えているだろう質問を契約者に投げかける。


「この魔物モンスターは一体なんなんですか?喋るし…。」

「この子はムシャ。サムライという職業らしくてブシだって言っているわ。で、あの鎧がカッチュウであの剣がカタナっていうものみたい。ワの心は忘れないらしいわ。」


説明を聞くとますますわからなくなってきた。

…とりあえずムシャは異世界のモンスターだと思っておこう。




その後も幾度かモンスターが出現するが、ムシャによって倒される。

私の体は全く動かなかった。

そこまで疲労が蓄積していたのだろうか。


「…飛鳥の体まだ動かない?」

「うん。けど大丈夫だよ。少しずつ動くようになってるから。」

「……そう…。」


本当は少しずつ動くようになってはいない。

しかし、符養を心配させないようにするためにこのような嘘をついた。





そんな状態で私たちは大きな部屋に来た。

ここに精霊グランがいるのだろうか?

そう思って周りを見渡していると、奥に古そうな杖を持った老人が現れた。

この老人は一目見た瞬間に人じゃないと確信した。

その証拠に浮いている。


「よく来たな。飛鳥。」

私の名前を知っている!?


「………どうして私の名前を…?」

「…それは言えん。だがこれだけは言おう。…飛鳥よ、仲間を連れて早急にこの場から立ち去れ。貴様らとは戦いたくない。」

「なら、私と契約してくれない?」


琴葉が前に出る。

私はこっそり魔術を発動する準備をする。


「戦えないのなら私と契約して。ここまで来たのに手ぶらで帰るなんてごめんよ。」

「それはできぬ。貴様のような雑魚を相手にしている暇はないのでな。」


琴葉が怒りにまかせてモンスターを召喚する。


「『契約者マスター、琴葉が呼び出す。いでよ、デーモン!』ムシャも行きなさい。」

「御意。」


ムシャとデーモンが攻撃に行くが、グランが岩を飛ばすと、当たった二体のモンスターは消滅した。


「うそ……。」

「貴様のモンスターなど、我らにとっては蚊のようなものだ。」


私は準備していた魔術をグランにぶつける。


「『天に捧げよ地獄の闇、裁きの雷により、焼き尽くし、大地に聖なる水と風を吹き流せ! ヘルジャッジメント!!』」


私の使えるだけの魔力を消費し発動した。

しかし相手も魔法を発動し、私の魔術の威力を弱める。

そして、グランは手で攻撃を受け止めた。


「これほどの魔術で儂を倒せると思うなよ。」


攻撃を受け止めたグランが私に向かって言った。

精霊には魔法のほうが有効なので、私みたいな魔術師は不利である。

そして、私は急に出現した岩の壁に囲まれ岩の中に閉じ込められた。


「あの者がいると少し面倒だ。」


体が動かない。

意識ももうろうとしてきた。




…飛鳥が岩に閉じ込められた。

私と琴葉だけでグランを倒さなければならないという状況になった。

しかし飛鳥は先ほどの魔術の使用で魔力を使い果たしたかもしれない。


「貴様等だけで儂に勝てると思うのか?」

「……勝てるとは思ってない。…私は飛鳥が逆転の方法を使うまであなたを止めるだけ。」


琴葉が「逆転の方法?」というような顔をしていたが、無視して戦闘にはいる。

飛鳥なら魔力が空でも絶対逆転の手を持っている……!




外ですごい戦闘の音だけが聞こえた。


戦闘の音が時々止む。

私が目を覚ました時には部屋の中が息苦しかった。

相変わらず私の体は動かない。

なんとかこの状況でも脱出の方法を考えないといけない。

と、脱出する方法を考えていると、外から声が聞こえてくる。


「儂がこんなにもてこずるとは…。人間を侮りすぎたか?……しかし、姫があの段階まで成長しているとは……。」


…このグランの言葉から察するに、琴葉と符養がやられたということになる。

許せない!


「『契約者マスター飛鳥が呼び出す!! いでよ、サン!ルナ!』」


召喚に魔力はいらない。

だから現在魔力が空っぽの私でも召喚が可能となる。

そして、いつものように召喚された二人は私の召喚を待っていたかのような顔をしていた。


「喚ぶと思ったぜ。…お前の思っていることはわかってる。」

「精霊同士戦うのは嫌?」

「いや、俺らは今お前の召喚獣だ。契約者マスターの命令は逆らうことはできない。」

「そうですよ飛鳥ちゃん。相手がグランおじいさまでも私達は飛鳥ちゃんの味方です。」


サンもルナと同様の事を言う。

この二人ならそう言ってくれると思っていた。


「けど、私魔力を使い果たして動けないの。どっちか私に憑依してくれない?」

「そういえばあそこまで二人がボコボコになっていても素の飛鳥になっていないのはそのせいか……。」


それは関係ないと思うけど……。


すると、ルナとサンがジャンケンをし始める。

そして


「よし!俺が勝ったからお前が飛鳥に憑依しろよな。」

「残念。私もグランおじいさまと戦いたかったのに。」


おい、私ははずれか!!


