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キュベルス~人類滅亡とたたかう者たちの笑うしかないデス・ループ~  作者: 泊波佳壱


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第4話  ~廣庭博士との対面~

2116年 秋  マシンルーム

「ようこそ、重富博士。合言葉をどうぞ」


「龍馬、これがお前に見せたかった人類の英知だ」(なぜ合言葉が俺?)


 目の前の壁の一部分が、ス~ッと下に移動し始め、その部分が扉だったことがわかる。


「お二人の到着を確認しました。どうぞお入りください」


 不自然なほど整った標準語のイントネーションで、女性の声が響いた。




 扉の向こうの風景を見て、おもわず口を閉じるのも忘れて、そこにあるものを見つめていた。


 中は巨大な、そう野球場一つ分程の仕切りの無い空間。


 そしてなによりも、そこには、おびただしい機械に囲まれて、巨大な宇宙船のようなものが置かれている。


 そしてその宇宙船を、全方位から100を超えるレーザー砲が取り囲んで狙っているような、そうとしか見えない状態が天井まで広がっている。


「期待通りの反応で嬉しいぞ、さあ、龍馬、重要人物を紹介する。こちらに来てくれ」


 促されるまま部屋の奥に進むと20ほどのデスクが宇宙船?の方を向いて並んでいる。




「これが新たな隊長、滝 龍馬です」


「えっ?」思わず想像していなかった言葉に声が漏れるが、しげ爺も紹介されるその人物もそんな事にはお構いなしだ。しげ爺が俺の背中を、ぐいっとその人物の方に押したとほぼ同時に、その人物は右手を上に向けて人差し指だけ立てて話し始めた。


 仮想のピストルを、銃口を真上に向けて構えるようなあのポーズだ。


 その人物は、そのピストルをすこし振りながら、


「廣庭です、私のタイムマシンを君にだけ、好きに使えるようにしよう」


 そう言い切って、銃口をこちらに向けた。


 どう切り返したものか、と一呼吸取ろうとするより先に、しげ爺が紹介してくれる。


「龍馬、こちらがこのタイムマシンの生みの親、廣庭博士だ」


「よろしくお願いします、廣庭博士。タイムマシンって本当に実現したんですね、驚きすぎて何と言っていいか」


「まあ、そうでしょ~、何度も何度も、他のスタッフは誰もついてこれないほどの実験を繰り返して、思うどおりの時と場所に飛べるものができたよ。ついに、安全で快適な乗り物という形にまでこぎつけたんだよ」


「昔からSFでは、様々なパラドックスが問題になって、それを考えれば考えるほど、現実には『あり得ない』と思ってましたが」


 その発言に対して、一瞬廣庭博士は固まったように見えた、が一瞬目を丸くした後、「うんうん」と頷いて、


「そういう観点で考えられるなら、今後の詳しい話しもすぐに納得できそうだ」と、すぐに笑顔になっていた。


「それは……」と、聞くとはなしに声が出たが、しげ爺が


「議会の連中など、何度説明しても肝心の本質が、絶対おまえわかってねーだろ! って奴もいるからな」


「そ、本当に危なっかしくて、やってられまへ~ん、って感じですね」


「……」相づちが思いつかない俺、


「ま、論より証拠。こちらを見てください」(京都弁風のイントネーション)


 廣庭博士は10ほど並ぶモニターの一つの前に移動して、画面を指さした。


「こちらが今、前回のジャンプで降り立った先の2026年の東京です。


 このようにタイムマシンでジャンプした先とこちらを、「つないでおく」事ができる、これが大事なんです。


 飛ぶ事よりも、この「つなぎっぱなしにできる」事に、遥かに多くの開発時間を要したわけなんです」


 隣から、しげ爺がモニターを覗き込み、


「なんということじゃ、さらに事態は悪化しておる」と嘆き始める。


「本当に、これは嘆かわしすぎて、まったくひどすぎて見てられまへん」と廣庭博士。


 オペ室の手術台の上に寝かされている人物と、取り囲んでオペと言うより、様々にデータ取りをしているといった感じの人たちの姿が画面に映っている。おい、見ている間にも、頭蓋骨開いてないか?


「この辺りは、タイムマシンを直接睨む位置の管理卓だからね、向こうの会議テーブルで詳しく話そう」しげ爺が奥のテーブルへの移動を提案してくれる。


 我々が移動するなり、所員らしい若手二人が、管理卓に戻ってきて作業を始める。


 テーブルに着くなり、しげ爺が話し始める。


「タイムマシーンについて、理解してもらわなきゃならんポイントが幾つかある。今はまずそれじゃ。さっきの映像も気になるじゃろうが、まずは基本概念じゃ」


「では、私が説明しましょう」と廣庭博士が話し始める。




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