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キュベルス~人類滅亡とたたかう者たちの笑うしかないデス・ループ~  作者: 泊波佳壱


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第20話(1章-20)~時間跳躍6 第一隊救出作戦(3)~

2116年12月10日(木) 14:00~

2027年11月27日(土) 12:00~ 国会議事堂前

 人類滅亡まで あと630日   時間跳躍可能回数 あと44回


 10時に国会議事堂前に出現して、2時間ほどの時間が経過した。


 目の前の仮設テントに陣取っている、海野坂幸四郎と名乗った男から返事が有った。




「3名の身柄については返還すると決まった。

 ただし、機体については返還できない」


「それはなぜ?」


「すべてはこちらの善意で、理由を述べる必要はない」




「は、ふざけんじゃないわよね、泥棒じゃないの」と俺の右前の席に座っている水嶋さんが声を上げる。


 マイクをミュートにして俺が応じる。


「水嶋さん、声向こうに聞こえちゃいますよ」


「大丈夫ですよー、高指向性マイクなんで」


 後ろの席から、清明も割って入る。


「龍馬さん、どうするんですか?」


 正直、ここでは何が何でも第一隊の隊員全員とマシンの奪還が最優先だ。


 みんないろいろ言っているが、素直に三人返すと言ってきたのは良い意味で想定外……いや、ちがうな、明確に技術が手に入るなら、三人の人間をどうとでもできると向こうは考えているようだ、喜ぶより、ちょっと腹が立ってくるが、ならば交渉は簡単だ。


 再び拡声器のマイクをオンにしてこちらからも話し始める。


「こちらの隊員3人の返還には感謝する。

 すぐにこの場につれてきてほしい。


 が、ここでもう一度、マシンの返還についても、強く要望する。


 こちらが求めたのは、レーザー砲の技術と交換で、第一隊のメンバー3人と、彼らが乗ってきたマシンのセットだ。


 あなた方ではマシンをいくら調べても、その件の技術は全く判明せず、結果破壊してしまっている事実を確認している。


 それよりは、こちらと良い関係を結ぶことで、こちらが安心して全ての情報を提供する気になるように取り計らうべきだ。


 もう一度言う、3人とマシンをこの場に!


 それが現時点で、こちらからレーザー砲の技術を渡す条件だ。


 現時点で約束はできないが、すぐに応じてくれるなら、こちらからは様々な未来の情報を提供する気持ちはある。


 なぜなら、最初にも行ったが、我々は「あなた方を助けに来た」のだから」




 早速に、向こうでは、こちらの要望を伝えている様子だ。


 俺は、マイクをまたミュートにした。フロントスクリーンの端の一部分には、マイクミュートの表示も見えるが、あえて口に出して、

「マイクはミュートにした、みんな意見を」と口にする。


 待ってましたとばかりに水嶋副隊長が口を開く。


「いろいろ提供する、みたいに言って大丈夫?」


 ちょうど、その声と重なるように、清明からも、

「あの、情報開示は……」と言いかけて止まる。


「わかる、そう言われると思ったんだ」


 ちょうど、こちらを振り返っていた永倉さんとも目が合う、すこし口元を上げて頷いてくれる。「どうぞお好きに、続けて」と言ったようなサインだと解釈して話しを続ける。


「技術提供なんて、リスクしかない、それはわかってる。レーザーだってそうだし、ましてやタイムマシンの技術を知らせる事は絶対に有り得ない」


「じゃあ、どうしてあんな言い方を?」


「まず、レーザーだ。破壊力を持つレーザーは、みんな知っての通り、この時代とっくに実用化されている、一部の大国が独占してるとしても、だ。


 専守防衛を掲げる日本こそ、自国独自でそれを持って守りに使うのは、俺個人としては、マイナスより良い事の方が多いと思うんだ。


 この世界線から我々が離れたあと、レーザー兵器をもった日本がどうなっていくか、見てみたくないか?」


「なんか、ちょっと無責任な感じがするけど」


「とにかく、絶対にタイムマシンの技術なんて渡さない、というかここに無い(未来の設備にしかない)のだから知られてしまう心配もない。


 最も必要な情報として、『AI5原則』を知らせて、それにどこまで向き合ってくれるか、それを調べるのはいいだろ」


「そんなにうまくいくかなぁ」


「その点は何度も話し合って、シミュレーションも繰り返しただろ」


「そう、ね」


「さっ、それぞれ仕事に戻ってくれ」

「うん」

「ハイ」

 無言の右手を挙げる敬礼。




 水嶋さんは、政府や、この時点での技術者を様々に調べている。


 実際に未来に残っている資料だと、インターネット上でも、数十年もすれば誰も参照しない情報は、どこかのストレージに残っていたとしてもせいぜいテープストリーム等にバックアップされて、オンライン上からは消え失せている。


「とりあえず、日本の技術者のトップ100人くらい、世界だと500くらい? そんな情報は確保!」と水嶋さんがうれしそうに声を上げる。


「流石早いね、その調子でさらに増やして、それと特にAI関係で影響のある人の点数化もそろそろ?」


「はい、隊長、その作業も始めます」と、軽快に答えてくれる。


 清明からは、

「龍馬さん、何万件と新聞や雑誌の記事を収集してますが、これ本当に役に立ちます?」


「ああ、そのほとんどは使えないとしても、中に一つでも使えるものが有ればいいから、とにかく10年程過去から今のリアルタイムのまで、どんどん保存して」


「この時代の標準的な記憶媒体は、やっとテラバイト単位みたいですね。この船に搭載してあるのは32エクサバイトのクリスタルメモリが256セット、いくらでも入りますよ」


 俺としては、ふと青くなる。


 第一隊の到着1日後に来て良かった。機体の見た目はこの時代の技術とそんなには違わなくとも、コンピュータの技術進歩は(特に速度や容量は)とてつもなく肥大化を続けた。


 放射線や物理的な破壊にも耐えられるように、機体の深い部分に何重にも守られて格納されているコントローラー・コアだ。すぐには何処に有るかもわからないだろう。ただ、時間がたって、この時代の人たちがそういう存在に気が付けば、手放したく無くなるかもしれない。




 そんな事を考えている間に、海野坂氏の声が響く。





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