村
銀髪の男は、名前をロックというらしい。
私は、この男を生かしておくことにした。
「村までの道案内、よろしくね」
「はい、かしこまりました」
村まで案内させることにした。
森の中を無駄に歩かずに済むだろう。
ロックは、緊張したようすだが歩き出した。
「ところで、魔女さんの名前はなんていうんですか」
「名前なんてどうだっていいでしょ」
「村で紹介するので、教えていただけると助かるんですが」
「一般的に呼び名が多い名前って何かしたら」
「そうですねぇ、エルザなんていうのが。女性に名づけるのは、この地域だと多いですが」
「じゃあ、エルザでよろしく」
「はい・・・」
ロックは少し怪訝そうだが、それ以上何も言わなかった。
自分のことを私が警戒してると思ったのかもしれない。
でも、何のことはない。
私は、名前を付けられたことがない。
今までも、その時代で多く使われている名前を使用していた。
愛着もないから、忘れてしまったが。
村は、民家が30ほどある小さな集落だった。
ロックは村長に私のことを説明してくれた。
ここで旅に出るための準備をさせてもらえることになった。
私は、民家の一つを貸してもらえることになった。