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キュベルス~人類滅亡とたたかう者たちの笑うしかないデス・ループ~  作者: 泊波佳壱
第2章 日本の新たなる夜明け

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第1話 ~新たな「たたかい」の始まり~

2117年 1月21日(木) マシンルーム 9回目時間跳躍 直前


時間跳躍可能回数 あと42回 (人類滅亡まで あと588日)



 今まさに、キュベルス計画の第2フェーズが始まろうとしている。


 俺、(たき) 龍馬(りょうま)を含めて、ここには12人のメンバーがそろっている。

 こちらの時間で2週間前、2117年 1月7日に、ついに全メンバーが過去から救出され帰還。それからの二週間、様々に今後の方針が話し合われた。


 空中の何も無い空間に、四角いスクリーンが浮かんでいる。ホログラムのように映像が空間投影される仕組み「空間スクリーン」だ。そのスクリーンに映し出されている映像を皆で見上げながら会議スタートとなる。




―― 「チーム編成リスト」 kyverus members (基礎データ S1-01) ――

  << 検討初期段階 >>

常駐待機組  情報収集・全体管理

第一隊    第二隊のフォロー

第二隊    2025年に潜伏しメインターゲットに接触


――  ――  ――




「それでは、チーム分けの基本方針を発表します」

 と、日下(ひのした)まことさんが話し始めた。


「私たちは、限られた時間内で「滅亡をふせぐ」ために大きく時代を変化させなければいけません。


 そのため今回のミッションでは、『2027年の日本政府に、「AI憲章」を国の正式政策として実行開始してもらう』これを必ず達成しなければなりません。

 そこで、3つのグループに分かれます。


 まず、滝さんたちの第二隊に、その2年前の2025年に時間跳躍して頂き、その場所に長期潜伏しながら、ターゲット人物に接触、現地での仲間づくりに奔走していただきます。


 我々の第一隊は、第二隊の状況や要請に応じて、それをフォローするために、都度必要な時間跳躍を行います。」



 日下隊長からは「第一隊と第二隊という名前は逆にしてほしい」と何度も言われた。

 理由は「全体方針の発案も、一番大変な仕事も滝さんじゃないですか」とのことだが、そこはお断りした。もともとスタートした第一隊(日下隊)と第二隊(滝隊)なのだ、名前はそのままにしてほしいと。


 日下隊長の話しは続く。

「常駐待機組として、出動する二隊以外の皆様には、現代の2117年に残って情報収集や全体の指揮・調整を行って頂きます」

 正直、半数はここマシンルームに残ってフォローしてくれるのだろうと思っていたら、一人一人、みな希望は最初から決まっていた様子で、すぐに次のように決定した。




  ―― 「チーム編成リスト」 kyverus members (基礎データ S1-01) ――


タイムマシン・ルームに常駐待機組

・しげ(じい)(重富(しげとみ)博士(はかせ))  キュベルス計画全体のボス

廣庭(ひろにわ)博士(はかせ)     タイムマシンの生みの親

木村(きむら)博士(きょうじゅ)     人類を救う「AI憲章(AI5原則)」の考案者



第一隊

日下(ひのした)まこと   第一隊・隊長 AIチーム研究員

大久保(おおくぼ)美波流(みはる)  タイムマシンチーム研究員

池野(いけの)翔太(しょうた)    消防レスキュー隊員



第二隊

(たき) 龍馬(りょうま)   第二隊・隊長  

水嶋(みずしま)さな子  タイムマシンチーム主席研究員

村橋(むらはし)りん   タイムマシンチーム研究員    

高杉(たかすぎ)風香(ふうか)   AIチーム研究員

近藤(こんどう)清明(きよあき)   AIチーム研究員  龍馬の親戚

永倉(ながくら)詩織(しおり)   自衛官


  ――  ――  ――




 一国の政治を大きく方向転換させる、それを実現するための真のキーマンは誰なのか、皆で調査を繰りかえし、さんざん議論した結果、つぎの4グループの人物に、「必ず」この「危機的状況を理解してもらい全面協力を仰ごう」と決定した。



  ―― 「重要人物リスト」 Target key person (基礎データ S1-02) ――


■ 2027年のAI憲章本格始動に向け 2025年に接触対象とする人物たち ■


1.政府のトップ

   2027年   内閣総理大臣 鷹宮(たかみや)隼人(はやと)

   2025年時点 官房副長官


2.優秀な技術者「AI憲章」の現地開発担当として

   木村(きむら)明次(あきつぐ) 木村教授の先祖


3.環境省のトップ

   2027年   環境事務次官 管名(かんな)文代(ふみよ)

   2025年時点 地球環境局 地球温暖化対策総括課長


4.国防・災害対策等の要

   防衛事務次官 沼田(ぬまた)秀典(ひでのり)

   統合幕僚長  沖田(おきた)歳也(としや)


