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キュベルス~人類滅亡とたたかう者たちの笑うしかないデス・ループ~  作者: 泊波佳壱


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第17話(1章-17)~第二隊 出撃前訓練~

2116年12月8日 午後~ マシンルーム

 昼から合流した永倉さんは、自衛官である。


 タイムマシン遠征隊の今回の第二隊では、武器を携行する事とした。丸腰で挑んだ第一隊が現地で身柄を拘束されてしまったために、今回我々は、どうしても「力で」対応する必要が有るためだ。


 マシンに武器を装備したり、手持ちの武器群も何を携行するのか詳細な検討がなされている。


 タイムマシンに装備するものとしては、主力はレーザー砲、誘導弾を発射可能とし、それと12mm機関銃も装備となった。




 過去を記した資料では、今回時間(タイム)跳躍(ジャンプ)する2020年代には自衛隊の通常の武装の中にはレーザーは無いはずだ。


 正確には、軍事利用のレーザーは照準と測距、銃のターゲッティングと言った使われ方で使われている。


 2020年代でも、すでに戦闘衛星が多数打ち上げられている。


 上は36,000kmの高度、いわゆる静止軌道。下は、充分に空気が薄くなる200km以上だ。


 特に、宇宙ステーションとして人が留まれる500kmや、その高度を見下ろす軍事的に重要高度となるエリアが存在する。


 この時代すでに、強国はこの宙域の覇権を競っているが、2030年代に本格的に表に登場するまで、民間人は皆、陸海空、つまり航空機の活動範囲までが戦場だと思い込まされているふしが有る。


 当時の戦闘機などで一部、高度2万5000mまで到達できるものもあるが、主に1万メール近辺が継続飛行できる限界となる機体が多い。


 10kmだから、衛星軌道高度の20分の1程度の高度しかない。


 戦闘衛星の主力装備はみなレーザー砲だが、その点もあまり民間人は知らないのではないだろうか。


 そういう意味では、我々が、分厚い装甲も貫き破壊するレーザー砲を一発撃っておけば、相手はそれ以上手を出せないだろう、という狙いだ。


 デモンストレーションと抑止力としての所持、これで充分なはずだと思っている。




 手持ちの武器として携行するのは、人数分+1のハンド・レーザーガンと考えている。


 人体でも貫通できる強さから、衝撃波程度にまで出力を絞り込めるタイプが、2100年代の自衛隊の主力と言う事で、我々もそれを携行させてもらうことになった。


 出発まで2日をきっているため、護身術レベルの戦闘訓練と、レーザー銃の使用訓練、さらにはタイムマシンの操縦とマシンに装備された銃火器の操作、いっきにこれらの訓練を受けることとなった。


 幸いだったのは、4人横に並んで、まるでゲームセンターのレーシングマシンで互いに競争ができるような、シミュレーターが用意されていたことだ。


 機体を浮かしたり、水にもぐったり、一般の道路を高速走行したりと、様々な訓練をおこなったが、そのどのテーマでも、永倉さんがダントツの成績を上げ続ける。


 その後を追うのが水嶋さん、俺と清明はドングリの背比べで、どちらもパッとしない。


 永倉さんは、パイロット免許もあり、様々な乗り物の免許も有るというから、まあ納得である。


 水嶋さんは、何年もタイムマシンの開発に携わってきて、都度動作テストも行ってきたというので、納得と言えばそうなのだが、こうまで違うのかと思うと、なんとも情けない。




 シミュレーターを使った訓練の最後に、2対2で組んでのドッグファイトを行った。


 一人が運転に集中し、もう一人がレーザー砲の操作/発射で相手のマシンを狙う。


 水嶋・俺ペア対永倉・近藤ペア、1対3で完敗。ペアを変えて、永倉・俺ペア対水嶋・近藤ペア、今度は0対5でさらに完敗。清明の発砲がなんとも的確なのである。


 第二隊では、永倉さん、水嶋さんが交代でメイン・パイロットとなる。その場で必要ならこの二人なら銃火器も扱える。


 もしも継続して本格的な戦闘と言うことになれば、清明も活躍できそうだ。


 当初の想定通りの役割が、シミュレーターでも証明されたと言ったところだが、ニマニマしながら水嶋さんが、


「隊長は、堂々と座ってればいいのです」と言ってくれたが、


「それって、戦闘では役に立たないって言ってますよね」と清明がよこからチャチャを入れる。


「おい」と声を上げてみるが、女性二人は無言だ。それ以上返す言葉が無い。




 実は、何を隠そうスポーツとしては、個人格闘技なら、ボクシング、柔道、剣道といろいろかじってる。


 そんなことだからSEなどやっていても、街で絡まれたりしても何も怖くない、数人相手だったら何とか対応できる、と、その点には自信を持っていたのだが、さすがに水嶋さんと清明には負けないものの、永倉さんに全く歯が立たない。


 まあ、相手はプロの職業人なのだから仕方がないと言えば仕方がないのだが、大人と赤ん坊程の差だ。


 永倉さん曰く、

「皆さん、研究とか交渉とか、頭を使うVIPですからね。私の役目はボディーガードだと思ってますよ」との事で、ある意味そういう関係になるわけではあるが、情けないと言えば情けない。


「プロにお任せします」と、丁寧にお願いするしかない状況だ。




 レーザー銃の扱いの講習から、実際の試射、あとは100発ほど実際に発砲して的を狙う訓練を行った。


 当然ここでも、指南役の永倉さんは全ての的を的確に射貫いて見せてくれるが、このメンバーはいずれも、成績が良いと驚いてくれた。


 8年前までは、駐屯地で大勢の仲間と頻繁に訓練していた関係上、多くの自衛官の実情をつぶさに見てきたようだが、


「その連中と比べても、この3人なら、中くらい以上には位置している」とのことで、


「ほめて伸ばす系はありがたいですが、いきなりの実戦投入ですから、容赦なくいってもらった方が」と確認するが、本当の様である。


 その3人の中でも、的に対する焦げ目のばらつきが、特に少なかった事実に、ついつい、うす笑いが止まらない。


「シミュレーターでは僕の圧勝だったのに」と清明が文句を言うが、


「ま、とまっている自分とターゲットならば、この程度には、と言う事かな」と正直な分析を語ると、


「龍馬さんには銃を向けない様にしよう」との清明に


「どんな状況だよ、それ、やめろ」と、言葉を返すが、水嶋さんからも永倉さんからも、どこか冷ややかな目で見られている感が、いたい。


 そんな風にしている間にも、出発までの時間は、どんどんと迫ってくる。




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