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穴から落ちたソコは異世界でした  作者: 森都 めい
第1章 森の中で
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0. プロローグ



 私の名前は、桜花瑠衣(おうかるい)。地方大学に通っている。

 21年生きてきたけど、一般的に見て、自分で言うのも変だけど暗い人生だったと思う。



 小学校5年生までは、普通の子供だった。みんなとあまり変わらない生活をしていたと思う。お父さんがいて、お母さんがいて、友達がいて。そしてみんなで笑って、遊んで。でも、両親が突然の事故で亡くなってしまってからは一変した。


 私はおじさんのところに引き取られた。引っ越しして学校も変わった。おじさんの家族はいい人たちだったから、意地悪されたとか特に酷い扱いだったわけでもないけど、やっぱり居心地は良くなかった。だからなるべく家にはいないようにした。図書館に行ったり近くの公園に行ったり、夜は与えてもらった部屋で過ごした。家ではやることがなかったので、勉強をした。図書館と暇つぶしの勉強で成績はよかったので、とやかく言われることもなかった。


 新しい環境は知ってる友達もいなくて、私は一人でいるようになった。中学生になっても特別な友達も作らず、ほぼ一人でいた。別に話したくないわけではない。話しかけられれば普通に話すけど、それ以上でもなかった。まず、話題がない。テレビは見ていなかったから、みんなが話している話題はサッパリわからなかった。成績が良かったからいじめられることもなかったけど、クラスでは浮いていた、というよりは沈んでいた。


 高校生になってからは、その生活にアルバイトが加わった。お金を貯めて、大学に行って一人暮らしをしようと思ったからだ。高校生のアルバイトなんて、コンビニかウェイトレスぐらいしかなかったけど、年齢層の高い人たちしか来ないような喫茶店のバイトを見つけて三年間通った。


 奨学金制度で地方の大学に入った。初めての一人暮らしはとても快適だ。まず、誰にも何も言われない。人の目を気にしなくていい。とりあえず、気を遣わなくて過ごせることに開放感を味わった。




 大学生になってから、やってみたいことを始めた。まず、一人キャンプ。図書館でいろいろな本を読み漁っていたがその中にアウトドアの雑誌もあり、何となく手に取った本だったけどすごく興味がわいた。自由な時間が取れるようになってからやってみようと思っていたことだった。


 地方だったから、1時間圏内に安全で良さそうなキャンプ場がそれなりにあったので、時間が取れると楽しんだ。バイクを購入してからは更に行動範囲が広がった。地図を見て、行けるところを探して、観光も兼ねたキャンプを考えるのも楽しかった。


 それから山登りにも挑戦した。登山の整備がされた山は初心者でも登りやすい。そういう山の登山者は私の祖父母ぐらいの年齢の人たちも多く、一人で登っていると結構話しかけられた。お弁当を食べているとおすそ分けをもらったり、お菓子をいただいたり。



 一人は好きだけど別に世間を疎ましく思っているわけではない。それに自然の中で過ごすのは楽しい。喫茶店のバイトでも、人と話すことは嫌ではなかった。そういえば、両親が亡くなる前の私って、もっと人と話すのが好きな性格だったような気がする。人は好きなのだ。ただ、両親が亡くなって自分だけが生き残って、子供心にそれが悪いことだと思ってしまった。私だけ楽しんでいいのだろうか、笑っていいのだろうか。そう思ってしまってからは何となくみんなの輪に入っていくことができなかった。



 時々思うことがある。もっと違う生き方があったのではないか。あの時もっと自分から歩み寄っていれば…もっと自分から話しかけていれば…両親が事故にさえ合わなければ…。


 もちろん自分で選んできた道だから後悔はないけれど、でも、ふとした時にそんなことを思うのだ。


これから連載を始めます。

お付き合いのほど、どうぞよろしくお願いします。


読んでくださり、ありがとうございます。

面白い、次が読みたい、と思ってくださった方、いいね!や、ブクマ登録、評価をよろしくお願いします。

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