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キュベルス~人類滅亡とたたかう者たちの笑うしかないデス・ループ~  作者: 泊波佳壱


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第19話(1章-19)~時間跳躍6 第一隊救出作戦(2)~

2116年12月10日(木) 13:00~

2027年11月27日(土) 11:00~ 国会議事堂前

 人類滅亡まで あと630日   時間跳躍可能回数 あと44回


 今回のミッションの前半は、実際に第一隊を救出する事。その後は、俺たちはこの場にとどまって、その人たちと様々な交渉や、更なる情報収集、さらに今後の、より確実な「世界を救う」変革に結び付けたい事。


 今回、2020年代に来るにあたって、俺たちは、事前に様々な調査を行った。


 まず、ここにくる以前の段階ですでにつかめている事柄を整理してみる。


 こちらの時間軸で昨日、11月26日13時に、第一隊がこの場所に出現。


 その10分後には、総理や官房長官には連絡が行き、すぐに「官邸危機管理センター」が始動、その約70分後には、「国家安全保障会議」の緊急会議が実施された。


 この会議自体は、内閣解散等で新たに組閣された場合に逐次メンバーが入れ替わるが、自動的にそのメンバーは、総理大臣、官房長官、外務大臣、防衛大臣の4大臣会合で他に国家安全保障局長、必要に応じて総理権限で自衛隊の統合幕僚長や経験者、顧問などを招聘(しょうへい)し、また緊急時の実務的な動きとしては、内閣総理大臣補佐官の内から選任される国家安全保障担当が、実質的に表に立って総理の代理として現場トップの権限を振るう、そういう常設の会議だ。


 通常でも月に2回程度は会議が開催されることとなっている。


 先に書いた通り、11月26日14時10分からのタイミングで、第一隊の飛来に対応して、臨時に会合が持たれた。


 ところが、この会議が開催されるなり、現地からの速報で、飛来した者たちが「未来から来た日本人だ」「君たちを助けに来た」と発言している情報が入った。


 様々な関係者を動員して、その機体の映像を検証したが、宇宙船の外壁等に使われるであろう素材など、確かに既存の我々の技術とほぼ違いが無い。


 この場で話し合われた概ねの事が、次のように想定される。


「これは未知の外宇宙の生命体などが飛来したという事ではなく、我が国(日本)の国家安全保障事案だ。未来だというのが本当で、彼らが日本人で、他に寄らずにここに来ただけならば、わが国だけが、未来技術を独占できる可能性が有る」


「情報を遮断」この言葉が、会議メンバーの頭を占める。


 それはまず、飛来した事実を一般に漏らさないこと。


 一般の市民の数人には、その飛来が気づかれたかもしれないが、SNS等にリークする者もいなかった為、これはそのまま継続して情報統制を敷く。


 情報遮断のもう一つの側面として、国家の監視下に置いて、外部に未来技術が漏れないようにする。そのためには、すぐに彼らの身柄を確保しなければならない。


 そのように判断されることは、この会議に居ない者でも、この時代の実際のそれぞれの立場を考えれば、おのずと導かれる事だ。実際彼らは、そう判断した。


 その日の16時には、事実、第一隊のメンバーは身柄を拘束され、機体も、防衛相の管理する研究施設に移送されている。





 そのため、我々第二隊のミッションの前半は、第一隊メンバーとタイムマシンを回収する事である。


 結論を先に言ってしまうと、今回のこの世界線の、この場の人たちを直接救う事は、もはや不可能だと考えている。


 かといって、こちらの人たちも、ただ自分の立場や必然的な行動を行っているだけなのだろう。


 だから、一人のけが人も出さずに、ミッションを終えて、この場を立ち去りたいと考えている。


 今回ミッションの後半は、この時代に存在するであろうキーマン達の情報を少しでも多く集め、持ち帰ることに有る。


 11月27日(土) 10:00に、この場に到着して以降、交渉/呼びかけを行いながら、隊員たちは、ただ待っているわけではない。


 永倉さんは、周りとの小競り合いで忙しいが、それ以外の三人は、とにかくカメラに映る映像や音声、メディア情報や、この時代のネット情報など、出来うる限りの情報を集めている。


 そんな中で、我々第二隊がこの場に降り立ってから30分を過ぎた頃、俺は再びマイクを取った。


「あたらしい要望を二つ伝える。


 今すぐ、昨日ここにやってきた3人の我々の同胞と、タイムマシンを返してほしい。

 これは今すぐだ。


 それと、もう一度言う、総理をこの場に来させて、対等な話し合いができるようにする事。


 それぞれ、何分後に実現できるか、まず今ここで解答を求める!」


 しばらく、話し合ったりどこかに電話したり、とゴタゴタしている様子が見える。




 20分は待たされただろうか、目の前のテントから、回答が返ってくる。


「同じ日本人でありながら、それが未来など、どういう立場であれ、武力でもって政府に要望を突き付けようなどと言う野蛮な行動は、断じてこれを認めることはできない。


 刑法第77条に定める暴動罪、同108条の爆発物取締罰則ほか、10を超える罪状が今まさに現行犯として行われており、これに対して一国の総理が直接応じるなどと言うことは無いし、同様の罪人の引き渡しに応じるつもりもない」


 ある意味、想定される中で、最も最悪の解答である。


「我々は、日本国の政府と、日本国の国民の皆さんに、我々の善意から、切実な願いを伝える為に、この場にやってきたものです。


 こちらからは、ただ善意でここに来たにも拘わらず、身柄を拉致・拘束され、先ほども映像を流したように、人権を無視して、人道に反する行為に及ぶのはそちらで有り、我々の持ち物であるタイムマシンについても、勝手に調査し破壊するなど、言語道断!


 と言いたいところですが、我々は全てを許します。


 さらに、未来から来たという証拠に、手土産を用意しました。


 最初の要求に対しては、メンバーとマシンが奪還できれば、それと引き換えに、先ほど実演して見せた、レーザー砲の技術を、そっくりそのままお渡ししましょう。


 また、二つ目の要求である総理との直接の対話については、今話をしている貴方を通じて、会話ができれば良いものとします。


 そのかわり、貴方の立場と氏名を教えてください」


「そういうのであれば、まずそちらが名乗られたい!」


「たしかに、こちらは2116年の未来から来た、日本人、滝 龍馬と申します。


 タイムマシンで、「人類滅亡を阻止しに来た」(こういったところでどこまでこの時点でどれほどそれが伝わるのかは、はなはだ疑問だが、ここでは隠さず言ってみる。)


 その任務のための使者で、この隊の隊長である」


「なるほど、その真偽は怪しい部分もあるが、ひとまず名乗りは受けた。


 こちらは、国家安全保障局長と国家安全保障担当内閣総理大臣補佐官から、勅命を受けた担当官、海野坂(うみのざか)幸四郎(こうしろう)である」


「それでは、海野坂さんに、お願いします。

 新たなこの条件に付いて、総理や関係各位と検討して返事を頂きたい。


 事前に了承なしに我々の真実について、一般メディアに公開したことについてはお詫びする。

 ただ、それこそが、今ここで起こっている事に対しての、国民の知る権利だと主張します」


 そう投げかけたことで、また、テント内では、あれこれ声が聞こえるが、ひとまずこちらに向けては、何も言ってこない。


 引き続き、我々四人は、先ほどと同様の調査行動を再開する。








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