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クロスワールド  作者: 氷冷 飛鳥
第二章
12/64

忍者符養

「…この人は死んではいない。」


少女は呟く。

耳を傾けないとうまく聞き取れない。


「あなた誰?」

「…今ここで死ぬ人間に名乗る名は無い。」


少女が襲ってきた。

手には短剣…忍者刀がある。

私は身を守ろうとしたが相手の動きが素速くて刀の弾道をそらすくらいしかできずに左肩に刺さる。


「っ……っ!」


痛くて声が出ない。

少女は容赦なく次の攻撃体勢にはいる。


「『契約者マスター…飛‥鳥が命ずる、我らを守れぇ!! いでよ、サン、ルナ!』」

「召喚術…。」


少女は召喚が完了する前に手裏剣を投げてくる。

私はかろうじてそれをよけて召喚された二人の精霊に顔を向ける。

精霊達は状況を大方理解し私と気絶している鈴を安全なところに運んでそこで話を聞くことにした。

運ばれたところはどこかの倉庫のようだった。


「今回の…敵は、……つ、強いよ。あの動きは…殺し屋アサシンの中でも…トップ…トップクラスの実力だと思うよ。」

「飛鳥さん、大丈夫ですか?今私の回復魔法をかけますから。」

「飛鳥、お前がそんな状態なんて情けねぇな。お前の精霊として恥ずかしいぜ。」


ルナが私をバカにしてくるがこれでも彼は私を心配してくれている。


サンが私に回復魔法をかけてくれたおかげで痛みは無くなった。


「あなた達を喚んだのは久しぶりに私の本気リミットを解除するため。」


ルナとサンは驚いて言葉が出てこないようだ。


「普通に戦うだけじゃダメなのか?」

「それじゃダメ。さっきも動きが追いつかなかった。速くてどうしようもないよ…。」


私は弱音を吐く。

サンとルナが心配そうに私を見つめる。

そして二人が決心したように同時にしゃべりだす。


「わかった。」「わかりました。」


二人が同時にしゃべったことに気がつき、サンが先に言う。


「飛鳥さんがそう言うなら私は手を貸します。」

「時間がねぇし、飛鳥が死ねば弄る相手がいなくなるからな。」


ルナも承諾してくれる。

私は二人に手を伸ばして叫ぶ。


「『契約者マスター飛鳥が命ずる、我に力を貸し我に秘められた能力を引き出せ!』」


サンとルナが私の周りを飛び始める。

床に魔法陣が浮かび上がり私がその中心にいる。

まずサンが私の中に入ってくるのを感じる。

サンが入り終えると私に聖なる力のような力が感じられる。

次にルナが私の中に入ってくるのを感じる。

ルナが入り終えると私に暗黒の力のような力が感じられる。

二人が私の中に入り終えると私は強烈な痛みに襲われる。

次に私とサンとルナが融合していく。

もう私は体を動かすことができない。

この融合の光で場所を気づかれ殺し屋アサシンの少女が現れる。

到着した途端少女は融合中の私達に手裏剣を投げてくる。

しかし魔法陣の結界によりそれは弾かれる。

私の意識がサンとルナと同調シンクロする。

魔法陣が無くなり融合が完成する。


「…精霊との融合…あなたがそれを使えるというデータがない…。」

「これは私が昔試しに家で使った以来使ったことがないの。知らなくて当然。」


というより人前で精霊召喚術を使用したこと自体が初めてだ。


「どの精霊と融合したかは知らないがそれだけで私に勝てるとは思えない。」


少女は鈴に刃を向ける。

彼女も任務があるのだろう、目が本気だ…。


「…『ヘルフレイム』」


漆黒の炎が少女を包む。

少女はすぐに炎から逃げて鈴から離れるが


「『ヘヴンズライトニング』」


光の雷が少女に命中する。

少女は不意に上級魔術を食らったはずなのに顔色一つ変えないで立っている。

しかし息が切れている。


「…なぜ?魔術は…詠唱がないと発動できないはず…?」

「私は精霊サンと精霊ルナと融合しているの。精霊と融合しているから詠唱破棄ができるの。」

「…理解した……。」


少女は無数の手裏剣やクナイを私に投げてくる。


「『…結界サークルシールド』」


結界を発動させて多くの手裏剣等を弾くが全部は防げずクナイが一本結界を壊して飛んでくる。


「…っ!『ガード!』」

ギリギリ魔術が間に合って防ぐことができた。

しかし防いで魔術を解いた時には少女が私の目の前に忍者刀を構えて突進していた。


「さっきみたいにいくと思っているの?」


私は剣で忍者刀を弾くが、少女は隠し刀をすぐに出して私の腹を刺す。


「これで…」

「…………?」

「これで捕らえた。『ダークゾーン!』」

闇の穴が開き少女が吸い込まれていく。


「闇の中は怖いから目隠ししてあげる。『ブラックカーテン』」


黒い布のようなものが彼女を包む。

彼女はその布を取り払おうとするが離れない。

布が消えたが彼女は今目と耳が聞こえない。


(お前結構エグイことするよな…。)

(友達を傷つけたんだもん。それに彼女は私を殺そうとしてきた。殺す気はないけどその恐怖は味わってもらう。)