  ――  ――






 木村教授が声を掛けてくれる。

「第二隊のみんな、私のご先祖によろしく頼むよ」


 これには、教授と同じAIチームから今回第二隊に参加している高杉(たかすぎ)風香(ふうか)が答える。

「ええ、そこは打合せ通り、ご本人と接触したらすぐに映像繋ぎますから、存分にお話しして下さいね」


「そうなんだが、何しろ面識が無くてね」

「もう教授、そのネタいいですって」



 廣庭(ひろにわ)博士が京都弁? で話し始める。

「両方のタイムマシンに、ステルス機能を実装しておきましたさかい、使うてくださいねぇ」


 それには、博士と同じタイムマシンチームから、今回第二隊に参加する村橋(むらはし)りんが答える。

「目では物体を通り越して向こうが見えるし、レーダーでも同じ、ただ他の物体はぶつかるので、そこは注意が必要ですけどね」



 しげ爺がニコニコ上機嫌で話し始める。

「現地で、我々のスマートグラズが使えて、すぐ連絡が取りあえるように、現地の低速なインターネット回線に接続する高速暗号ユニットも完成じゃ、みな予備も含め持って行ってくれ。


 クリスタルチップも腐るほど用意したぞ。現地人からしたら、「明らかに未来人が来た」と実感できる、良い置き土産にもなるじゃろうて。

 さあ、他に不安は無いかなんでも言うてくれ」



 実際、現地の通貨や住居など、全て万全に用意された。

 都内の6階建て15世帯分のマンション一棟を全て占有。そのマンションには車6台分の駐車スペースが有るが、高い塀に囲まれていて外からは見えない。それでいてそのスペースには天井が無い。タイムマシンが2台並んでも大丈夫な好都合な物件だ。







 出発時間が間際となり、第二隊のメンバーたちは、ゾロゾロとタイムマシンに乗り込んでいく。


 それぞれが、大きな旅行バッグなどを持っているが、永倉(ながくら)詩織(しおり)さんの手荷物の少なさに、思わず、見送りの大久保(おおくぼ)美波流(みはる)さんが声をかける。


「永倉さん、荷物それだけで数か月持ちますか?」

「ああ、ご心配なく! 我々は職業柄、こういうの慣れてますから」

「おおお」と声が上がる。


 みんなが気になっていたことを、これまた見送りの第一隊隊長、日下さんが口にする。

「それに比べて風香(ふうか)ちゃんは、とっても大荷物だけど、もしかして縫いぐるみとか入れてたりして?」

 笑い声がおきかけるが、高杉(たかすぎ)さん本人が、

「えっ、と~、あの……」と言い淀んだことで、皆が図星だと気づく。


「大事な任務なんですから、そういう物こそが大事なんですぅ」と、水嶋(みずしま)さんが助け舟を出す。

「一つ持ちますね」と永倉さんが、高杉さんのバッグを一つを受け取る。


「わたしも持ってくればよかったなー」と、村橋さんが小声でつぶやいた。

「現地調達で」と俺なりに声をかけてみる。

「龍馬、買うてあげたらいいじゃろうのぉ」としげ爺が、声を上げる。

 どう反応していいのか? と微妙な空気が流れる。




 俺は、コックピット中央のキャプテンシートに深く腰を下ろす。

 右前のシートには、マシン全体の操縦桿を握る水嶋副隊長、戦闘用の操作ボードが並ぶ左前のシートには、永倉さんが座る。

 右後ろの席には、村橋さん、高杉さんの二名が座り、左後ろの席には近藤が座る。


 タイムマシンのハッチが閉まり、それを球場に取り囲むタキオン・クロノードの、レーザー砲の様なトゲトゲの先端が光りはじめる。


 タイムマシンのコックピットからは、フロントパネルに移る映像越しに、操作卓に集まっている見送りの6人のメンバーが見える。

 しげ爺が真剣な面持ちで立ち上がり、それを追うように木村教授と廣庭博士も立ち上がった。



 しげ爺が眼光鋭く、口元を引き締めながら話し始める。

「今回のミッションはそれなりに長期間だ。なので、今まで計画してきたのとは別に、今ここで新たなミッションを伝える。名付けて「アダムとイブ計画」だ! 人類滅亡を間近に控えて、一人でも人間が増えるのはありがたい」

「ふぉっふぉっふぉっ、それもいいかもしれん」と木村教授もニマニマする。

「ええですなぁ、もう少し若ければ、わたしも……」と廣庭博士まで言い始める。


(じじ)ども、こんな時に、冗談がひどすぎだな」とつぶやくが、ある女性が何となく頬を赤くしているように見えて、ちょっと驚く。まあ、気づかない事にしておこう。


「自衛隊なら、上官であっても、出撃時にそんな見送りしたら、軍法会議もんですよ」と永倉さんが声を荒げる。が、表情は至ってまじめに背筋を伸ばして、右手を顔の前にかざす挙手敬礼のポーズをとっている。



 しげ爺が、ニヤついていた表情から真顔に戻り、大きな声で、

「皆を信じている、ミッションの成功と無事を祈っている」と言うなり、挙手敬礼を返した。


 別に軍隊ではないし、一切そういう取り決めをしているわけではないのだが、その場の全員が挙手敬礼のポーズをとっていた。タイムマシン担当の二人を除いてだ。


 その二人、大久保さんがパネルの最終操作を完了、それを確認して廣庭博士が、

「オープン時間(タイム)跳躍(ジャンプ)、ターゲット 2025年1月21日東京 スタンバイ」

「承認」と敬礼ポーズのまま、しげ爺が返す。

 大久保さんが操作卓の転送開始レバーを引く。


 まばゆいほどの明るく暖かな光が全方位からマシンに降り注ぐ。




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