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キュベルス~人類滅亡とたたかう者たちの笑うしかないデス・ループ~  作者: 泊波佳壱


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第12話  ~懐かしき再開~

2116年12月8日 11時~ マシンルーム

 しげ爺が話しはじめる。


「元々木村さんと約束していた、そちらのテーマの話しをする時間になった様じゃな」


 それに対して木村教授が応じる。


「あ、その事なんですがね、もしタイムマシンのチームが嫌でなければ、この場でその話も続けていいですかね? ちょうど共有しておいた方がいい話しだと思うし。


 その後、セキュリティー他のこちらのシステムの実物については、あとで向こうの部屋も見てもらうとして」


「それいいですなぁ、ちょうど同じことを、提案したいと思ってたんですわ」と廣庭博士。


「では、こちらに近藤研究員にも来てもらったらどうじゃ?」としげ爺。


「ええ、今そう思ってこちらに来るように声を掛けました」と教授。


 水嶋さんと俺で5人分の新しいコーヒーを入れてテーブルに戻る間に、奥にある別の部屋から、若手の研究員が歩いてきた。


 その様子を見ていると、俺の事を注視したと思ったら、急に足早になって駆け寄ってきた。


 あれ、清明?


「龍馬さんですよね? あ、やっぱりそうだ! こんなところで何してるんですか?」


 この場の何人かがクスクスと笑ってる。


「いゃあー、そんな街中で突然合ったみたいに言われてもね」と教授。


「そうですなぁ、今もっともセキュリティー厳重なこの空間には、限定メンバーしかおりまへんけどな」と、こちらは博士。


 こちらからも一歩近寄って、手を差し出ながら声をかける。


「久しぶり、清明!」


「はい、 全く変わらないですね、龍馬さん」


「そうかい? 清明は立派な大人になったよな、でもあの頃の面影がめいっぱいあるぞ」


「そ、そうですか? なんだか恥ずかしいな。 でも、そうですね~、8年ぶりとか、それ以上ですもんね」


「だな、ここで活躍してるんだ。元気に生きててくれて、本当によかったよ。それはもう、本当にうれしい。眼鏡がすごく「できる技術者」って感じで似合ってるよ。」


 つい嬉しく話し続けそうだが、いつまでも話し込んでしまっては、今のこの貴重な時間を無駄にしてしまう。まわりにもあまりに申し訳が立たない。俺は話す相手を全体に切り替えた。


「あ、再会の喜びに、つい二人で時間取ってしまってますが、皆さん、近藤清明君は従弟半? 遠い親戚です」


 教授が俺の会話をうけてくれた。


「あ、そういえば近藤君は重さんからの紹介でしたね、なるほど。」としげ爺に言った後、こちらに向き直って、


「でもそうとは知らず、今回うちのチームから遠征隊への参加者に選んでたぞ。3人の研究員の中で、若手だけど、とても使命感の強い人物なので、事前に「彼に」と決めてたのだ」


「おお、それはなんと嬉しい事実!」


「はい、僕もうれしいです」と、清明が、ものすごく元気な声で応じた。




「まあ、積もる話しは後にして、そろそろ本題に入ってもらおうかの」


 と、しげ爺が先を促す。それに対し、


「テーマは、『何が真の人類滅亡の原因なのか』ということですなぁ」と廣庭博士が投げかけてくれた。




 この場の一番の若手、近藤清明が、立ち上がって、さっと右手を振ってスマートグラズ(=スマートグラス)の操作をして見せた。


 目線だけで操作できるのだが、こうして手で操作して見せると、皆にそのしぐさを明確に伝えられるため、会議の席では若手側はよく、そういうアピールをするものだ。


「はい、これを見てください」


 いくつかの資料が目の前にパラパラと広がる。


「これが、木村教授のもとで、我々が原因分析をした結果と、そのエビデンス(根拠となる資料)です。」


「端的に言うと?」と、教授が一言。


「はい、1枚目資料のここをご覧ください。」




 めちゃくちゃ笑顔で話してはいるが、実はこの時の俺は、かなり緊張していた。


 人類は今、滅亡の淵に有る。その『真の原因は何か』それがいよいよ、今これから語られる。


 そして我々はその原因をぶっ潰すために、一世紀を跨いで、前人未到の旅に出なければならない。正直、不安なことがいっぱいだ。不安しかないと言って良いぐらいだ。


 だが、絶対そんな気配はみじんも表に出すものか。残された者たちの中で、たぶん俺が一番適任だと信じたい。またそうである以上、ベストの行動ができるようにしたいのだ。


 清明が出してくれた資料に、しっかりと注意を向ける。




 このテーブルに集まって、大きな声で談笑している6人に対して、それを遠くから見ている者がいる。目元には力が入り、僅かだがピクピクと震えている。


 強く奥歯をかみしめてもいるが、それは外からは多分見えない。




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