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医魔のアスクレピオス~不遇職【薬剤師】はS級パーティを追放されても薬の力で成り上がります~  作者: 山外大河
2章 治癒魔術と旧医学

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20 避けて通れない話

 離れていったアヤをアスカに任せたレインは、リカと共に宿泊先の温泉宿へと歩を進める。


 ……あまり心は穏やかではないが。


(……やっぱ追いかけた方が良かったか?)


 アスカにアヤの事を任せた事について、自分的には合理的な判断を取れたとは思うが、それはそれとしてあの場面で追いつけないにしても追いかけない選択をしているのはかなり薄情な真似をしているのではないだろうか?

 そう考えるとなんとなく足取りが重い。


「うーん、こうするのが一番良いって馬鹿真面目な表情を浮かべてたとは思えない位、情けない表情してるよ兄さん。追いかけなかったの後悔してるんだ」


「なんで心読めるんだよ」


「妹だからね。それなりにある程度の事くらいなら分かるよ」


「どの程度なのか全然分からねえ」


 まあとにかく、と隣を歩くリカは言う。


「真面目な話、兄さんは追わなくて良かったと思うよ」


「そうかな」


「うん。さっきも言ったけど、話すのが怖い事ってやっぱりあるし。追いかけて対面するってのは捉えようによっては袋小路に追い込んでるのと変わらない気もするから。明らかに兄さんを意識して離れて行ったから、きっとこれが正解」


「……だと良いんだけどほんと」


 色々な意味で。

 特にこの選択が一番アヤが傷付かない選択であるならば。

 そうであってくれるのが一番良い。


 と、そんなやり取りをしている内に、宿泊先の温泉宿の前へと辿り着いた。


 そしてそこで出入口近くのベンチに座る四十代半ば程の男と、そんな男と談笑している様子のラグナが視界に映り、ラグナはやがてこちらの姿に気付いた。


「おう、誰かと思えばアンタらか……って、アヤともう一人居た子はどうしたよ」


「えーっと……それがですね……」


 悩む。

 おそらくこの村の人間に対してあのトラブルは隠すような事でも無いのかもしれないが、それでもどうであれ人の家の家庭問題だ。

 どうするべきかと、すぐに言葉が出てこない。


 それが出てこない内に言葉を紡いだのは、ラグナと談笑していた男だった。


「……なるほど、あなた方がアヤのご友人ですか」


 そう言って男はゆっくりと立ち上がる。


(アヤの知り合いか……? いやこの村ほぼ全員と知り合いか……)


 都会育ちであるが故に慣れないそんな感覚を感じながらも頷きながら歩み寄る。


「ええ。俺の方は一緒に冒険者やってて……」


「それと薬剤師……との事ですね」


 と、そこまで言ったところで、話しにくそうに口をつぐむ。

 そしてそんな様子を見たラグナが割って入るように聞いて来た。


「で、なんでアヤが此処にいないのかは分からねえが……結局、アヤから話は聞いたのか?」


 そう言うラグナの問いを聞いて、なんとなく察した。

 目の前の男が話そうとして思い留まった話は……アヤから話を聞いている事が前提の事なのだろうと。


 アヤが賢者を志していた事を知っている事が前提なのだろうと。

 そして今の自分達は、経緯はともあれそれを知っている。

 だから答えた。


「アヤから、じゃないですけど……ほんと事故みたいな形で、アヤが話したがらなかった事の内容は知りましたよ」


 これはきっと避けて通ってはいけないような話だ。

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