不老不死の魔女
私は、魔女である。
そして、不老不死である。
見た目は20代前半の女性で、黒い髪をしている。
人が入り込めない、秘境で数百年暮らしていたのだが。
問題が起きてしまった。
仲良くしている風の妖精が知らせを持ってきてくれた。
未開拓の森。
人が手を出さなかったこの場所をどこぞの国が領土を拡大するために、やって来るそうだ。
人の数はたくさんいて、森を開拓しながら、私の住処に向けて進んでるらしい。
一人で気ままに暮らしてたが、ここを出なければならない。
「やろうと思えば、国を返り討ちにできないこともないが。
それに対する時間も労力もめんどくさい」
100年くらい前、怒りが抑えられず当時、大国と小競り合いを起こしたことがある。
正直、もうごめんだ。
争いとは、勝てばそれで終わりではない。
殺した人にもいろいろと縁があり、かたき討ちで争いは、激化した。
争いが終わるのには、莫大な時間が必要だった。
戦いが終わったころには、なぜ争ってるのか覚えているものは、残っていなかった。
大国との争いは、静かに時間が内々で終戦していった。
当時の戦争を生きて当時を覚えている人はない。
もしかしたら、歴史として多少はかたり継がれているかもしれない。
住み慣れた場所を旅立つのは、惜しいが。
面倒ごとにかかわらないほうがいい。
これもいい機会だ。
「今の現代の魔法を仕入れにいこう」
世の中にはおもしろい魔法を生み出す、人間がいる。
自分の想像もしない魔法に出合えると楽しい。
それを知識しとして蓄えるのは、趣味だ。
人里をしばらくは慣れていたから、新しい魔法を仕入れて、誰もいない山奥に引きこもるのもいいかもしれない。
「これも何かの縁だ」
魔女は数百年ぶりに旅に出ることにした。