表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

山賊

 領土を拡大している大国は、東から西に向けて進んできている。

 私は、西へ旅に出ることにした。

 

 森に入って、数日。

 持ってきた食料も少なくなった。

 食事をとらなくても不死である自分は、死なないが。

 空腹は感じる、中途半場だ。

 それと同じように切られれば、痛みも感じる。

 どうせなら、それらを感じないようにしてほしかった。


 山を3つ超えた時。

 森の中で、20人ほどの人に囲まれてしまった。

 こわもての男達、手には武器を持っていた。

 にやにや、と意地のわるい笑みを浮かべている。

 山賊だろう。

 

 「おい、金目の物を全部出しな」

 

 「よかった。言葉は通じるようだ」


 「あん? 何言ってるんだ」

 

 数百年たっていたので、言語自体が変わってしまうことも考えられたが、

 このあたりは、まだ私の知っている言葉が通じるらしい。

 

 「俺たちは、盗賊だ。殺されたくなかったら、金目の物をおとなしくだせ」

 

 「こっちのセリフだ。殺されたくないならとっと、失せろ」


 「なめたこと、いってんじゃねぇぞ」


 山賊の一人が魔女に近づいて、ほほを引っぱたいた。

 魔女の口からは、血が垂れていた。

 

 「これで分かっただろ。おとなしく言うことを」

 魔女をたたいた男が言い終わる前に、力なく倒れた。


倒れた男の腹部を大きい木の根が貫通していた。

 山賊達の間にざわめきが起きる。


 魔女が口から流れた血を手で拭う。


 「皆殺しだ」

 

 あたり一面の木がありえない速さで、成長を始めた。

 木の枝が、恐ろしいく早く山賊達の体を突き刺す。

 数が多く、早くとてもさばき切れない。 

 断末魔を上げて、大勢た盗賊は誰も立っていなかった。

 

 山賊を始末し終えて、魔女は歩き始める。


 数歩、歩いたところで魔女は視線を勢いよく向ける。

 殺気のこもった視線が注がれる。

 

 ガサガサ、と茂みが揺れた。

 少し離れたところで、様子を見ていた男が血相を変えて逃げ出した。


 「逃がさない」

 

 魔女が手を掲げると、成長した木の枝が男に向かって襲い掛かる。


 男は、斜面を飛び降りた。

 

 魔女はゆっくりと歩いて、倒れている男に近づく。


 銀色の髪をはやした男が倒れこんでいた。

 魔女の攻撃をかわしたが、飛び降りた拍子に足をくじいてしまったらしい。

 両手を上げて降参の姿勢をしめした。


 「待ってくれ、俺は盗賊じゃない。あんたに危害を加えるつもりもない」


 「なら、どうして盗みをしていたの」


 「俺は近くに住む。村人だ。ここ最近、盗賊の被害が起きていたから、村の男たちは、警備をしていたんだ。

 それで、たまたま盗賊たちを見かけて、拠点をこっそり調べようとしていたんだ。

 だから、頼む。 見逃してくれ」


 「・・・・・・」

 

 どうしたのものか。

 私は、思案することになった。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