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医魔のアスクレピオス~不遇職【薬剤師】はS級パーティを追放されても薬の力で成り上がります~  作者: 山外大河
1章 賢者と薬剤師

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20 それからの話

「悪い、なんか色々と気ぃ使わせたみたいだな」


 それから部屋を出て、外で待機していたアスカにそう声を掛けた。


「……なんだか途中から思ってたのと違う感じになってましたけどね。何の話してました?」


「シエスタさんの話……アヤの知人だった」


「地元のご近所さんっすね」


「そうですか……なんか世の中、狭いですね」


「だな。まさか全員の知人とは……」


「ところで妹ちゃんは……? 起こしに行ったんじゃなかったんすか」


「あれは嘘ですよ。なんだか退出したほうがいい空気かなと思って」


「なるほど……お気遣いどうもっす」


「とりあえず言うべきことは言えたよ」


「シエスタさんの話になってるって事はそういう事ですよね」


「そんなわけでこれからよろしくっす、アスカちゃん」


「よろしくお願いします」


 そしてアスカはこちらに視線を向けてから言う。


「うまくいったようで何よりです」


「ああ。後は全員なんとか前向きにってところだな」


 ……その為にも。


「……とりあえずコーヒーでも淹れるか。二度寝する気にもなれないし」


 落ち着いてこれからの話でもしていこうと思う。


     ◇◆◇


 それからアスカの好みを聴きつつ3人分のコーヒーを淹れていたところでリカが起きてきた。

 一応は体調が回復傾向にある事にほっとした表情を向けられるも、その後アスカの事前予告が有った通りに無茶な薬の服用を行ったことに対する説教をされて。


 それでもこちらの沈んだ空気を察したのか、それ程激しいものにはならなくて……それが終わったら、一応シエスタと何度か顔を合わせた事が何度かあるリカにも同じ説明をして。


 もれなく全員同じような感情に沈む事になった。


「お墓参りに行くってなったら、その時は私も行くよ。実を言うとたまにお茶とかしてたから」


「俺の知らねえところでそんな事に……」


「私達位の年代の同業者はどんどん減っていってるからコミュニティも狭いからね」


「……まあそれもそうか」


 志す人間が年々減っている以上、それは当然の事なのかもしれない。

 と、そこで少し間を空けてから思い出したようにアヤが話題を変える。


「……そういえばシエスタさんの事、多分誰もギルドに報告してないっすよね」


「帰ってこれたのがアスカだけならそういう事になるな」


「報告って?」


 問いかけてくるリカにレインは答える。


「冒険者として活動している時に誰かが亡くなった、もしくはそう断定せざるを得ない状況になったら、それを把握している人間が報告する義務があるんだ。そうなった原因が想定外の事ならギルドの仕事の振り方を考えなきゃいけねえし……それ抜きにしても人が亡くなるってなるとそれ相応にやらないといけない事が出てくるだろ」


 諸々の手続きを始め……遺体や遺品の回収などを遺族と連絡を取ったうえで他の冒険者に依頼するなど、他にも諸々。

 人一人が亡くなるという事は決して軽いことではないから。


「とりあえず今日中に行ってきます。生き残らせてもらった立場だから尚更ちゃんとしないと」


「俺も行くよ。半分当事者みてえなもんだし、何より病み上がりの奴一人で行かせるのもな」


「レインさんも病み上がりどころかまだ普通に病んでるんすから私も行くっすよ」


「……一応医者の立場で言わせてもらうと全員まだ病んでるんだよね。とにかく動くならみんな無理しないように。特に兄さん」


「なんで俺だけそんな扱い……」


「お二人共。これから色々と無茶するかもしれないけど、兄さんの事よろしくお願いします」


「はい」


「任せるっすよ」


「ああ、でもアヤさんも薬一杯飲んじゃってるし……アスカさん、兄さんの事というか二人の事お願いね」


「ま、任されました」


「どうやら私、妹ちゃんの信用失ったっぽいっすね」


「医者が定めた量以上の薬を飲んだらそりゃね。処方してる側からしたらマジで恐ろしいから」


「とんでもねえブーメラン投げてるっすよレインさん」


「あの、アスカさん。ほんとよろしくお願いしますね……不安だ」


「が、頑張ります……」


 もっとも今日は冒険者としての依頼を熟す予定は無い。

 各々心身ともにそんな余裕はない。

 ただ冒険者ギルドにやるべきことをやりに行くだけ。


 そしてそれからしばらくして、レイン達三人は冒険者ギルドへと足取りを向けたのだった。

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