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医魔のアスクレピオス~不遇職【薬剤師】はS級パーティを追放されても薬の力で成り上がります~  作者: 山外大河
2章 治癒魔術と旧医学

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ex 似た者同士 下

「…………まあ、そうかもしれないっすね」


 アスカの言う通りこれまでうまくやって来られたのは、そういう要因が大半を占めているだろう。

 ウマが合う。

 似た者同士……確かにそういう事なのかもしれない。

 今の自分みたいな奴と似ている、なんて思う事はレインに対してあまり良い事ではないのかもしれないけれど。


「……そんなレインさんは、ちゃんとアヤさんに話しましたよ。まあレインさんの秘密とアヤさんの秘密じゃちょっとアヤさんの方が重いのかもしれませんけど、レインさんは話さなくても良いところから話しましたし、アヤさんは経緯はともかくもう露呈してるんです。これで話をする事のハードルはイーブンって事にならないですかね……だから、落ち着いたら戻って話しましょうよ。秘密を話せる位に信頼されて、そして自分もそれを失いたくないって思う位の相手なら、お互いの為に尚更話すべきです。話してあげてください」


「…………そうっすね」


 アスカの言う通りもう露呈してしまっていて、イーブンかどうかは分からないがなし崩し的に話をするハードルは下がっているのだ。

 だとしたら……落ち着けたら、踏み出すべきだろう。


 いつまでも逃げていられない。

 いつまでも逃げてそれで終わりにしたくない。


 終わりにしたくない為に隠していたのだから、それは絶対に違う。

 怖いけど……面と向かって話さなければならない。

 それに向こうに秘密を話させておいて自分は黙ってるなんて事にもしたくはなかったから。

 これからの色々の為にも、過去の過ちの一つぐらいは堂々と晒せるようにしていきたい。


「少し落ち着いたら……ちゃんと話してみるっす」


 アヤがそう答えると、アスカは小さく笑みを浮かべる。


「やっぱり似た者同士ですね」


「というと?」


「レインさんもちょっと背中押したら前に進めましたから。アヤさんもそうならやっぱり似ているんですよそういうところも」


「そうっすか……じゃあアスカちゃん大活躍っすね」


「いやいや、ボクなんてほんと思った事言ってるだけなんで……」


 そう言って笑うアスカだが、そこで何かに気付いたようにハッとした表情を浮かべ、少々不安そうに言う。


「あ、さっきからのレインさんの言動をアヤさんに言ったってのはここだけの話にしておいてくださいよ」


「ああそれなんすけど、レインさん私に色々教えてくれる時にその辺の事も全部話してたっすよ。こういう理由で話せなかった、みたいな」


「あーそうなんですか」


 それを聞いてホッとしたような表情を浮かべるアスカ。


「いやぁ、レインさんなんだかんだそういう事は晒せてないと思ったんですけどね。そういう方向じゃやっぱりあの人ヘタレですし……この一ヶ月見てる感じでも」


 最後にボソリと呟いた事はよく聞こえなかったがともかく。


「アスカちゃん、たまに物言いが辛辣な時あるっすよね」


「たまになら普段からじゃないって事なんで。外的要因が原因だと思うんですよね。お二人に言える立場じゃないですけどボクは悪くないです」


「大人しそうな雰囲気してるのに一番大物感があるっすよねアスカちゃん……」


 まあ仮に自分とレインが似た者同士だと言うのなら、そういう点で見てもパーティとしてバランスが良いのだろうけど。

 実際、自分はそのアスカに背中を押されている訳だから。


「で、アヤさん。結局どうして賢者になろうとしていたんですか?」


「え?」


「いや、悪い理由じゃないのは分かるし悪い事でもないんですけど一応聞いてみたいなって。今此処に至るまでボクはその辺の事情何も知らずに話してますし」

「確かに……何も言ってないっすね」


「どうですか? ボクがレインさんに伝える為の練習台になりますよ」


「……練習台とかじゃなく、どっちも本番っすよ」


 ハードルの高さは違うが、それは間違いない。

 そしてアヤはアスカに自身が賢者を志した経緯を話した。


 ……自分がやるべきだと思った事を。

 ……自分がやってしまった事について。


 そしてそれを一通り聞いたアスカは言う。こちらを肯定してくれるような、優しげな表情で。


「……それを聞いて色々と言いたい事はボクなりに沢山湧いてきます。だけど……これはきっとボクが最初に言うべき事じゃないですね」


「……?」


「多分ボクと同じような事を、素人のボクより遥かに正しく受け止めた上で話せる人がいますから。それはその人に譲らせてください」


 そう言って……アスカは笑みを浮かべて言う。


「じゃあそんな訳で、二人のところに戻りますよ。心の準備は良いですか?」


 そして手を差し伸べてくれたアスカにアヤは言う。


「いや、ちょっと待って貰って良いっすか? 普通に心の準備出来てないんで」


 流れ的にアスカには話したし、この先レイン達にもちゃんと話すつもりではあるが、それはそれとしてである。


「えぇ……これいい感じに戻る流れだったじゃないですか。あれぇ?」


「いやでもほんと、もうちょっと落ち着いたら戻るっすからマジで……それはほんとに、うん」


「まーそういう事ならしっかりと心落ち着かせて、それから堂々と戻りましょう。ボクも付き合いますよ。どこかでお茶でもしていきましょうか」


「あーこの辺だと、そういう店近くに無いっすねぇ」


「……田舎ですねぇ」


「そうっすね……」


「ド田舎ですねぇ……」


「なんで今追撃したんすか?」


 ……とにかくこれでレイン達に対して話をする覚悟はなんとか取り繕えそうだ。

 ……なんとか。

 簡単な事では無いけれど。


 だけどそれでも……なんとか。


 少なくとも、レイン達に対しては。

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