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キュベルス~人類滅亡とたたかう者たちの笑うしかないデス・ループ~  作者: 泊波佳壱


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第3話  ~どこかにある秘密基地のような施設へ~

 2116年 秋  居住区、公共ビルを入って……

 しげ爺の後を追うように、政府・行政系のすべてが入っている建物の中に入った。警備スタッフは、しげ爺の顔を見るなり丁寧に敬礼をして通してくれる。


 エレベーターの並ぶスペースに移動するかと思うと、すぐ横のトイレなどのバックヤードの細い通路に入る。


 物置の扉か? と思うような錆が浮き特に手入れもされていない扉の前に立ったしげ爺が、


「この扉、覚えといてくれ」と軽く後ろを向いて声を掛けてくる。


 返事をするまもなくノブを回してその扉を引いて中に入る。


 なぜこんなところに? と思うが、ついて行くしかない。


 古い書類や使わなくなったのであろう事務機器などが、壁際に雑多に積まれた細い通路を右に左にと曲がりながら何枚かの扉を抜けると、同様に古びているが、先ほどまでよりは少し大きそうな扉の前に立った。


「ちょうどいい、これ開けたら押さえておいてくれ」


 そう言いながら、しげ爺がその扉を引いた。


 引いたその扉のすぐ前に、高級そうな壁が出現。急に気温が変わり、どこかから風が吹き込んでくる、屋外の様だ。


 つまり、どうやら元の建物を出て、すぐに数センチしかない幅で隣接する、別の建物の前に立っているようだ。


 よく見ると、壁かと思ったそれは扉だ。チタン製か何か、黒と茶色の細かな筋に、光加減によって金色に輝くその姿に、「おお」と思わず声を上げそうになる。

「この先は、山肌を削って作られた建物だから、上空からもその存在は隠されている」


「なるほど……」


「ほら、ここ押さえておいてくれ」


 と、言われるままに、先ほどの手前の建物の錆が浮いた扉を後ろで抑えながら、しげ爺の様子をうかがう。


 扉に顔を近づけたしげ爺の両目の当たりに、わずかに赤いと分かる薄い光が上から下、下から上へと素早く当たる。


 たぶん、網膜認証装置のカメラとスキャン用の微弱なレーザーが、扉のどこかに埋め込まれているんだろうな……などと考えていると、ス~ッと音もなくその重厚な金属製の扉が真下に滑り降り、正面にはまっすぐな通路が現れた。


 こちらの感慨をよそに、しげ爺は、足早に、その通路の奥に向かって歩いていく。


 後ろを振り返ってみると、二つの扉がほぼ同時に交差するように閉まる瞬間が見えた。


 向こうの古い建物の錆びた重い扉は、閉じ切る時にドンと大きな音を立てそうな閉まり方をしたが、不自然なほど無音な所をみると、手前のチタンの扉が更にずっと分厚いのだろうと思われる。


 先ほど跨いだチタンの扉は、どこが床とのつなぎ目かちっともわからず、厚みが確認できなかった。次はじっくり足元を観察してやるぞ……などと考えて、つい足を止めていた龍馬に、


「まあ、そういう反応する者は多いが、急いでくれ」


 と、しげ爺から声がかかり、慌てて向き直って後を追う。


 20mばかり歩いただろうか。ひたすら真っすぐな長い廊下を、70とは思えない元気な足取りで距離を開けたしげ爺に向かって、距離をつめていく。


 足早に歩きながらも、周りの様子を観察してみる。


 奥は行き止まりに見える。


 我々人類はたいていの場合、建物の部屋や廊下は、もう一世紀以上前からLED照明が主流だ。たいてい天井に照明器具が有る。それか間接照明ならそれとわかる窪みなどが有るものだが、幾何学的な直方体のシンプルな廊下も入口の扉と同様チタンか何か金属なハズだが、その壁や床や天井のすべてが均一に明るい。


 何となく上下左右の間隔を失いそうになる。


 廊下の突き当りから4メートルほど、何となく不自然な位置で、しげ爺は立ち止まり回れ右をするように右横の壁の方を向いた。


 その瞬間、不自然なほど整った標準語のイントネーションで、女性の声が呼びかける。


「ようこそ、重富博士。合言葉をどうぞ」


「龍馬、これがお前に見せたかった人類の英知だ」(? 合言葉が俺への呼びかけ???)


 博士が言い終わったとたん、全面が一つの壁に見えていた一部分が、先ほどのものと同様に、ス~ッと下に移動し始めた事で、その部分が扉だったことがわかる。


 動き始めたのを見た瞬間、「よし今度は厚みを確かめてやろう」と思ったが、次の瞬間、


「お二人の到着を確認しました。どうぞお入りください」先ほどの女性の声が響いた。


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