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医魔のアスクレピオス~不遇職【薬剤師】はS級パーティを追放されても薬の力で成り上がります~  作者: 山外大河
2章 治癒魔術と旧医学

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ex 隠し事 下

 四人と別れてから、マチスは一人考える。


(……大丈夫か? 本当に)


 先月のアヤという弓使いの少女との会話を思い返す。

 アヤという賢者の治癒魔術を使える、旧医療従事者を親に持つ娘との会話を思い返す。


『お父さん見たいなお医者さんが築き上げてきた医学と、奇跡みたいな力を使う治癒魔術。この二つを組み合わせたら……もっと多くの人が助けられるんじゃないかって思った。だけど思慮が浅かったんすね。最終的に勘当されちゃいまして……それでフェードアウトっす』


 人様の家族間の問題のことを他人の自分がとやかく言うのは違うと思うし、本人が薬剤師の少年に自身の秘密を知られる事を良しとしていない事は知っているから、それが露呈する事に繋がるかもしれない話は出来なかった。

 ……やらなくて正解だったと、時間を空けてからもそう思う。


 それでも心配は心配だ。


 田舎の住民の情報伝達は驚く程に早い。

 彼女が故郷の村に帰った事など、あっという間に伝わるだろう。


 あの子を勘当した父親にも。


(……面倒な事にならなければ良いが)


 そうは思うけれど、他人事ながら願わくば。


(まあこれを気に関係性が修復できりゃそれが一番良いんだろうけど)


 亀裂が入った家族の絆が戻ってくれれば良いなと、そう思う。


『マチスさんにお子さんが居るのかは分からないっすけど、自分の子供がそんな事言い始めて、実際に治癒魔術まで覚えていたら……嫌っすよね。なんで私は気付かなかったんだろう……そりゃ医学書を全く理解できない馬鹿っすよ私は』


 その時の父親の心情を理解し、立場が同じなら同じ行動をしてしまうかもしれない……子を持つ親として。

 他人事ながら……本当に他人事でしかないが。


 家族との仲くらい、壊れたままであってほしくないと。


 元旧医療従事者として。

 人の親として、強くそう思う。


「……どうか本当に、いい旅でありますように」


 そう願うばかりだ。

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