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医魔のアスクレピオス~不遇職【薬剤師】はS級パーティを追放されても薬の力で成り上がります~  作者: 山外大河
1章 賢者と薬剤師

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23 手続きとこれから

 想定外のイベントが色々と差し込まれた訳だがそれも無事終わり、レイン達は本来の目的である諸々の報告と手続きを取り行なう事にした。


 今回のように想定していない魔物が多数出現するような場合だと、仕事を斡旋した冒険者ギルド側にある程度の責任が生じるらしく、遺品の回収などの為の人員の派遣費用はギルド側が持つ事となり、シエスタを初めとする犠牲者の遺族には慰謝料が支払われる事になった。


 ……それは生き残ったアスカに同じ事が言える。

 もっとも慰謝料の支払いが有ったとはいえ、それは受け取る側にとって喜ばしい話ではないのだが。


 金銭で人の命を繋ぐ事はできても、取り戻すことは決してできないから。

 それは薬剤師を含めた旧医療従事者も賢者も踏み込めない領域の話だ。


 ……きっと踏み込んでいい話でもない。


 とにかく今此処でシエスタ達にほんの僅かにしてやれる事は全部やった訳だ。


 そしてそれからレインたちがベニセイリュウタケの採取の為に赴いた薬宝の森での異常事態の話も念の為補足して伝えた。


 もっともこれに関して言えば、今時あんな所に足を踏み入れる人間は殆いないと考えれば無駄な報告だったかもしれないが、それでもこれからより薬品の素材が出回りにくくなるであろう事を考えれば、やはり自分達のように自発的に足を踏み入れる物や誰かに依頼をする人間も出てくるかもしれない訳で。


 報告しておくに越した事は無い。


 ……それが終わればここからはこの先の為の事。

 自分達の未来の為にやるべきことを、此処に来たついでに済ませておく事にした。


「代表は誰にします?」


「そりゃレインさんっすよ。レインさんの目的の為に組んでるみたいなパーティっすから」


「じゃあ俺がサインしとくぞ」


 冒険者は一個人単位でランク付けされるのではなく、代表者を中心としたパーティでのランク付けがされる。

 つまりはその構成メンバーの個人情報を書き記した書類を冒険者ギルドに提出しなければならない。


 そんな書類を。

 これから自分達がパーティとしてやっていくための書類を作成していく。


「そういえば私達のパーティのランクってどうなるんすかね。やっぱ最低のFランクスタートからになるんすかね」


 書類の作成中、ふとアヤがそんな事を言い始めた。


 確かにその辺はどうなるのだろうか。

 パーティを一から組んだことが無いので、その辺りの知識が無い。

 元々がどうであれ一旦は最下層まで落ちるのだろうか。


「だとしても爆速で駆け上がるだけだけど」


「そうっすね」


 それはそれで仕方がないと割り切る二人にアスカが言う。


「運営さんの判断次第ですけど、ある程度のところから初められるんじゃないですかね」


「そうなんすか?」


「ほら、ボクはともかくレインさんとアヤさんはSランクのパーティに所属していた訳っすよ。その二人が新しく作るパーティっすから。いきなり一番下って事は無いんじゃないですかね。いくら個人でランク付けしてないとはいえ」


「だとしたらいいんだけど」


 ジーンやロイドの事は思い出したくはない。

 だけど少なくとも自分やアヤが頑張っていた事は間違いが無い事だから。

 その頑張りがこれからの事に繋がるなら、それはきっと悪い事ではない筈だから。

 そうなればいいなと、そう思う。


 そして完成した書類を提出。

 結果だけを言うと、与えられたランクはBランク。

 これは仮のものであり、此処から先何件か指定された依頼を熟して現時点の正確なランクを査定するらしい。


「Bランクか」


「一旦はランクダウンっすね……でも多分ジーンとロイド二人よりもアスカちゃん一人の方が強そうっすから、順当に行けばSランクまでパパっと行けるんじゃないっすかね」


「が、がんばります!」


「……ああ。俺も頑張るから……二人共、よろしく頼むよ」


「はいっす!」


「勿論です」


 こうしてレイン達三人は正式にパーティを結成した。


 レインが冒険者として成功して旧医学の必要性を訴える為の発言力を得るために。


 一見支離滅裂に聞こえるが、それでも尊敬できる立派な人間が道を照らして、信頼できる仲間から肯定されたそんな目標を叶える為に。


 現代医療の未来の為に。

ここで第一章終了となります。


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