制圧
囲んでいた騎兵たちを沼地で身動きをとれなくした。
「私は、あなた達についていくつもりはない」
ズブッ、強烈な痛みが体に走った。
背中から剣で突き刺された。
貫通した剣の先が見える
私は首を背後に回した。
銀色の髪をしたロックがそこに立っていた。
手には、剣が握られている。
「あの時、殺しておくべきだったわね」
「申し訳ないが、王の命令ですので」
ロックが剣を私の体が引き抜いた。
痛みで、よろけて体が数歩下がる。
泥の魔法がとけて、男たちが抜けだしてくる。
「ロック様、生きて連れてくるのが命令では」
「問題ない。もし、この女が本物なら」
私の切られた傷口が緑色に光る。
傷口がゆっくりと再生されていく。
男達がざわめき出す。
「信じられない」
「本当に伝承通りに不老不死なんだな」
「いったい、何のことよ」
私は傷口を手で押さえた。
久々の痛みで足元がふらついた。
だけど、あと数分もあれば感知する。
「悪いけど、時間は与えない。傷が治ったら、こっちはお手上げだからな」
ロックが剣を突き立ててくる。
魔法を発動する時間がない。
背に腹は代えられない。
「くっ」
私の肩を剣が突き刺した。
倒れこむようして、ロックの体に抱きついた。
危険を察知したのだろう私の体を手で押し返そうとした。
だけど、こっちのほうが魔法を早く発動した。
ロックが両膝を地面についた。
顔に焦りの色が見える。
「なんだこれ、身体に力が入らない」
「相手に触れないと発動できないのが難点だけど、便利なのよね。今日、一日はまともに動けないわ」
「お前たち、早く傷がないうちにとらえろ」
部下に命令を飛ばすが。
私は動こうとした男たちの目の前に岩を突き出した。
「まだ、やるつもり」
私の殺気を感じて、男達は動けなくなった。
その間に私の傷口は、完全にふさがった。
本音を言えば、傷を負っているときは、対処が危うくなる。
久々に冷や汗をかいた。
彼らの口ぶりから私のことを知っていたらしい。
このまま逃げても追っ手を送られても面倒だ。
「それで、あなた達は何者で、誰の命令で動いてるのかしら」
私は、護身用の探検を抜き出してロックの首もにあてた。