「いいじゃねえか。お前は飛鳥と一緒に戦えるじゃねえか。」

「そ、それもそうだけど…。」


今動けたらこの二人をたたきたい。


「それで決まりね。なら早くしてくれない?時間がかかりすぎると二人が危ないと思うから。」


二人は口論中だったが、私の言葉で口論をやめて私の言葉に頷いてくれた。


「いくよ…『契約者マスター飛鳥が命じる、サン、我に力を貸し我に秘められた能力を引き出せ!』」


サンが私の中に入る。

それで私は聖なる力が私の中に感じた。

サンの憑依が完了すると私は体を動かし、立ち上がることができた。

これは精霊が普段空気中に存在する魔力を吸収して生きていることが関係している。

だからサンの力を得た私は魔力を自動回復できるということになる。


「さあいきましょうか、ルナ。」


言葉遣いが丁寧になってしまうが…。



「この壁を二人の魔法を使って壊しましょう。」

「飛鳥…。そのしゃべり方やめてくれないか?なんか気色わりぃ…。」

「そうはいっても直りません。壊しますよ。」


二人で魔法をぶつける。


「『聖なる光の槍よ、我の意志に従い敵を貫け! セイントランス!』」

「『デモンズレイン』」


私はいつもの癖で詠唱を唱えてしまった。

ちなみに術名、詠唱は魔術の時と全く一緒だが、術式が魔法のものとなっており、魔術の時とは格段に違う威力となっている。


闇の針のようなものが一点に集中してそこに聖なる槍が突き刺さる。


壁が壊れ、外に出る。

そこには符養と琴葉が何度も吹き飛ばされ、相手に傷一つ与えることができなくても懸命にグランと戦っている姿があった。


「あ…すか?」


符養がこちらに気づくが、その直後に倒れる。

琴葉もグランにやられてしまい、壁に叩きつけられ、気絶した。


「貴様も儂と戦うのか…ルナ、サン。」

「俺らは飛鳥の召喚獣だ。契約者マスターの命令に従うのが普通だろ?」

「私もルナと同様の意見です。あと私、実はグランおじいさまと戦いたかったですし。」


私の中のサンがグランに話しかける。

憑依状態でもこういうことができるのか…。


「なら貴様らも敵とみなそうではないか。」

「待ってください。」


私が止める。


「私達が勝った場合、私と琴葉さんと契約をしてほしいのですが。」

「よかろう。貴様らが勝った場合だがな。」


ずいぶんと余裕だった。

私は早速魔法発動の準備を始める。


「『ライトバースト』」


その魔法を剣に溜める。

アイコンタクトでルナに援護を求めて一気に攻撃を仕掛ける。


「滅・破朽斬!!」


突きの斬撃を連続で飛ばし、最後に横一閃の斬撃を飛ばす。

ライトバーストも加わっているので、まともにくらえば無事ではいないだろう。


「『ストーンウォール』」


石でできた壁が突然現れ、攻撃を阻まれる。

しかし、砕けた石がグランを襲った。


「『ダークゾーン!』のまれな。」


さらにルナが魔法でグランに攻撃する。

グランが闇に引きずり込まれていった。


「やった!?」

「こんなもので倒せたらあの二人はそこで倒されてない。」


ルナの言葉は本当だった。

グランはすぐに穴から出てきた。


「強すぎます…。」

「諦めるなよ。お前は俺とサンが守るからさ。」

「貴様らより数十倍生きておる儂をこんなことで倒せるわけがない。」


…しかし、まだ私には切り札がある。

しかしあれは魔力の消費が大きいし、それを使えば符養と琴葉に危険が及ぶ。

だから私はあれを使わずにグランを倒す!


遅くなりました、すみません。


次回でこの精霊編は終了です。

今回はグランの説明でも


グラン 精霊


グランズの精霊で属性は土。

精霊の中で最年長。

人間を好まず、常に洞窟の最深部など、人間がめったに来ることができない場所にいる。

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