ものすごい罪悪感が私を襲うが、それを耐える。


「……」


無言でいたが彼女の目から涙が出ていた。


「…私はどうして人を殺さなければいけないの?」


彼女が突然つぶやいた。



「なぜ私が人に殺しを依頼されるの?」

「私は殺しなんてしたくない!」

「どうして私がこんなことをやらないといけないの!!」


彼女は自身の心の声をつぶやいていた。

彼女はもうダークゾーンに沈んでいた。


「……『融合解除フュージョンアウト』」


融合を解除する。


「おい、飛鳥。罠かもしれないんだぞ。」

「……」


ルナの言葉を無視して少女に近づく。

本当は戦いたくない彼女と戦うのは嫌だ。


「『解除マジックアウト』…」


闇の穴が消え、そこに少女が現れる、目も耳も聞こえるようになったようだ。


「……なぜ助けたの?あのままにしておけば私を倒せたはずなのに…。」

「本当は戦いたくない人と戦いたくない。私はできるなら話し合いで終わらせたいから。」

「…!」


自分の心の内を知られて驚いている。

彼女は無意識で口にしていたようだ。

私はルナとサンを元の場所に帰し彼女の隣に行って話し出す。


「私もあなたなら戦いたくないと思う。けどそれをやらないといけない。だから戦うんだよね?」


彼女は小さく頷く。

予想が当たってほっとする。

もし違っていたらどうしようと不安だった。


「私は親を小さい頃に亡くしている…。そして裁きを下す者ジャッジメントに拾われて…殺し屋アサシンとして育てられた。その時に感情は無くした。」

「けど今あなたは泣いている!感情はあなたにもまだあるの!」


大きな声で鈴が起きる。




鈴にもここまでの話をした。


「それはね…。」


鈴は黙ってしまう。


「私は今になってどうして人を殺すのかわからなくなってきた。」

「もういいよ…。これ以上話さなくてもいいよ。」


これ以上は彼女もつらいだろうと思った。


「けど…」


少女が呟く。


「けど私はあなた達やもう一人の少年を殺さなければ…。そうしないと…」

「そんなやつら…私が倒す!!……あなたをそいつらから守る!だからもうそんなことしないで…。」


少女と鈴は驚く。

少女は少し考えたがサンやルナと同じで決心する。


「わかった…あなたと約束する…。」

「そういえばさ、飛鳥っちこの子の名前知ってる?」

「あ、忘れてた。」


戦闘に集中していたし一度教えないと言われたから聞くことを忘れていた。


「……符養。」


符養は自分の名前を呟く。

私達は自分達の名前も言ったほうがいいのか相談した後に言うという答えを出した。


「私は飛鳥。この人が鈴ね。」

「知ってる…。私の標的ターゲットだったのだから…。」


あ、知ってたの…。

しかしなぜだかほっとする。

これは私もわからない。


「これから私達は友達だよ、符養。」

「…はい、わかりました。」

「む〜、1カ月前の飛鳥っちと同じで符養も固いな〜。」


鈴が文句を言っているが私には関係ない。

だが一つ言うならこの人はなぜこんなにも人が敬語を使うのを嫌うのだろうか?


「別に悪いことではないから…。」

「固い!固いんだよフーは!」


なんか変なあだ名を付けはじめている!


「鈴、しゃべり方を変えるのはもう少ししてからでもいいんじ……」

「………」


符養が私をジッと見てくる。


「ふ、符養、…なに?」

「フーちゃん…。」


ニックネームが気に入り私にも呼んでほしいということだった。

符養が目をキラキラして言ってくれるのを待っている。


「と・に・か・く!」


符養が寂しそうにしていた。

今度こっそりさりげなく言ってあげよう。


「鈴は何で人が敬語を使うのを嫌うの?」

「だって…敬語って堅苦しいイメージあるし、敬語で話されると体中がかゆくなってくるから。」


理解した、この人は自分勝手だ。

私も前と同じしゃべり方でいいと思えてきた。


「鈴さん、そんな理由で私のしゃべり方を変えたなら元に戻しますよ。」

「飛鳥っちとの距離が離れた気がするよ!?」

「私は本気だからね。今まで敬語のしゃべり方だったから鈴と話す時も敬語でいけるから。」


さっきまで重かった空気がもうなくなっている。

鈴はやっぱりそういう空気が嫌いなのだろうか?


「ん?」


何やら変な匂いがするのに気がついた。

見ると「ヘルフレイム」の炎と「ヘヴンズライトニング」でできた炎が燃えていた。

近くに「危険」と書かれた箱があった。


「あれって火薬の箱じゃ…。」

「そう…。」


符養が顔色一つ変えずに頷く。


「逃げなきゃ!『ヘルフレイム』の炎は水の魔術を使っても消えない!」

「……つかまって。」


符養が手を差し出す。

私と鈴は符養の手につかまる。





遠くで「ドーン」という音が聞こえた。


「フー、力持ちだね。」

「腕…痛い‥。」


大丈夫ではないようだった。


「じゃあ、帰ろっか。」

「…私、帰れる家ない…。」


そういえば符養は裁きの者ジャッジメントを裏切ったのだから帰れる家がないのは当然だ。


「じゃあ私の家においでよ。私も家族がいないから。」


家族は私が小さいころに死んでいる。

だから私には家族がどういうものかわからない。


「飛鳥の家、行く。」


無表情だったが符養は嬉しそうだ。


「む〜、飛鳥っちフーを独占してずるいよ!私も飛鳥っちの家に行きたい!」

「鈴には帰れる家があるでしょ。あと私の家狭いし…。」


鈴がすねている。

私達はそれをスルーして家に帰った。

その日から、符養は私の家族の一人となったのだ。

符養編短いなと思うわたくしでございまする。



符養 忍者・殺し屋アサシン


裁きを下す者ジャッジメントの忍者。

幼い頃に両親を殺され、殺した張本人である裁きの者ジャッジメントに拾われる。

本人はそのことを知らない。

若干メンタルが弱い。


実は飛鳥に…あれ?符養どうしたの?

「それはダメ…。」

な…ならなんで忍者刀をこちらに向けて…ギャーーー!!!!

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